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高校生のスポーツの祭典「北部九州総体」が7月21日から福岡県など九州北部を中心に全国7県で開催される。女子ソフトボール(22日から長崎県大村市)で期待されるのが東京五輪金メダリストの藤田倭、内藤実穂の出身校である佐賀女子。2006年の全国総体以来となる18年ぶりの全国制覇を狙っている。

佐賀女子にとっては例年以上に力が入っている年になっている。北部九州総体、佐賀での国民スポーツ大会(国スポ)と地元開催の大きな大会を控えているからだ。昨年の全国総体は4強。あと一歩で決勝を逃したが、今年は津上さおり監督が「優勝も狙えると思います」と語るように充実したチームづくりが進んでいる。

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1日に1000スイングをこなす時期も

津上監督と、5年前から指導に携わるようになった塚本浩二コーチの二人三脚でチームを率いてきた。塚本コーチは佐賀商野球部出身。甲子園でノーヒットノーランを達成し、西武で活躍した新谷博氏(西武ライオンズレディースGMなど)と同期で、塚本コーチも背番号11をつけ2番手投手として甲子園のベンチに入った。国民スポーツ大会では佐賀女子の単独チームとなる少年女子の監督を務める。

コーチ、監督として29年指導している佐賀女子の津上さおり監督

津上監督と塚本コーチが掲げるのは強力打線を押し出した「打ち勝つソフトボール」。「東京五輪もそうでしたけど、小技が主流だったソフトボールがより野球に近づいてきています」と、塚本コーチのもとで打撃強化を図り、1日に1000スイングをこなす時期もあった。オフシーズンにはソフトボールのバットより200グラム以上重い硬式野球のバットを使うこともあったという。

パワーアップに成功したチームは打撃強化に成功し、1試合で11本塁打が飛び出した試合もあった。8月に行われる女子U18ワールドカップグループステージの日本代表に選出された加減夢華(2年)ら実力のある選手がそろい「上位打線は本塁打を打てる選手が並ぶ。パワーでは全国トップクラス」(塚本コーチ)と自信を持っている。

全国高校総体と国スポ優勝への思いを語る佐賀女子の中村主将

チームを引っ張る中村真綾主将(3年)は「相手が怖いと思うスイングをしたい」と目標の日本一を見据える。中村主将の父は日本文理大硬式野球部の中村寿博監督。父は高校時代に西日本短大付で甲子園優勝を果たした。長兄は育成選手でソフトバンク入りを果たし(現在は4軍スタッフ)、次兄は筑陽学園高で甲子園に出場。3番目の兄とともに今春の東京六大学を制した早大に所属する野球一家に育ち、小学3年からソフトボールを始めた。

「私もお父さんみたいに日本一に」

「私もお父さんみたいに日本一になりたかったので佐賀女子に来ました」と大分の自宅から離れ佐賀女子へ進んだ中村主将。野球界で頑張る兄たちの活躍も大きな刺激にして「全国総体と国スポどちらも絶対日本一になります」と意気込む。

打撃力に加え「攻撃のバリエーションもあるけど、全国では好投手になると打てなくなることもあるので守備もきちんとしていきたい」と津上監督はディフェンス面の強化にも力を入れる。何より「人間力」を重視する津上監督は「うちの子たちは何より素直。グラウンド以外でも手を抜くことはないんです」と笑顔を見せる。信頼を置く選手たちと全国の頂点を目指す戦いが始まる。
(前田泰子)

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前田 泰子

前田 泰子

記者

高校野球、大学野球、社会人野球などアマ野球を中心にスポーツ全般を取材。 1992年、日刊スポーツ新聞社西部本社に入社。 2012年にフリーとなり西日本新聞、西日本スポーツのほか雑誌、ネット媒体などで執筆。 甲子園取材では担当チームが春夏通算6度優勝し、全国高校サッカーと全国高校ラグビーでも3度ずつ、担当チームの優勝を経験。記者仲間からは「強運記者」と言われるが、その運が自分に向けられたことはない。 「九州高校野球界の黒柳徹子」を目指し日々取材中!

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