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災害時救急医療
-堺エマルゴトレーニング-
救急医療 -堺エマルゴトレーニング
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エマルゴトレーニングとは、スウェーデン生まれの机上教育システム、WHOやUS空軍、EU諸国などで採用、日本集団災害医学会や日本災害看護学会でも高い評価を受けており、災害医療センターでの各種の災害研修会でのプログラム中に応用使用されている、多数傷病者発生時対応シミュレーション演習をいいます。
当院では災害拠点病院として種々の災害訓練を実施していますが、集団災害においては、病院単体で対応しうるものではなく、警察・消防を始めとする複数組織との連携や近隣災害協力医療機関、被災地外医療機関との連携をも視野に入れた訓練が必要となってきています。
平成21年4月よりエマルゴトレーニングシステム国際インストラクター兼エデュケーターでもある中田康城医師が当院の高度救急・災害医療担当部長として着任したことに伴い、以下のとおり堺エマルゴトレーニングを実施してきました。
準備は、中田医師の指導のもと、当院DMATをはじめとする職員有志、堺市消防局有志の他、関係者のみで行うことにより、演習参加者にはシナリオのわからないブラインド訓練となるようにし、当日には当院医師看護師の他、堺市消防局や近隣病院や 救命センターの職員、近隣市町のみならず他府県の消防本部等から、スタッフ、見学者を含めて各回とも凡そ100人を超える参加での 開催となりました。
堺エマルゴトレーニング準備
エマルゴトレーニングでは、ホワイトボードを災害現場や現場救護所、搬送拠点や受入病院等に見立て、傷病者を表す絵札を時間経過に従って移動させることになります。そのため、それぞれの場面において災害救助に関わる全ての職種・機関・関係者が想定されています。演習においては、各人の本務と異なる部所を担当することも多々ありますが、そのことが日常的に接している他職種の業務内容・手続きを知ることになり、錯綜する実災害時に的確な連携を確保できることに繋がります。
また、演習中には実際に発生するであろう「家族からの問合せ」や「報道関係からの問合せ」がありその対応もしなければなりません。
さらに終盤には「災害対策本部による報道発表」のシミュレーションを行うことにより、非常時であるほど的確な記録・連絡・報告が重要であるということを学ぶことができました。
終了後、反省・検討会を行い、アンケートを記入いただきました。
アンケートにおいては、ほとんどの方からこの訓練を高く評価いただくとともに、他職種の活動内容が理解できたなど、好評をいただくことができました。
阪神大震災においての最大の救助活動は周辺住民等の救助組織以外の力によるものでありました。
災害はいつ起こるかわかりません。発災からいかにすばやく対応し体制を立ち上げることができるか、どのような対応ができるのか、そのことが「防ぎえた災害死」を防ぐ最大の力となります。そしてその時点で活用できる限られた医療資源(人・物)は何なのかどれくらいあるのかをいち早く判断できる力が求められることとなります。
エマルゴトレーニングは、その時々で担当者が状況を考え行動する訓練であり、たとえ災害状況が同じ設定であったとしても担当する人の人数や、職種や経験等によって状況・状態が逐次変わります。
これらのことからもエマルゴトレーニングは「災害対応訓練」でありつつもその名の示すとおり「トレーニング」であり重要な意味をもちます。
このことからも、職員の意識・技能の向上に努めるのみならず、日常的な院内体制の確立とともに各施設間の連携などを重要な課題としてとらえ、今後さらに多くの方の参加・見学を含めた訓練の開催を計画してまいります。