来年1月2、3日に行われる第100回東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)は記念大会として、今秋の予選会の参加資格が従来の関東学生陸上競技連盟男子登録者から全国の大学に拡大される。門戸が開放された地方大学はどう考えているのか。28日の全日本大学駅伝九州地区予選会に出場した大学に聞いた。

上位5校のうち、鹿児島大、第一工大、鹿屋体大の3校が「目指さない」と明言した。優勝した鹿児島大の茅野智裕(大学院修士課程2年)はもともと、箱根駅伝を目指した時期があったが、兄が関東の大学で苦しむ姿を見て「自分では通用しない。地元の国立大で頑張ろうと思った」と進路を決めた。昨夏に箱根の全国化が決まった際もチーム内で「まずはしっかりと全日本大学駅伝と島原駅伝(九州学生駅伝)を目指そう」と確認し合ったという。例年、全日本と12月の九州学生駅伝が最大の目標。同大の田代敬之(4年)も「二兎を追う者は一兎も得ず。取れるところをしっかり取りたい」と語った。

距離への対応も挑戦を難しくする。

箱根駅伝は予選会がハーフマラソンで、本戦も全区間20キロを超える特殊な大会。地方大学は最長1万メートルのトラック種目を中心とした強化方法で、各地の駅伝も1区間10キロ前後が多い。全国大会の常連、第一工大の岩元慎一総監督は「地方で20キロ走れる選手はいない。(全国化が)5年くらい続けられるならともかく、1回こっきりででは...」と話した。

全国化は今年限りのため、将来を見据えた強化もできない。鹿屋体大の松村勲監督は「感情で『チャレンジだ』と言っても...。もっと目指すべきことに注力して成績を残すことの方が大事。関東学連に右往左往させられている。地方の大学が巻き込まれているだけ」と指摘した。

一方、早くから予選会出場に前向きなのが福岡大だ。

【次ページ】地方から「箱根」を目指すわけ

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伊藤 瀬里加

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