共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2025年3月

異なる規模の空間的異質性を抽出する:地理情報分析に基づく地域の特徴把握に向けて

日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)

課題番号
23K20972
体系的番号
JP23K20972
配分額
(総額)
13,000,000円
(直接経費)
10,000,000円
(間接経費)
3,000,000円

地理空間現象が有する性質の1つは,場所によってその生成過程が異なる空間的異質性である.空間的異質性分析において,生成過程に対して空間上で連続的な変化,および,ある境界線での離散的な変化の二種類の仮定が考えられてきた.昨年度までに,各地点における平均的な生成過程に存在する連続的・離散的な空間的異質性を分析する手法を構築してきたが,本年度はデータ分布の分位点や階級によって生成過程が異なることも空間的異質性と合わせて分析可能な手法を構築した.
まず,分位点毎に空間的異質性構造が異なることを分析できる手法を開発した.連続的な異質性の分析に対して,空間可変係数モデルの一つであるESF-SVCと分位点回帰を融合した手法を,離散的な異質性の分析に対して,小地域毎に固有の係数を導入した分位点回帰にL1正則化を導入した手法を構築した.両者に対して,シミュレーションデータを用いた性能評価や不動産賃貸市場分析への適用を通して,提案手法の有効性を確認した.
次に,各場所で得られた階級などの分類の比率である組成の生成過程が有する空間的異質性の分析手法を開発した.連続的な異質性分析に対してESF-SVCを組成データ分析手法に融合した手法を,離散的な異質性分析に対して,小地域毎に固有の係数を導入した組成データ分析の回帰モデルにL1/L2正則化を導入した手法を構築した.分位点の分析と同様に,シミュレーションデータを用いた性能評価と,市町村単位の政党得票率や所得階層比率の分析を通して,提案手法の有効性を確認した.
以上のように,本年度は,地理空間現象の分布を表す二種類のデータに対して,連続的・離散的双方の空間的異質性に対する仮定に基づく分析手法を構築し,これまでの平均的事象の分析に留まらない多様な空間的異質性分析を可能とした.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-23K20972
ID情報
  • 課題番号 : 23K20972
  • 体系的番号 : JP23K20972