第4回「高校生のためのサイエンスカフェ本郷」開催される
広報誌編集委員会
ディスカッションの合間に
蛍光顕微鏡をのぞく参加者。
"蛍光顕微鏡"との出会い-。それが小田祥久さん(生物科学専攻博士研究員)の研究人生を大きく変えた。「ぜひ高校生のみなさんに蛍光顕微鏡を見てもらいたいんです」という講演者の小田さんの希望で,2008年6月14日(土)に開催された,第4回「高校生のためのサイエンスカフェ本郷」の講演では,小柴ホールのステージに蛍光顕微鏡が備え付けられた。スクリーンに顕微鏡を通して見た緑や赤の光を発する細胞小器官が映し出されると,会場内の高校生からはどよめきが湧き起こった。蛍光タンパク質を導入した細胞では生きたまま小器官の動きが観察できる。高校生から多くの,しかもレベルが高い質問が相次いだ。
今回のカフェには50名の定員に対し約90名というこれまでにない多くの応募があり,その中から選ばれた53名が参加した。前3回の講演は化学,地球惑星科学,物理学のテーマで行われたが,今回はじめて生物学が選ばれ,「細胞の中はまるで小宇宙〜細胞の中の動きに迫る〜」というテーマで行われた。小柴ホールのホワイエには,講演のテーマに合わせて,葉緑体やミトコンドリアなど細胞小器官の名前をつけた7つのテーブルが用意された。
講演後,学科選抜の大学院生2人と高校生7,8人が1つのチームとなり"ディスカッション&ティータイム"で研究の話題に大いに盛り上がった。またチームを前半と後半の2つに分けて,"研究室見学"が交替で行われ,物理学専攻の樋口研究室と化学専攻の佐竹研究室を訪れた。最先端の知見や装置に触れ,参加者は目を輝かせて研究者の話に聞き入っていた。ディスカッションの合間には参加者全員が順番に蛍光顕微鏡をのぞくこともできた。
サイエンスカフェ本郷も3年目に入り,だいぶ定着してきたようである。今後もさらに進化を続け,より良いカフェの形がつくられていくことが期待される。