2011年3月
ディアスポラのハビトゥスに構造化するカーストの傾向性-19-20世紀フィジーにおけるインド人年季契約労働者移民の事例から-
大阪市立大学経済学部ディスカッションペーパー
- 髙橋 玲
- 巻
- 号
- 64
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(研究会,シンポジウム資料等)
大英帝国植民地のプランテーション労働力には、インドで徴募された契約移民が充てられた。この年季契約労働者制度により数万人規模の移民が発生したが、契約終了後も多くのインド人は、各国に居住する「ディアスポラ」として固有のアイデンティティーを形成している。本稿の主題は、19-20世紀にフィジーに移民したインド人年季契約労働者が構築した彼らのアイデンティティーの中に、インド文化(=カースト)の主体的な再生産が看取されることを歴史人類学的な手法で明らかにすることである。カーストの本来的な傾向である「階層化」「差異化」は彼らのハビトゥスに刻まれ、新たな実践形式で彼らの「プラティック」に析出した。階層化は「シルダール」や「パンチャーヤット」という制度上で再生産され、差異化はエスニックな内婚に対する選好性へと実践形式を変更した。ディアスポラとハビトゥスを鍵概念に、従来のカースト解釈を批判することが本稿の目的である。