円高・円安はアメリカのルール違反から生まれた!
44年前、世界に激震が走った日

茂木誠
記事をクリップ
URLをコピー
記事を印刷
Xでシェア
Facebookでシェア
はてなブックマークでシェア
LINEでシェア
noteでシェア

ニクソン・ショックの結果、
アメリカが得たもの、失ったもの

金の流出を阻止するため、ニクソン大統領は緊急のテレビ会見を行い、「金とドルの交換を停止する!」と発表したのです。これをニクソン・ショック(1971年)といいます。今から44年前の出来事です。

世界恐慌のときに各国が行った「金本位制の停止」と同じことをやったわけです。さらにニクソンは、「輸入品に一律10%の輸入課徴金を課す」と発表しました。

これらはブレトン=ウッズ体制に対する明白な違反ですが、残念ながら超大国アメリカに対して制裁ができるような国はありません。

ニクソン・ショックの結果、「ドルを持っていると暴落するんじゃないか?」と恐れた各国の銀行や証券会社がドルを売って円やマルクを買ったため、アメリカは固定相場制を維持するため、1ドル=300円までドルを切り下げます(スミソニアン合意)。

しかしその後も、ドル売りの雪崩現象は止まりません。もはや固定相場制を維持するのも困難になりました。各国の中央銀行は市場介入をやめてしまい、通貨の価格は為替市場における売買で決まる―買い手が多ければドル高になり、売り手が多ければドル安になる―という変動相場制へと移行しました。この体制が今も続いているわけです。

アメリカは、各国通貨にドルとの固定レートでの交換を認め、信認を与えるという役割を自ら放棄してしまいました。アメリカの威信は地に堕ちます。その反面、円高マルク高ドル安の進行はアメリカ製品を割安にし、アメリカ企業の国際競争力は徐々に回復しました。アメリカは、「名を捨てて実をとった」のです。


だいやまーくダイヤモンド社書籍編集部からのお知らせだいやまーく

『経済は世界史から学べ!』
思わず人に話したくなる「ストーリーとしくみ」

価格:1500円+税
ページ数:240、1色刷
ISBN:978-4-478-02364-8

「現役」予備校講師が教えるから、面白くって、わかりやすい!「世界史」というレンズを通せば、経済がもっとわかる!

消費増税、TPP、円高、デフレ、バブル、国債、恐慌etc。歴史の流れを知ることで、経済の「なぜ」「どうして」がスッキリわかる!

著者は、駿台予備校講師の茂木誠氏。「東大世界史」「難関国立世界史」等の講座を担当する実力派。歴史の流れをわかりやすく、そして深く理解させる超プロフェッショナルです。

思わず人に話したくなってしまう「ストーリーとしくみ」をあなたにお届けします!

ご購入はこちら! [Amazon.co.jp] [紀伊國屋BookWeb] [楽天ブックス]

経済は世界史から学べ!
経済は世界史から学べ!
茂木 誠 著
<内容紹介>

世界史から学ぶ、経済のしくみ 大人のための学び直しに! 知的教養がぐんぐん身につく44のストーリー 「現役」予備校講師が教えるから、面白くって、わかりやすい! 増税、TPP、円高、デフレ、バブル、国債、恐慌etc 「消費増税」も「TPP」も歴史に学べ! 人に話したくなる「ストーリーとしくみ」 歴史の流れを知ることで、 「なぜ」「どうして」がスッキリわかる!

amazonで購入する 紀伊國屋書店で購入する 書店で購入する

特集

あなたにおすすめ

書籍オンライン

書籍オンライン 記事ランキング

  • 最新
  • 昨日
  • 週間
  • いいね!

愛読者クラブ登録

書籍 週間ランキング

(POSデータ調べ、12/15〜12/21)

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /