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「日本全国の中小企業を元気にする」赤字の町工場を復活させた2代目社長のリーダー論

8/26(火) 12:00

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「日本全国の中小企業を元気にする」赤字の町工場を復活させた2代目社長のリーダー論
諏訪貴子氏は、雑誌『THE21』(2025年9月号)にて、リーダーとしての「考え方」を解説する

父親の急逝を受けて、一介の主婦から町工場の2代目社長になった諏訪貴子氏。100年に1度の経済危機と言われたリーマンショックも乗り越え、もがき苦しんだ末に、赤字だった会社の経営再建に成功する。「日本全国の中小企業を元気にしたい」を信念に動き続ける同氏に、リーダーとしての「考え方」を聞いた。(取材・構成: 林 加愛)

(注記)本稿は、『THE21』2025年9月号より、内容を一部抜粋・再編集したものです。


自分にではなく、会社に自信がある

――2004年、急逝された父上の跡を継いで町工場の経営を担い、赤字経営から優良企業へと変貌させた諏訪貴子社長。今日はぜひそのリーダーシップの秘訣を伺いたいです。

【諏訪】いえいえ、とんでもないです。32歳当時の私は、エンジニアの経験はあるものの、経営経験はおろか、リーダー経験さえない状態。最初はただ必死で、「必要だ」と思ったことを実行するのみでした。

――設備の一新や、生産管理システムのIT化など数々の改革が再建に結びついたのは、やはりご自身の手腕では?

【諏訪】運が良かっただけです(笑)。それも私自身の運ではなく、会社の運です。就任時から持っているのが、ダイヤ精機という会社自体が「生き物」だという意識です。会社を裏切るようなことをしなければ運がついてくる、と信じてきました。私自身に対する自信ではなく、会社に対する自信とも言えます。

――その自信で、経営難の逆境も乗り切れたのでしょうか。

【諏訪】そうですね。苦しかったのは、むしろ逆境を超えた後でした。就任半年でひとまず経営難を脱したとき、急に「経営者の孤独」が身に染みたんです。責任の重さや、誰にも相談できないつらさに悶々とした時期でした。あと、3年かけて経営再建を終えた直後も、目標を見失ってモチベーションが低下しました。

――そのときは、何が支えに?

【諏訪】新しい目標を掲げたことです。父の夢だった「中小企業の活性化」を2代目として引き継ぐ。そう決意した後は、再建時の当社の取り組みを公開したり講演活動を行なったりと、再び活動の意欲が湧きました。ダイヤ精機の所在地にして町工場のメッカである大田区はもちろん、日本全国の中小企業を元気にしたい。それは今も、私の信念です。


1 on 1に活かされるカウンセリングの知識

――「経営者の孤独」は、どのように乗り越えましたか?

【諏訪】クラシックバレエを習い始めたことが大きかったです。これは今も続けている20年来の趣味です。趣味というと軽く聞こえますが、仕事を忘れて頭をスッキリさせる時間は非常に大事。経営者に限らず、働く人全員に持ってほしい意識です。社員教育に使用している自作の教科書にも、「趣味を持とう」という項目を設けています。

――社員教育で趣味を推奨とは、ユニークですね。

【諏訪】教科書には「強く叱られている最中は魂を抜け」という項目もあります。叱られるのは見込まれている証拠でもありますが、心がダメージを受けては、元も子もありませんから。

――社員の皆さんのメンタルをとても大事にされていますね。2018年には上級心理カウンセラー資格も取得されています。

【諏訪】はい。そのとき学んだのは、人の行動の源に「考え方」があるということです。同じ事象に接しても、それに対する反応や行動は人それぞれ。なぜなら各々の考え方に基づいて違う感情が生まれ、それが行動に結びつくからです。得てしてリーダーは行動だけに注目して指導をしがちですが、必要なのは、考え方に寄り添う対応です。私はこれを社員との1on1に取り入れています。大元まで掘り下げたうえで、本人の関心の所在や望む姿を浮き彫りにし、目標設定に落とし込んでいます。

――深い対話になりそうです。

【諏訪】おっしゃる通りです。人数が少ないからできることでもあるので、今後も社員数は30人以上にはしないつもりでいます。

――会社をもっと大きくしたい、というお考えは......?

【諏訪】まったくナシです。小さいほうが目が届きますし、私自身もそのほうが楽しいですから(笑)。要は、町工場が好きなんですね。




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