1年目は「誉めて伸ばす」、2年目以降は「ちょっとした試練を」が、デキるリーダーの指導術

――OJT調査でわかった"入社年次別"のかまい方
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OJTを再活性化するにはどうすればいいのか。私が所属するダイヤモンド社人材開発事業部では、この多くの企業が抱える問題意識に解を示そうとチャレンジしていますが、このたび小樽商科大学・松尾睦教授との共同調査「OJT調査」で興味深い結果が得られました。

企業におけるOJTの実態をアンケート調査し定量的に分析したのですが、優れたOJTリーダーは入社1年目への接し方と、2〜5年目社員への接し方が違っており、それぞれの成長を促す指導のしかた、言い換えれば「かまい方」の傾向が明らかになったのです。

若手をうまく育てる
OJTリーダーのかまい方

若手を成長させる優れたOJTリーダーは、どんなかまい方をしているか。OJT調査では、1年目社員と、2〜5年目社員と、違うかまい方をすることで若手が成長するという結果が出ました。

調査はアンケートによるもので、22社にご協力いただき、約1400の回答がありました。企業規模はいろいろですが、集計すると製造業からの回答がもっとも多く、回答者であるOJTリーダーの平均年齢は46歳でした。

結論から言うと、1年目社員に対する指導は「失敗を責めず、ステップ・バイ・ステップで誉めながら自信を持たせる」こと。これが成長を促すポイントという結果でした。

また、2〜5年目の社員に対しては、「自分で考えさせて、ストレッチとフィードバックが必要。リフレクションを重視する」ことが成長させる指導であることがわかりました。ストレッチとフィードバックとは、つまり能力や経験知よりすこし難易度の高い仕事を与え、その結果をふまえて指導する、ということです。リフレクションとは、「内省」することをいいます。

私たちは、「会社に入った若手が、とりあえず一人前になるには3〜5年かかる」という松尾睦教授の研究結果をバックボーンに、企業の人材育成をサポートする各種事業を展開しています。

ともすれば個人の勘とセンスでおこなわれがちなOJT。しかも成果主義によってOJTリーダーもプレーイング・マネジャーとして重い数値目標を課され、若手人材の育成は後手にまわり、ひいては3年で3割が辞めてしまう早期離職に歯止めがかからない。そこで、OJTを科学的に分析し、新たな方法を構築する必要がある、というのが私たちの問題意識でした。

もちろん理想的な実践には、さまざまな障害があります。十分にかまう時間が取れない、という物理的な制約がその代表例です。

それでも、若手社員を早期に戦力化するためには、きめ細かい対応が必要であることが、OJT調査の結果からわかります。

決して感情的にならず、
同じ目線で指導する

調査結果をすこし詳しく解説します。

指導対象社員の年次にかかわらず、優れた指導者の指導方針には共通の特性があります。

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