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だいやまーく第105回全国高校野球選手権1回戦 浜松開誠館5―2東海大熊本星翔(10日、甲子園)

一度は完全に諦めていた〝夢の舞台〟で、東海大熊本星翔・百崎がまさしく、躍動した。

「ホントに苦しい1年間だったんですけど、甲子園という舞台で高校野球が終われた。最後にこういう形になれて良かったです」

甲子園に憧れて、神奈川・東海大相模高に入学した2年前の春。その直前の選抜大会で3度目の全国制覇を果たした強豪校で、1年秋からレギュラーの座をつかんだが、チームの空気になじめないものを感じ、さらに門馬敬治監督(現・岡山・創志学園高監督)も退任したことも重なり、百崎は退学を決意。故郷の熊本に戻り、東海大熊本星翔へ編入した時には、野球はやめるつもりだったというが、野仲監督から「一緒にやろう」と声をかけてもらい、チームメートたちも「ホントに温かい人が多くて、支えてもらいました」。

再起を決意すると「練習自体が本当に厳しかった。引き締まった練習を見せてもらった」という東海大相模での経験や練習のノウハウを、チームメートにも惜しみなく伝え、チームに〝強豪校のエキス〟を注入。ただ、日本高校野球連盟の規定で、転入先の学校では公式戦に1年間は出場できないため、この夏の戦いは、百崎にとっては甲子園をかけた〝最初で最後の挑戦〟だった。

「われわれは、まだ甲子園では勝ったことがない。そこを〝やれるんだ〟という気持ちに、チームのみんなを持っていけたのは、百崎の大きな功績」と野仲監督。熊本県大会前に自打球を当てた左足甲の骨にはヒビが入り、甲子園でも痛み止めが欠かせず「万全ではなかった」と明かしながらも、1回には中越え二塁打に、相手守備陣のミスを突いて、三塁を陥れると、1死三塁から渡嘉敷の遊ゴロの間に先制のホームを踏んだ。

「自分的には、初回の先頭バッター、というのを大事にしていて、ピッチャーがいいということを聞くと、その先入観で入る選手もいると思うんですけど、そんなのは関係なく、自分が1打席目から捉えていけば、チームにも火が付くし、いけるんじゃないかという気持ちが出てくると思うんです。だから、あの1打席目は勝負をかけて、100%あるのなら、その99%くらいをかけていきました」

そのアグレッシブなプレースタイルは「さすがでした」と野仲監督。ただ、2回までに2点をリードしながら、1点リードの5回、浜松開誠館の4番・新妻に逆転2ランを浴び、8回にも2点を奪って突き放され、結局逆転負け。東海大熊本星翔にとっても悲願だった甲子園での初勝利は実らなかった。

「このチームで甲子園に行って勝つ。自分が引っ張っていければいいと思っていたので、勝利に導けなかったのは申し訳ないですし、ふがいないんですけど、この仲間とプレーできたのは一生の財産です」

退学、転入、そして甲子園。その波瀾(はらん)万丈の高校野球生活を涙ながらに、そう〝総括〟した百崎は、高校通算39本塁打を誇る大型遊撃手としてプロのスカウト陣からも注目の存在。今後の進路に関して、この日は明言を避けたものの「プロを目標にしてきた。上に行くにつれて、もっといい選手も出てくる。負けないようにやっていきたいなと思っています」と語り、今後の理想像として、4年前の1月に大腸がんの手術を受けながら、その年の球宴に出場して、2戦連続本塁打を放ち、現在も代打の切り札として活躍を続けている阪神・原口文仁の名を挙げ「苦しい時期を乗り越えられて、自分も夢をもらった。そういう選手になりたいと思っています」。

待ち受ける〝困難〟を前にしても、ひるまないで、夢を信じて歩み続ける。その諦めない心の大事さを、原口の姿を見ることで、そして高校での日々を通して、百崎は身をもって知ることができた。その得がたい体験を糧にして、次なるステップでも、たゆまぬ努力を続けるつもりだ。

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