遷延性意識障害者とは
以下の状態が 3カ月以上にわたって遷延化している患者を 遷延性意識障害者と定義しています。
1 自力移動が不可能。
2 自力で摂食が不可能。
3 屎尿失禁状態にある。
4 眼球はかろうじて物を追うこともあるが認識できない。
5 発声はあっても、意味ある発語は不可能。
6 眼を開け、手を握れ」などの簡単な命令に応ずることもあるが、それ以上の意思の疎通は不可能。
2011年7月1日
交野の桑山さん一家次男が事故で重度障害者
毎日新聞 大阪 2011年6月28日(火)から引用
車社会を考える(毎月1回掲載シリーズ)
犠牲者ゼロに向けて
「療護センター」の充実を
被害状態は埋もれがち
2010年10月7日
「植物症からのリハビリテーション」
「植物症からのリハビリテーション」
〜人間らしく生きる権利の回復を〜
長野県の病院で遷延性意識障害者のリハビリをされた医師(佐久総合病院
太田 正 先生)の論文です。
http://www17.plala.or.jp/jakunen-s/bunka8.pdf
尚、原論文は、『文化連情報』2010年8月号に掲載されています。
http://www.bunkaren.or.jp/description/magazine/bunkaren/index.html
「若年脳損傷者ネットワーク」より許可を得て引用しました。
http://www17.plala.or.jp/jakunen-s/index.htm
「若年脳損傷者ネットワーク」は、
先駆的な長野県の若年脳損傷者の実態調査などで活躍されております。
http://www17.plala.or.jp/jakunen-s/naganoriha.pdf
2010年9月5日
読売新聞記事(9/5) 交通事故増える後遺障害者
読売新聞記事(9/5) ニュースが気になる!
交通事故増える後遺障害者
救命率向上も介護負担重く
詳細 社会部 増田 博一 記者
2010年8月18日
読売新聞記事(8/18) 桑山会長 在宅ケア14年
読売新聞記事(8/18) 在宅ケア14年・・「負の連鎖」
「 支援訴える余裕ない 」
増える重度後遺障害
- 交通事故死者減少も -
8年で1.5倍 介護施設が不足
詳細
2010年7月24日
第19回日本意識障害学会 海峡メッセ下関(7/23-7/24)
第19回日本意識障害学会
7月23日(金)-24日(土)
山口県 海峡メッセ下関
3名の会員が発表 抄録集のうち、
○しろまる2-16 「紙屋プログラム」の実践とその効果
○しろまるサテライトシンポジウム2: 「もの言えぬ家族に代わって 〜私たちが今、政治に期待すること〜」:別添
○しろまる併設喀痰吸引講習会(7/24)にて口頭発表 在宅介護4年
2010年6月17日
関西テレビ放映(2010年5月6日) 澤野さん一家
http://www.ktv.co.jp/anchor/today/2010_05_06.html
関西テレビ放映(2010年5月6日)
去年一年間の交通事故の死者は4914人、57年ぶりに5千人を下回りました。しかしその陰で、重い後遺症に苦しむ人たちは年間2000人以上います。
大阪府堺市に住む澤野さん一家。一人息子の祐輔さん(28)が交通事故にあったのは10年前の春でした。脳が傷つき、今も寝たきりの生活を続けています。目は開いているものの意思を示すことができません。「遷延性意識障害」です。
「元気だった子がこんな寝たきりで意思の疎通もできない。この子の人生もそうですけど私の人生もどうやって考えていけばいいかと堂々巡りでした」(母・真寿美さん)
事故から1年後。祐輔さんは5つの病院を転々とした末に、岐阜県の中部療護センターに入院しました。独立行政法人「自動車事故対策機構」が設立した世界でも類を見ない交通事故専門の病院です。ベッド数は50、入院しているのは「遷延性意識障害」の人ばかりです。わずかな回復の兆しを見逃さないように病室の仕切りはなく、一人の患者を退院まで同じ看護師がケアします。
「ある日突然問いかけに対し、手が動いたりとか、瞬きや舌の出し入れで返事することある」(遠山香織副看護部長)
