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×ばつデータの「二律両立」

2024年09月04日

50日で500万食突破の「うどーなつ」が提供する体験価値

南雲 データから感動はつくれませんし、感性だけでは再現性がありません。だからこそ、感性とデータサイエンスを組み合わせた感動ドリブンマーケティングが必要なのです。

竹村 商品開発において、データを使って考える部分と感性を働かせる部分をどんなふうに使い分けているのですか。

南雲 仮説を構築・検証したり、コミュニケーション戦略の成功確率を上げたりすること、また商品のテストマーケティングを重ねるなど、データを徹底して使います。しかし、データだけで考えると大失敗はしないけど、大ヒットも生まれません。

丸亀製麺社長の山口(寛氏)はいろいろな発想を持っているアイデアマンで、「車のドリンクホルダーに入るカップ入りのうどんはどうだろう」というアイデアを聞かされたのは2023年1月4日、正月休み明けの最初の出勤日でした。その年に初めてオープンする予定だったドライブスルー併設店舗向けの商品として、山口から提案されたアイデアだったのですが、「これはいける」と直感しました。そこから、「シェイクして出汁(だし)と混ぜるようにしたら、新しい体験をつくれるし、おいしくなる」などとお互いにアイデアを出して、「ドライブスルー店舗だけではもったいないから、全国でデビューさせよう」とその場で決めました。4カ月後の5月には丸亀シェイクうどんをスピードデビューさせ、累計600万食を超えるシリーズ商品に育ちました。

南雲克明
Katsuaki Nagumo
トリドールホールディングス 執行役員CMO(最高マーケティング責任者)
兼 KANDOコミュニケーション本部長 兼 丸亀製麺 取締役マーケティング本部長

山口とは、「2人の感性が合うと想像をはるかに超える結果になるね」と笑い話をしていますが、お客様をワクワクさせたいという情熱とこれはいけるという感覚、そしてデータで客観的に物事を捉える冷静さを合わせ持つことが大事だと思います。

竹村 データからは見えない部分を補うために、現場に行ってお客様のリアルな声を聞いたり、表情や行動を観察したりもするのですか。

南雲 もちろんです。たとえば、丸亀うどーなつ(うどんをベースに店舗で手づくりするドーナツ)も実際にお客様の反応を見て、これは売れると確信した商品です。

2024年6月下旬の販売開始から50日で500万食を突破しましたが、実は約3年前から構想していたもので、数店舗でテスト販売を続けていました。テスト販売している店舗に行ってみると、うどーなつを目当てに開店前から並んでいるお客様が何十人もいて、開店後30分くらいで売り切れてしまうこともありました。

僕も客として並んでいると、「うどんからつくっているこのもちもち感がいいんだよね」とか、「孫のために買いに来た」といった雑談が聞こえてくるわけです。お客様をワクワクさせたり、想像を超える食感・おいしさだったり、友人同士の会話を弾ませたり、家族が喜ぶ顔を見られたりするのが外食本来の価値だと我々は思っていますが、まさにそうした体験価値を提供できる商品だし、我々にしかできない商品。「絶対売れるからすぐに全国展開しよう」と社内で強く訴えたのですが、うどんからドーナツをつくるオペレーションが難しくて、「簡単に言うな」と反対されました。

それでも諦め切れなくて、年に何度かは商品開発担当のところに行って「どう、いつ全国展開できそう?」としつこく尋ねていました。うどんの配合量や生地を寝かせる時間、ミキサーなどにいろいろと工夫を加えて、3年がかりで何とか全国展開にこぎつけることができました。

感動体験の創造が、成長ドライバーになっていることがよくわかりました。

御社では2023年2月から、お食事体験直後のお客様の感情評価をリアルタイムで可視化して、店舗にフィードバックする仕組みのトライアルを一部店舗で実施し、2024年4月には国内の約850の全店舗で導入されました。その狙いはどこにあるのでしょうか。

トリドールホールディングス 執行役員CMO(最高マーケティング責任者) 兼 KANDOコミュニケーション本部長 兼 丸亀製麺 取締役マーケティング本部長

コナミスポーツ、サザビーリーグなどB2Cの事業会社においてさまざまなブランドのマーケティング責任者を歴任。2014年早稲田大学大学院商学研究科でMBA(経営学修士)取得後、2018年トリドールホールディングス入社。マーケティング部長を経て、2022年より現職。

プレイド 執行役員 VP of Marketing

東京大学法学部卒業後、P&G Japanに新卒入社し、顧客と市場の理解に基づいたブランド戦略策定を担う。2014年末に日本マクドナルドに転職し、ブランド戦略や店舗での体験開発を経験。また、複数のプロモーションやキャンペーンに関して、商品開発からキャンペーン展開までをリード。その後、プレイドの「データによって人の価値を最大化する」というミッションに共感し、2018年12月に参画。2021年7月執行役員に就任。

プレイド 執行役員 VP of Engineering & Product, Ecosystem

2014年からプレイドで、KARTEの全般的なエンジニアリングやプロダクト組織組成に携わる。現在は、これまでプレイドが培ってきたプロダクト開発や基盤技術を活用したPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)である「KARTE Craft」を中心としたPLAID Ecosystem事業の責任者とPLAID ALPHAの技術アドバイザーを務めている。「2022 APN AWS Top Engineers」選出。情報処理安全確保支援士。

お問い合わせ
株式会社プレイド
〒104-0061
東京都中央区銀座6-10-1
GINZA SIX 10F

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