夏の冷房時には室温28°Cを目安に。冷房時の外気温や湿度、建物の状況、体調等を考慮しながら無理のない範囲で冷やしすぎない室温管理をお願いします。

COOLBIZ

2018年の夏は、連日暑い日が続いています。
私たちは、生活や働き方をどう見直して、温暖化防止のアクションを実践すればいいのでしょうか?
コラムニストの ひきたよしあき さんに、「クールビズについて考える」コラムを寄稿頂きました。


命が喜ぶクールシェア

熱いときだからこそ、大好きな人といっしょに過ごす。
「クールシェア」は、私たちの「生き方」を変えるきっかけになります。

大病を克服した私は、「命の喜ぶ生き方」というモノサシを手に暮らしています。
命の喜ぶ働き方に徹し、命の喜ぶ時間を過ごす。
その真ん中に、仲間とすごすクールシェアがあります。
早めに会社の席を立ち、涼しさを分かち合いながら、心と心を温めあう。
まずは部下をもっているあなたに読んでほしいコラムです。

「命の喜ぶ生き方」

2年前に、大病をしました。
9日の入院中、死の不安と闘いながら、
水を飲み、おかゆをすすり、トイレまでの長い道のりを歩きました。
退院した朝、タクシーで帰宅途中、外がキラキラと光っている。
「なんだろう」と思って、目をやると、多摩川の川面でした。
陽光を満遍なく浴びて、音楽を奏でるかのように輝いている。
光の精が踊る姿を初めてみたのです。

「これが、あの多摩川か・・・」

死の淵を眺めたのち、眼下に広がる風景が一変しているのを感じた瞬間でした。

その後、この話を元ハワイ大学名誉教授の吉川宗男先生にお話しました。
先生も同じ病を患い、生き方を変えられたひとりです。

「ひきたくん。一度そういう経験をしたのなら、これから先は『命の喜ぶ生き方』を選択するといいですよ」

吉川先生がおっしゃる「命の喜ぶ生き方」とは例えばこういうことです。
ホームから改札に行くときに、エスカレーターと階段がある。エスカレーターの方が楽で、疲れない。
でも、そこで「どちらが命の喜ぶ生き方か」と考えてみる。
エスカレーターは確かに体にとっては楽。しかし、命は喜ぶか?命が喜ぶのは、第二の心臓と言われるふくらはぎに力をこめて、一歩一歩階段を登る方ではないか。
こういう選択を、食べることにも、仕事にも、人づきあいにも応用していく。
「命の喜ぶ生き方」をモノサシに生きていく。
このモノサシを手にした瞬間、私の生活は、ガラリと変わりました。

「命の喜ぶ働き方改革」

仕事に復帰してからも、「命の喜ぶ生き方」を基準に働くことに決めました。
仕事はするが、雑用はしないと決め、つきあいの会議や誰かの出世のお手伝いは一切やめました。
最新脳科学の本をあれこれ読んで、人間の集中力は、せいぜい5分から8分程度。
効果をあげている勉強法は、30分を一区切りにすると知りました。
これまで漫然と1時間単位で考えていた仕事を30分で区切る。
この方が効率的だと肌身で知りました。

さらに積極的に「休む日」を作る。
これまで有休休暇はおろか、夏休みですら休むことに罪悪感を感じてきた世代。
若い頃に街中に響き渡っていた
「24時間戦えますか?」
という言葉が耳にこびりついているサラリーマンです。

その考えを断ち切るために、個人的に「生活者の日」を名づけた休暇日を作りました。
これはサラリーマンではなく、ひとりの生活者に戻って、スーパーに買い物に行き、本屋を歩き、会いたい友だちに会い、好きな仲間と食事をする。
月に一度でも、土日以外の「生活者の日」をつくると心が軽くなるのです。
家族との団欒、お子さんと存分に語り、遊ぶ時間、皆さんも「生活者の日」をつくるとストレスがかなり減るのではないでしょうか。