療護センターには脳の内面を読み取る最先端の機器が揃っています。決定的な治療法がない中、病院が取り組んでいるのが五感刺激療法と呼ばれる脳のリハビリです。運動、映像、音楽、アロマセラピーなど様々な方法で全身の感覚を刺激し、脳を目覚めさせるのです。改善がみられる患者は約6割です。篠田淳センター長は「6割の中には目が開かなかった人がちょっと開いたとか、手が動かなかった人がちょっと手を動かしたとか、非常に微妙な改善が多い。退院の時に元気に歩いて帰ることは残念ながらない」と話します。
2009年12月24日
「花の舎病院」のリハビリ入院 関東地区外も
栃木県「花の舎病院」のリハビリ入院では、「家族会の方で、外来へのご希望があれば関東地区以外の方でも予約のお電話を頂ければと思います。」とのことです。
関東地区だけでなく、全国から募集をするということです。
「花の舎病院」の詳細は、11月24日の「情報」欄をご覧ください。
入院は4〜6週ですが、集中的なリハビリを受けられると思います。
電話相談は、1月21日、2月25日で、紙屋先生の診断日は1月16日、2月13日、
3月27日です。
リハビリ入院された方がおられましたら、様子などを報告頂ければ有り難いです。
2009年11月24日
紙屋先生の拠点病院でリハビリ入院稼動
栃木では、紙屋先生の拠点病院「花の舎(はなのいえ)病院」が稼働を始めています。
地元新聞では既に患者受け入れ開始の報道がなされ、今年12月1日には患者一号となる遷延性意識障害患者の入院を受け入れます。
この病院の意向として、関東1都6県の方を対象にして、リハビリ入院(4週〜6週)を実施しようとしています。慢性期患者のリハビリ入院は、私たちの待ち望んでいたタイプになります。
紙屋先生も入院に向けての診察、相談をされますので、ご希望の方は直接、「花の舎病院」に問い合わせて下さい。条件は以下の3つのようです。
1、関東地域の方
2、入院は4週〜6週であること
3、在宅療養者
紙屋先生拠点病院相談受付開始内容
1)対象者:関東一都6県に居住の在宅療養者
2)相談日: 2009年11月26日(木)、12月22日、
2010年1月21日、2月25日
時間は何れも10:00〜13:00
3)電話番号: 0280-54-1350(この番号に指定された時間に連絡のこ と)
4)相談者:小川(筑波記念病院)、宮地(静岡県立大学大学院)
5)紙屋先生診断日(先ず上記相談日に相談を受けてからになります)
2009年12月19日、
2010年1月16日、2月13日、3月27日
「花の舎(はなのいえ)病院」の概要は以下の通りです。
栃木県下都賀郡野木町大字南赤塚1196-1
内科、 神経内科 、 小児科 、リハビリテーション科
回復期リハビリテーション専門病院
電話:0280-57-1200
ファックス;0280-57-2400
2009年7月28日
今年度(2009年)の損保協会助成事業
今年度(2009年)の損保協会助成事業
○しろまる9月27日(日) 13時30分〜16時30分
場所:ウイル愛知(名古屋市)
講師;納谷敦夫先生(堺脳損傷協会)
●くろまる障害当事者の父親であり、精神科医師 元大阪府健康保健部長
担当;東海地区・ひまわりの会
○しろまる10月18日(日) 10時30分〜17時
場所;栃木県教育会館(宇都宮市)
講師;紙屋克子先生(講演は13時〜15時)
担当;栃木県準備会
※(注記)午前中に栃木県家族会の設立総会が行われる
○しろまる11月7日(土) 15時〜18時
場所;手話研修センター「コミュニティ嵯峨野」(京都市)
講師;杉本健郎医師(すぎもとボーン・クリニーク院長)
●くろまる元関西医科大学助教授(小児科医)
●くろまる前第二びわこ学園園長(※(注記)滋賀県にある重心施設。初代園長の糸賀一雄氏の「この子らを世の光に」の著書で有名)
●くろまる交通事故で20数年前にご長男を亡くされ、その腎臓を提供されたドナー家族。
●くろまる脳死臓器移植についての国会での参考人であり、B案に近い形の提案者(森岡・杉本案)でもある。
担当;全国会、関西地区・「若者と家族の会」
※(注記)5周年記念講演会 総会を13時から行う
○しろまる12月5日(土) 時間13時〜15時
場所;東京都中小企業振興公社(東京・秋葉原)
講師;戸原玄先生(日大歯学部)
●くろまる摂食・嚥下
担当;関東ブロック・「わかば」
2009年2月9日
第18回日本意識障害学会(7/24〜7/25)
