夢を追い続けた先に光が見えた。「26歳のオールドルーキーですが球界一の左キラーを目指したい。育成スタートだけど年齢を考えると時間がない。一日一日全力で勝負していく」。7日の新入団選手発表会見には高卒ルーキーのような初々しさとは違う苦労人の表情があった。
新潟県三条市生まれ。3きょうだいの真ん中で、雄大(ゆうた)の名には父順一(55)、母須美子(56)の大きく育ってほしいとの願いが込められている。野球を始めた第一中は部員が少なく、市内の大会でも1回戦敗退続き。それでも黙々と練習に取り組み、中越高で頭角を現した。長岡市まで始発で通い、帰宅は午後10時半。3年夏の新潟大会でエースとして同校を準優勝へと導いた。自信をつけた左腕はプロを目指して東都リーグの強豪、青学大に進んだ。
「入った時にとんでもないところにきたと思った」。同期は東條(ロッテ)や杉本(オリックス)、後輩には吉田正(同)。のちにプロ入りする逸材がそろうチームにあって、公式戦の登板はゼロに終わった。ようやくベンチ入りしたのは4年の最後、消化試合。須美子は「普通なら就活の時期に練習を続けていたので、後輩から『まだやるんですか』と言われていた」と当時を振り返る。就職より野球を続ける道を選びルートインBCリーグの新潟に入団した。
入団当初の月給は12万円。それもシーズン中だけで、冬はスポンサーの会社でアルバイトをしながら練習した。ホームセンターでのレジ打ちや品出し、温泉施設での皿洗いや配膳。苦しい環境でも腐らず汗を流した結果、NPB2軍との交流戦で好投するなどしてスカウトの目に留まり、1年目から調査書が届きはじめた。
新潟入りして4年目、今秋のドラフトでついに名前を呼ばれた。新入団選手で〝最下位〟の育成6位。それでも「一層、努力しないと」と前を向く。「僕は26〜30歳ぐらいがピークだと思っている。高卒2、3年でピークを前に去る選手もたくさんいる。いい時期にプロに挑戦できるし思い切りやれればいい」。無印左腕がしんがりから成り上がる。(敬称略)

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小畑 大悟

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