石油業界崩壊の足音...1ドル150円突破の円安より深刻な「疑念」の正体

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原油タンカー写真はイメージです Photo:PIXTA

原油価格の高騰はピークを越えたものの、円安のせいで日本に到着した時の輸入価格は高止まりしたままだ。また、原油高の構造要因は、世界の原油を取り巻く環境に起因するもので、ウクライナ戦争後も続く。世界の潮流変化を横目に、日本の石油政策は滑稽だと筆者が訴えるわけとは?(桃山学院大学経営学部教授 小嶌正稔)

原油価格高騰から円安対策に変質したガソリン補助金

円安進行が止まらない。実は、6月以降の原油価格は下がっている。しかし、円安のせいで日本に到着した時の輸入価格は高止まりしたままだ。

どういうことか。下の図は、国内で燃料油価格激変緩和対策(通称ガソリン補助金)が始まった2022年1月からの原油価格(ドバイ原油)と輸入価格(通関価格、財務省)を、2021年12月を基準に比較したものだ。

原油価格と輸入価格の推移拡大画像表示

アジアの基準価格とされる中東ドバイ原油の原油価格は、6月をピークに下落しているが、為替を反映した輸入価格は2月以降上がり続け、9月にはやや下げたものの、10月の円安進行で再び高騰している。かくして原油価格の激変は収まりつつある一方、石油製品の高騰が止まらないわけだ。

ウクライナ戦争を機に、原油価格の高騰が問題化した。とはいえ、原油高の構造要因は、世界の原油を取り巻く環境に起因するもので、ウクライナ戦争後も続く。

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