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SHARAQ完成記念式典が開催される

広報誌編集委員会

図1

SHARAQを見学する式典参加者

1998年4月に,原子核科学研究センター(CNS)と理化学研究所(理研)との「重イオン物理」に関する研究協力協定が締結され,昨年10周年を迎えた。

そして今年,CNSと酒井英行研究室(物理学専攻),および理研仁科加速器研究センターが2004年4月の「東大-理研間の連携・協力の推進に関する基本協定書」を受けて2005年度より共同で建設してきた高分解能磁気分析装置,SHARAQ(Spectroscopy with High-resolution Analyzer of RadioActive Quantum beams)が完成し,その完成記念式典が2009年6月30日(火)16時より,理研RIBF棟大会議室において行われた。

式典ではまず,SHARAQの主要部の建設を行った物理学専攻の酒井英行教授よりSHARAQについての説明が行われた。これまで,安定な原子核を用いた原子核反応で原子核を熱すると,熱と同時に衝撃をあたえてしまい,原子核を特徴づける興味深い状態をつくることができなかった。SHARAQは,内部に熱を蓄えている不安定核の反応を用いることで,衝撃を与えずに原子核を「やさしく」熱することができ,未知の状態の研究が可能となる。今後,中性子星の性質の解明などが期待される。

つづいて,前田正史理事・副学長(元生産技術研究所長),大熊健司理化学研究所理事,大塚孝治原子核科学研究センター長,矢野安重理化学研究所仁科加速器研究センター長,有馬朗人名誉教授,山形俊男理学系研究科長よりあいさつがされた。大塚センター長は不安定核を使って安定核を知るというユニークさに加えて,不安定核自身の研究展開への期待も表した。

また,有馬先生より東大の原子核の研究者は使用済み核燃料の処理方法の確立など社会に役立つ研究もするべきとの激励をいただいた。いっぽう,山形理学系研究科長より理学系研究科は基礎科学の研究を社会に期待されているとの考えが述べられた。

17時からは施設見学が行われ,式典出席者はSRC(超伝導リングサイクロトロン)やSHARAQを実際に見ながら,説明を受けた。18時からは広沢クラブにおいて祝賀会が催され,小島憲道理事・副学長やCNS外部評価委員長としてSHARAQ建設を後押しした シームセン(R. H. Siemssen )教授からもあたたかい祝辞をいただいた。

(文責:加藤 千恵)

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