アサド政権崩壊後のシリア、大国の駆け引きの場に
ロシア・イランの影響力低下で主導権狙う米・トルコ・イスラエルが攻撃
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シリアのアサド政権が予想外に早く崩壊したことで、同国に空白が生じた。シリア国境付近に配置された各国の強力な軍隊がそれを埋めようと殺到している。米国は、シリア中部にある過激派組織「イスラム国(IS)」の標的75余りに対して空爆を行うため、B52戦闘機を派遣した。トルコの支援を受けた反体制派はクルド人勢力を攻撃し、シリア北部の支配地を奪取した。そしてイスラエルはシリア全土にある数百カ所の軍事目標を爆撃し、長年の敵の戦闘能力を徹底的に破壊した。さまざまな勢力がこの侵攻で長年かなえたかった願望のリストに次々と完了の印を付けているが、それは新たなシリアの脆弱(ぜいじゃく)性を浮き彫りにしている。シリアでは50年余りにわたったアサド家による支配を終わらせた反体制各派が、影響力と支配力を得ようと画策している。彼らの国益追求が日和見的なため、電撃作戦の先頭に立った主要反体制派組織「シャーム解放機構(HTS、旧ヌスラ戦線)」の運命は複雑になっている。HTSは現在、暫定政府樹立に取り組んでいる。バッシャール・アサド氏の失脚で、戦略的な位置にあるシリアでの米国の敵ロシアとイランの支配は弱まったが、こうした駆け引きによって北大西洋条約機構(NATO)加盟国のトルコは米国やイスラエルの国益と衝突する立場に置かれる可能性がある。
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