日本学術会議における男女共同参画の取り組み
会員・連携会員の男女比率の推移
日本学術会議は、第24期(2017年10月発足)に会員の女性比率30%を超えました。連携会員の女性比率も30%に近づいています(28.8%:2017年)。第4次男女共同参画基本計画(平成27[2015]年12月策定)で設定された目標(2020年までに日本学術会議の会員・連携会員の女性比率を30%にする)を、会員については早々と達成できたことになります。
平成15(2003)年6月、内閣府男女共同参画推進本部は、いわゆる「202030」目標を掲げました。それは、「社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的位置に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする目標」のことです。このころ(第19期)の日本学術会議会員の女性数は13名(6.2%)にすぎませんでした。日本が女性差別撤廃条約を批准した昭和60(1985)年にはわずか3名。ミレニアム(2000年)を迎えるまで、女性会員比率が2%以下の状況が長く続いたのです。
日本学術会議は、平成17(2005)年に会員選考を選挙方式から推薦方式へと大きく変更し、新たに連携会員を設けました。これに伴い、女性数は飛躍的に増えました。女性会員は42名(20%)へと3倍以上アップしたのです(第20期)。その後も女性会員比率は順調に上昇し続け、今に至っています。
図1 会員の男女比率の推移
(日本学術会議調べ)
図2 連携会員の男女比率の推移
(日本学術会議調べ)
図3 学会の長、学会役員の男女比率
- (1)学会の長
学会の長の男女比率:男性91.9%、女性8.1%
- (2)学会役員
学会役員の男女比率:男性86.7%、女性13.3%
日本学術会議調べ(平成29年9月30日時点)
- 「日本学術会議会員」及び「日本学術会議の連携会員」は改選時における会員・連携会員数、
「学会の長、学会役員」は平成29年9月30日時点。 - ここでいう「学会」とは、日本学術会議が指定している「協力学術研究団体」をいう。
- 役員とは、会則等に定める役員として各団体より報告のあったもの。
現在の取組み・今後への課題
第24期には、多くの男女共同参画関連委員会や分科会が活動しています。科学者委員会男女共同参画分科会に加えて、今期にはすべての部に関連委員会が設置されました。また、かねてより、第一部を中心に多くのジェンダー系分科会が存在します。
女性比率が増え、委員会活動が活発になるにつれ、学術会議では学術におけるジェンダー平等のみならず、日本社会や国際社会におけるジェンダー平等の課題がさまざまに議論されるようになりました。シンポジウムや提言発出に向けた取り組みも活発になっています。
しかし、日本社会のジェンダー平等はいまなお十分に達成されているとは言えません。よく知られる「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」では、153ヶ国中、日本の総合順位は121位(2019年)でした。政治・経済・学術のすべての分野において女性は活躍しているにもかかわらず、意思決定に参加できなかったり、不安的な地位にとどまったりなど、改善課題はたくさん残されています。
日本学術会議では、男女共同参画関連委員会・分科会が今後とも協力し、数ある課題の解決に向けて、調査や政策提言を行っていきたいと考えています。
関係する委員会・分科会
男女共同参画関連の提言・報告等(2014年10月以降)
公表年月日 | 区分 | 名称 | 表出の主体 |
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2020年9月29日 | 提言 | 社会と学術における男女共同参画の実現を目指して―2030年に向けた課題―(PDF形式:6,659KB) | 科学者委員会男女共同参画分科会、第一部総合ジェンダー分科会、第二部生命科学ジェンダー・ダイバーシティー分科会、第三部理工学ジェンダー・ダイバーシティ分科会 |
2020年9月23日 | 提言 | 性的マイノリティの権利保障をめざして(II)―トランスジェンダーの尊厳を保障するための法整備に向けてー(PDF形式:1,308KB) | 法学委員会 社会と教育におけるLGBTIの権利保障分科会 |
2020年8月4日 | 提言 | 人の生殖にゲノム編集技術を用いることの倫理的正当性について(PDF形式:751KB) | 哲学委員会いのちと心を考える分科会 |
2019年11月7日 | 幹事会声明 | 研究者の「働き方改革」と自由な研究時間確保の両立についての日本学術会議幹事会声明(PDF形式:142KB) | |
2019年11月6日 | 提言 | 第6期科学技術基本計画に向けての提言(PDF形式:978KB) | 科学者委員会学術体制分科会 |
2018年12月1日 | 幹事会声明 | 「医学部医学系入学試験と教育における公正性の確保を求める日本学術会議幹事会声明-男女共同参画推進の視点から-(PDF形式:191KB) | |
2017年9月29日 | 提言 | 性的マイノリティの権利保障をめざして―婚姻・教育・労働を中心に―(PDF形式:1,193KB) 正誤表(PDF形式:116KB) |
法学委員会 社会と教育におけるLGBTIの権利保障分科会 |
2015年8月6日 | 提言 | 科学者コミュニティにおける女性の参画を拡大する方策(PDF形式:1,151KB) | 科学者委員会 男女共同参画分科会 |
男女共同参画関連シンポジウム(2020年1月以降)一覧
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- 開催日2020年2月18日(火)13:30-16:30
- 場所日本学術会議講堂(東京都港区)
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- 開催日2020年2月24日(月・祝)13:00-17:30
- 場所日本学術会議講堂(東京都港区)