「クールビズにはウォームハートが欠かせない」

「命の喜ぶ生き方」をモノサシにして、働き方を見直す。
早い帰宅を心がけ、休みを積極的にとる。
多くの人がこれを実践すれば、会社は早くエアコンのスイッチを切ることができる。
一見「クールビズ」は推進されるように思えます。
しかし、家に帰って家族が各自の部屋にこもり、それぞれがエアコンのキンキンに効いた部屋にいたのでは、余計にエネルギーを消費してしまいます。

ここでも登場するのが、「命の喜ぶ生き方」です。
家族でもいい、友だちでもいい。
人と人が語らい、寄り添う場を生活の中につくる努力をする。
命は、孤独を嫌います。命は、人の笑顔で温まり、喜びを感じるものなのです。

先日、20年来の友人が早期退職をしました。
その祝いの席に、昨年生まれた赤ちゃんをつれたご夫婦や昔の仲間が集まりました。
ひとつの部屋で、酒を酌み交わし、なつかしいビデオを見て笑う。
赤ちゃんをみんなであやし、記念写真を撮る。
この宴の席で私は、体の細胞レベルから命が喜んでいるのを実感しました。
仲間も多いし、笑うので、少し汗をかくほどです。
それでも部屋は心地よく、「クールビズ」には「ウォームハート」が欠かせないと実感したのでした。

「仕事に修行はいらない」

私は、大病を患うことで「働き方改革」ならぬ「生き方改革」を進めることができました。
しかし、これは稀のこと。一般的には、みんなが働く職場の中で、ひとり「お先に」と帰ることへの心理的圧迫があります。

この問題は、会社のトップや上層部の方々の意識を変えるのが一番ですが、なかなかそうはいかないようです。

「俺たちの若い頃は、その日のうちに帰ったことなんてなかった」

という意識がどこかにある。
しかし、まだまだ日本の社会に終身雇用や年功序列が色濃く残り、男女の雇用も、ネット社会も未発達だった時代の価値観などをふりかざしたところですでに理解できる人が、少ない世の中なのだと知るべきです。

私の教えている明治大学の学生が就活に際し、「仕事はいくらでもしたいけれど、修行をさせられる会社には行きたくない」と言っていました。この言葉をしっかりと受け止めるべきでしょう。

「暑い時は、集まろう」

猛暑は年々過酷になり、もはや「異常」とばかり言ってはいられない夏が続いています。
「熱中症を防ぐためにエアコンをつけましょう」とテレビが連呼する毎日。
だからこそ、「命の喜ぶ生き方」を思い出してほしいのです。
暑いときだからこそ、一人、孤独に冷房の風を浴びているのではなく、大好きな人といっしょに過ごす。仲間と集う。楽しい時間を過ごす。
みんなでひとつの部屋に集まって、クールシェアすることこそが、この季節の、そしてこの時代の「命の喜ぶ生き方」です。

地球のために、あなたの人生のために、
暑い時は、集まろう!

<プロフィール>

ひきたよしあき
スピーチライター、広告代理店クリエイティブプロデューサー。
1984年、早稲田大学法学部卒。学生時代より「早稲田文学」学生編集委員。NHK「クイズ面白ゼミナール」クイズ制作などで活躍。1984年、博報堂に入社し、CMプランナー、クリエイティブディレクターとして数々のCM作品を手がける。
現在では、政治、行政、大手企業などのスピーチライターを務めている。また、明治大学などで、「広告コミュニケーション」「日本語のもつ潜在的なちから」をテーマに講義や講演を行うほか、「朝日小学生新聞」に長年コラムを寄稿するなど、若者に日本語の潜在能力や素晴らしさ、コミュニケーションの重要性を伝えている。著書に『大勢の中のあなたへ』『机の前に貼る一枚』(ともに、朝日学生新聞社)、『あなたは言葉でできている』(実業之日本社)などがある。

「クールビズ」とは

環境省は冷房時の室温を28°C(目安)で快適に過ごすライフスタイル「COOL BIZ」を推進しています。(身近に温度計を置くことをおすすめしています。)

だいやまーくウェブサイトはこちらから
https://ondankataisaku.env.go.jp/decokatsu/coolbiz/

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「COOL CHOICE」は、CO2などの温室効果ガスの排出量削減のために、低炭素型の製品・サービス・ライフスタイルを賢く選択していこうという取り組みです。
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