演題募集と参加登録のご案内
1 主催:第18回日本意識障害学会
2 会期:2009年7月24日(金)、25日(土)
3 会場:川越プリンスホテル
(〒350-8501 埼玉県川越市新富町1-22電話:049-227-1111)
4 メインテーマ:「意識に迫る-基礎から臨床へ」
5 本学会公式Webサイト:http://www.procomu.jp/stc2009/
6 演題募集要項
意識障害に関係するさまざまな視座・視点からの研究と活動のご発表を期
待しています。
以下、詳細は公式Webサイトをご覧下さい。申し込みはオンラインによる登録を行うこととなります。
2008年12月3日
東海地区遷延性意識障害者と家族の会「ひまわり」
2008年11月
ひまわりのように
東海地区遷延性意識障害者と家族の会「ひまわり」
ホームページが開設されました。
下記にアドレスをお知らせしますので、URLを入力してください。
http://hp.kanshin-hiroba.jp/himawari/pc/index.html
2008年11月5日
11月 12日(水)ランチの会、12月13日(土)学習会 「わかば」からのお知らせです!
ランチの会のお知らせ
(わかば事務局)
普段は介護に忙しく、なかなかお互いに親しくお話しする機会が持てません。
そこで会員の皆様の親睦を深める方法のひとつとして、
ランチタイムに合わランチの会」を開催しています。
事前の申し込みも予約も必要ありません。
その日都合がついて行って見ようかなと思われた方はぜひご参加下さい。
近況・悩み等を話し合いましょう!
<日時>:2008年 11月12日(水) 11:30〜14:00
<場所>:品川プリンスホテル 和食「ななかまど」
(エグゼティブルタワー1F)
http://www.princehotels.co.jp/shinagawa/restaurant/nanakamado/index.html
<電車>※(注記)JR線・京浜急行の品川駅(高輪口
<地図> http://www.princehotels.co.jp/shinagawa/kotu/index.html
*ランチの会、会場は「品川プリンスホテル」エグゼティブルタワーになりました。
会場についてご不明な点がございましたら事務局まで連絡ください。
港区高輪4-10-30
TEL 03-5421-7934(直通)
<費用>ランチバイキング1,500円
本年度は原則として奇数月(1,3,5,7,9,11月)の第2水曜日に開催を予定しています。
各月の開催日は都度ご連絡いたしますが、
会場・日程につき皆様のご希望・アイデア等がありましたら、事務局までご連絡ください。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
全国遷延性意識障害者・家族の会関東ブロック家族の会「わかば」
〜学習会のお知らせ〜
下記により開催いたしますので奮ってご参加ください。
記
<日時> 2008年12月13日(土)13:30〜17:00
(受付開始 13:00)
<場所> 財団法人東京都中小企業振興公社(アスプラザ)
※(注記)地図参照のこと
<会費> 無料
(この講演はアステラス製薬株式会社からの助成を受けております)
<内容> 第1部13:30〜15:30:「意識障害者の実態とケア」
講師:日高紀久江先生・松田陽子先生
日高紀久江(ひだかきくえ)先生のプロフィール
博士(医学)筑波大学大学院人間総合科学研究科看護科学系 准教授
専門分野は臨床看護学 遷延性意識障害患者の生活活動を
高めるための栄養やリハビリ看護等。意識障害患者の身体状況や
介護状況の実態を調査したうえで、在宅や入院中の患者への看護に
関してそのQOLを高めるための研究を続けている。
松田陽子(まつだようこ)先生のプロフィール
医療ソーシャルワーカーとして30年以上活躍の後、筑波大学大学院
人間総合科学研究科ヒューマン・ケア科学専攻に入学。
日高先生と共に遷延性意識障害患者の実態調査を行う等、
調査研究を続けている。
第2部:講演内容をベースとした会員同士の意見交換 申込の方はこちらから
2008年7月7日
東海支部、「ひまわり」の会報、リーフレットができました。 ★★
東海支部、「ひまわり」の会報の第一号
