「モノづくり」にこだわる企業が今からでも間に合う「価値づくり」のススメ
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世界でも高い評価を受けてきた、日本のモノづくり。しかし、マイクロソフトやグーグルでエンジニアとして活躍し、複数の企業で技術顧問を務める及川卓也氏は「モノづくりがゴールになってはいけない」と警鐘を鳴らす。及川氏が「モノづくり」から「価値づくり」へのシフトを勧める理由、そしてその方法を解説する。
プロダクトの完成がゴールに
日本企業のビジネスに欠けている視点
日本では、「モノづくり」が非常に重要視されてきました。確かに日本の製造業を中心としたモノづくりの価値は、世界的に見てもいまだに高いものだと思います。ただ、一方で「モノづくりがゴール」になってしまうというのは、よろしくないことだとも感じています。
手に取って触ることが可能な実体のあるモノに限らず、ソフトウェアであっても、モノづくりではプロダクトとして何らかのかたちがある、完成品ができ上がっているということがゴールとされがちです。しかし私は「そのプロダクトが何を解決するのか」「どういう価値を生み出しているのか」ということこそが、実は大切なのではないかと考えます。
提供する価値こそが重要で、その手段としてモノがある。あるいはモノづくりとは、いったん完成形に近い状態のモノができたら、そのモノを経由して目指す価値に近づいていくということに過ぎないのではないかと思うのです。
触れるモノでもソフトウェアでも、どこかで完成させると決まっていれば、製造・開発は進めやすい。またでき上がったときに、作り手である担当者たちも達成感を得られることは確かです。
ただ、つくっている途中で「これは少し、到達したい価値とは違うものになっていないか」と思い始めることがあるかもしれない。でき上がりを見て「本当に多くの人に価値を提供できるものに仕上がっているかどうか、分からない」ということだって、あるかもしれないわけです。
それでも完成というゴールが決まっていると、でき上がったことに安心してしまう。その結果、当初想定していた提供価値に到達する前に、価値づくりをやめてしまうというケースは多いのではないでしょうか。
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