異動希望に上司が激怒!「もう出世はできないぞ」の一言で退職を決意した部下

――有能な若手を辞めさせるダメな上司のケーススタディ
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前回は「ものごころついてから、ずっと暗いことばかり」だった20代の来し方を検証しつつ、「若手に対して関心を持つ」ことが「適度なかまい方」の大前提である、と指摘しました。その姿勢が欠けていると、信頼関係は構築できません。今回は、ダメな例、つまり「かまい方」に失敗したために、有能な若手が早期退職してしまった例を紹介します。

「会社の知名度」は関係なし。
若手を生かすも殺すも上司次第!?

いま問題になっている若手社員の早期離職は、「会社の知名度」とは関係なく発生しています。客観的に見て、「なんで、こんな良い会社をアッサリ辞めてしまうんだろう?」というケースは枚挙に暇がありませんが、当人たちにとっては部外者の見方は関係がありません。会社側が自信を持っている会社の「ステータス」や「ブランド・エクイティ」は、いよいよとなるとまったく抑止力にはなりません。

では、なにが抑止力になるのか。それは言い換えると、なにが早期離職の引きがねになるのか、ということの裏返しです。多くの場合、それは「人の問題」。より限定して言うなら、「上司や先輩の行動や言動」です。

2つの具体例を挙げて解説しましょう。

大手ソフトウェア会社を
2年半で辞めたA君のケース

「入社2年目で担当したのが、今あるシステムのソースを読んで、それを新しく別な言語で作りかえるという創造性のない業務。ひたすらディスプレイをにらめっこするだけの、面白味のない仕事でした」

前向きで、仕事能力の高さを感じさせる受け答えの的確さが印象的なA君。彼が入社したのは創業30年になる大手ソフトウェア会社でした。そこを2年半で退職し、いまは新興のソフトウェア会社に転じて、SEとして働いています。

「入社2年目というのは、まだ学ぶことがたくさんあるはずです。3年目になったら、それまでの開発の経験を生かしてさらにステップアップしたいと思っていましたが、そういう仕事ではなかった」と振り返ります。

業務に不満を感じていたA君は、思い切って上司に異動を願い出たそうです。単なる焼き直しのプログラミングなどではなく、クライアントの前で折衝をするような仕事がしたい。それができるプロジェクトがあるなら移りたい、と考えていたことを率直に言いました。

しかし、上司はA君の言い分をまったく認めませんでした。認めないばかりか、頭ごなしに否定されたと言います。

「もの凄くきつい言い方でした。『なんでお前の為に俺が他の部署と調整しなければならないのか』と言われましたね」

よくある話でしょう。社員の言い分をすべて認めるわけにはいかない、というのも当然のことです。A君とて、それは承知していました。異動できればラッキーですが、そんなに簡単なものではないことはわかっています。人手が不足気味である社内の事情も理解しています。むしろ、自分が考えていることを理解してもらいたいという気持ちが強かった、と言うのです。

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