リーフレットができました。
結成会の模様、今後の方針等が書かれています。
皆様、よろしくお願いいたします。
2008年6月16日
わかば」結成10周年 音楽会と懇親会のお知らせ
わかば」結成10周年 音楽会と懇親会のお知らせ
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
家族会「わかば」は2008年7月11日で結成10周年を迎えます。つきましては、下記の日程で音楽会及び懇親会(立食パーティー)を行います。なお、ささやかではありますが心置きなく楽しんでいただける様にケアを行える休憩室を準備いたしました。ボランティアの看護師さんも参加されます。
できるだけ多くのご家族及び本人のご参加をお待ちしております。
日時 2008年7月12日(土)14:00〜17:00
場所 横浜駅東口 崎陽軒本店
横浜市西区高島2-13-12
TEL045(441)8811
会費: 一律2000円。但し、患者本人、招待者は無料
♪♪♪♪♪♪♪ 音楽会 ♪♪♪♪♪♪♪
出演 「吉田さんとお友達の皆さん」
吉田幸子さんは、アコーディオンやその他の色々な楽器を演奏してボランティア活動をされています。
第一部 皆さんが聞いたことがある「知っている」曲、映画音楽等アコーデオンを中心に。
第二部 「思わず一緒に歌いたくなる」曲、多くの方々に親しまれている曲。
なお、一部と二部の間には「わかば」会員、渥美定生さんとボランティアグループで活動しているお友達の方々によるハワイアンの踊りと演奏があります。
2008年5月26日
11月1日(土) 「全国遷延性意識障害者・家族の会」第4回記念講演会・総会
「全国遷延性意識障害者・家族の会」第4回記念講演会・総会のお知らせ
・ 日時; H20年11月1日(土)13:00(予定)〜
・ 場所; 仙台市シルバーセンター 7F第一研修室
・入場料; 無料
講師;(財)広南会 広南病院院長「藤原 悟先生」
第16回「日本意識障害学会 会長」
・ 主催;全国遷延性意識障害者・家族の会
・ 共催;日本意識障害学会
・ 後援;国土交通省・自動車事故対策機構・厚生労働省
宮城県・仙台市・宮城県社会福祉協議会・宮城県医療社会事業協会
マスコミ各社 (予定)
★ ★ 変更があればまたお知らせたします。★ ★
2008年5月25日
7月27日 意識障害者家族交流会&勉強会
意識障害者家族交流会&勉強会
日本意識障害学会・全国遷延性意識障害者家族の会関西ブロック
共催日本損害保険協会助成事業
〔意識障害以外の方でも関心のある方はご参加下さい〕
日時・・・7月27日(日)
交流会:am10:30〜12:30
学習会:pm1:30〜4:30
場所・・大阪市立生涯学習センター(大阪駅前第2ビル5F)第1研修室
大阪市北区梅田1-2-2電話:06-6345-5000 FAX:06-6345-5019
学習会テーマ・・・「意識障害者の実態とそのケア」
講師 日高紀久江先生 ・ 松田陽子先生
日高紀久江(ひだかきくえ)先生のプロフィール
博士(医学) 筑波大学大学院人間総合科学研究科看護科学系 准教授
専門分野は臨床看護学 遷延性意識障害患者の生活活動を高めるための栄養やリハビリ看護等。意識障害患者の身体状況や介護状況の実態を調査したうえで、在宅や入院中の患者への看護に関してそのQOLを高めるための研究を続けている。
松田陽子(まつだようこ)先生のプロフィール
医療ソーシャルワーカーとして30年以上活躍の後、筑波大学大学院人間総合科学研究科ヒューマン・ケア科学専攻に入学。日高先生と共に遷延性意識障害患者の実態調査を行う等、調査研究を続けている。
参加費・・・・・無料 〔当日、昼食・お茶等は 各自ご持参下さい〕
この学習会は日本損害保険協会の助成を受けております
申し込み・問い合わせ先
申込書にご記入の上、7月20日までにFAXにて
072-737-5733 土井までお願いします。
午後からの参加もOKです。意識障害 以外の方の参加も歓迎です。
尚、内容についてご希望等あればご連絡下さい。
2008年5月4日
終末期医療と後期高齡者医療制度
終末期医療と後期高齡者医療制度
〜なし崩しの「尊厳死」は実施されるのか
1、私のスタンス
