若手にとって「いいからやれ!」はNGワード。
仕事の意味を伝えられない未熟な上司たち
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部下の言うことを傾聴できないと上司は信頼を失う、と前回は述べました。それは、対部下コミュニケーションのもっとも素朴な原則と言えます。
今回は、「適度なかまい方 5か条」の残りの4つについて解説します。どれも当たり前の事柄ですが、私たちが案外できていないことでもあります。もし、それが当たり前にできているなら、入社3年以内に3割強が辞めてしまうというような現状にはなっていない、のではないでしょうか。
[適度なかまい方 5か条] 〜その(2):
必ずフィードバックする
熟達化理論を研究する松尾睦・小樽商科大学教授の研究によれば、営業担当者が業績につながる優れた知識やスキルを獲得するためには10年以上かかっていることが示されたそうです。営業という仕事に限らず、スポーツやアートの領域でも「熟達化の10年ルール」は定説になっています。
ただし注意が必要なのは、「10年経てば自動的に熟達する」わけではなく、「熟達するには最低10年かかる」ということです。さらに、10年という期間において「よく考えられた練習を積むことが大切になります」と松尾教授は指摘しています。
「よく考えられた練習というのは、課題が適度に難しく、明確である。すなわちストレッチされていること。また、実行した結果についてフィードバックがあること、何度も繰り返すことができ、誤りを修正する機会があるような練習の仕方です。つまり、ストレッチ&フィードバックが熟達化の条件となります」(松尾教授)
やりっぱなし、やらせっぱなしでは、いつまでたっても実力はつかない、というのは普通に理解できますね。若手社員がひとつの業務を終えた後は、その仕事をあなたの経験に照らし合わせて評価し、先輩としての意見を伝えましょう。
フィードバックするときには、1)若手社員の人格についてではなく、行動を評価すること。2)挑戦して失敗したことを責めない。この2つが肝心なポイントです。
[適度なかまい方 5か条] 〜その(3):
質問する
どんな仕事でも、自分なりの仮説をもって取り組むことが仕事の楽しさにつながりますし、この姿勢がないと、いつまでたっても「やらされ感」が払拭できません。