株価低迷により訴えられる米国メディアの経営陣
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アメリカのメディア界は本当に面白いなと改めて思い知らされた。先週のWSJ電子版によると、インター・アクティブ・コーポレーション(以下IAC)会長のバリー・ディラー氏が法廷で勝利したことを伝えた。
一体どのような裁判内容だったのか。1月下旬、同じくアメリカ・メディア大手のリバティ・メディア会長のジョン・マローン氏が突然、ディラー氏を訴えたのだ。その理由はIACは株価低迷を打開するために昨年、事業別に会社を分割する方針を決めたのだが、それに大株主であるマローン氏が反発。ディラー氏の取締役解任を求めて訴えたのだ。
メディア・コングロマリットを
作って割ったレッドストン氏
ここで、思いだされるのが、2006年の始まりを告げたバイアコムの分割のニュースだ。2005年12月31日、世界6大メディア・コングロマリットの一画を占めるバイアコムが自社の事業を成長部門と非成長部門に位置付けて分割すると発表したのだ。
バイアコムを率いるサムナー・レッドストン氏は1923年5月27日生まれで、もうすぐ85歳。第二次世界大戦中には従軍して、日本軍の暗号解読を任務としていたといわれる。戦後は復学して、ジョージタウン大学のロー・スクールからハーバード・ロー・スクールへ編入して学位を得た。その後、家業であるナショナル・アミューズメントというマサチューセッツ州を中心とした映画の劇場チェーンの経営に参加した。そのナショナル・アミューズメントが1987年に、CBSの制作部門からスピンオフし、MTV等のCATV制作局も傘下に収めていたバイアコムの支配権を手に入れた。
その後、1999年には当時としてはメディア史上最大となる345億ドルでCBS本体を買収して、たった一代で世界規模のメディア・コングロマリットを作り上げた。しかし、2004年地上波ラジオの苦戦などにより、赤字に転落。その結果、全米最大のビデオチェーン「ブロックバスター」を売却。そして、2005年12月31日には、非成長部門と位置づけたCBS部門をスピンオフするに至った。