2005年 - 2007年
統合失調症モデル動物における認知機能と神経変性に関する脆弱因子の探索
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
非競合的N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体拮抗薬のフェンシクリジン(PCP)は、ヒトに統合失調症と類似した情動・認知障害を惹起させる。PCP(10mg/kg/day)を14日間連続投与したマウスにおいて強制水泳ストレスによる無動状態(意欲低下)が増強され、水探索試験における潜在学習(認知機能)が障害された。これらの行動障害とグルタミン酸作動性神経機能の関与について調べたところ、PCP連続投与によりグリア細胞の活性化や神経細胞の萎縮が惹起され、前シナプス機能やNMDA-CaMKII情報伝達系の機能が阻害され、情動・認知障害が惹起されることが示唆された。Disrupted-in-schizophrenia 1(DISC1)は統合失調症関連遺伝子であり、神経発達期の大脳皮質において細胞移動および神経突起の伸長などの重要な役割を担っている。子宮内エレクトロポレーション法によりDISC1の発現を抑制するsiRNAを胎児期の脳内に遺伝子導入したマウス(KDマウス)を作製したところ、KDマウスでは神経発達過程において前頭前皮質におけるドパミン神経機能の低下が引き起こされ、これが生後56日目の認知障害の発現に関与していることを見出した。PC連続投与マウスの前頭前皮質におけるタンパク質発現変化を調べるため、fluorescence two-dimensional difference gel electrophoresis(2D-DIGE)法を用いてプロテオーム解析を行った。コントロール群に比べて、PCP連続投与マウスでは7個のスポットの発現が増加し、逆に2個のスポットの発現が減少していた。これら発現に変化が認められたスポットについて質量分析装置を用いてタンパク質の同定を行った結果、細胞シグナル(5スポット)、タンパク分解(1スポット)、エネルギー代謝(1スポット)に関与するタンパク質であることが同定された。PCP連続投与マウスに認められる情動・認知障害の分子機序にこれらのタンパク質群が関与している可能性が示唆された。
- ID情報
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- 課題番号 : 17390018
- 体系的番号 : JP17390018