尊厳死の問題は、現代的問題でありながらもその議論の歴史は古い。森鴎外の「高瀬舟」に代表される一連の作品や、深沢七郎の「楢山節考」の他にも、関連して有吉佐和子の「恍惚の人」など多くの文学作品もあるし、日本では病院での「安楽死」とも言える事件や、多くの呼吸器外し、また在宅介護でも呼吸器外し、心中事件、介護放棄など高齢者や重度障害者の医療や介護の問題は、深くて重い。尊厳死は医療の中止や不開始の他に、昨今の現状として救命救急医療現場のさまざまな困難に絡んでの「トリアージ」や、保険医療財政のひっ迫など社会経済的な問題も見え隠れする。
私の次男は13年前に、スピード違反の車に撥ねられ、頭部を強打し重度障害者となってしまった。重度障害者の家族会活動を10年以上行ってきた。また、ここ数年間同居の高齢の母を介護してきた。
最近の医療・介護をめぐる、一連の議論や厚労省のガイドラインの設定とともに、2008年4月に医療保険報酬改定で新設された「後期高齢者終末期相談支援料」{200点(1回に限る)}に非常に憂慮を感じる。以下そのことを論じたいと思う。
2、終末期と医療費の削減
08年4月7日の参議院予算委員会の経済・社会保障の集中審議で、自民党の西島英利議員が「後期高齢者医療制度」について言及し、「この制度は医療費の削減とともに、終末期医療と関連して論じる必要がある。回復の見込みがない、とされた場合に、積極的な治療を望まない人は93%もいる」との発言があった。
終末期医療について、今回の後期高齡者医療制度では「一般的に認められている医学的知見に基づき回復を見込むことが難しいと判断した後期高齢者について、患者の同意を得て、医師、看護師、その他関係職種が共同し、患者及びその家族等とともに、終末期における診療方針等について十分に話し合い、その内容を文書等にまとめた場合に評価する。」とされ、その文書化の報酬は200点(2000円)であるとした。自己負担は200円。
「後期高齢者医療制度」は、保険証が届かない、年金からの天引き、制度が周知徹底されていない、保険料が上がったなどの報道が目立つが、大きな狙いの一つには終末期医療にあるのではないか。
こんな重要な文書を作るのにこの診療報酬は高いのか? 安いのか? また、これを書けば延命治療は無くなるのか? 延命治療と言っても、いろいろなものがあるが、一体「単なる」延命治療とは何か? だいたい終末期とは何か? 年寄りは、そこそこで死んだらいいのか? ポックリ逝きたい? PPK(ピンピンコロリ)のことか? そもそもこりゃあ何だ?
この2〜3年間、いろいろな事件があった。富山県射水市の呼吸器外しのこと、愛媛県での病腎の移植に端を発し、厚労省や救急医学会、日本医師会、日本尊厳死協会などがガイドラインを続々と出してきている。おそらく、今までも既成事実として医療の中止は行われてきたのだろう、と思うが、この一連の動きは、かなり強いものを感じる。
3、さまざまなガイドライン
「相談支援料」については、「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」(平成18年5月21日医政発第0521011号)及び「終末期医療に関するガイドライン」(日本医師会)等を参考とすること等とあり、その厚労省のガイドラインは、A4サイズで2枚、自己決定の尊重と複数のスタッフにより終末期と判断する、ということのみが記述されていて、その内容は「終末期医療における医療行為の開始・不開始、医療内容の変更、医療行為の中止等」とあり、「終末期」についての定義は何もない。
日本医師会のガイドラインは、平成20年2月提示のもので、平成18・19年度生命倫理懇談会答申・日本医師会第X次生命倫理懇談会終末期医療に関するガイドラインである。ここでも、「本ガイドラインでは、あえて終末期医療の定義をしていないが、終末期は多様であり、患者の状態を踏まえて、医療・ケアチームで判断すべきであると考える。」とあり、明言を避けながらも、別紙の中で終末期を広義と狭義に分けて定義している。
広義の終末期は以下のとおりであり、(単に「終末期」と表現するときは、これを指す。)とカッコをつけて定義してあり、以下(1)と(2)である。
(1)最善の医療を尽くしても、病状が進行性に悪化することを食い止められずに死期を迎えると判断される時期。
(2)主治医を含む複数の医師および看護師、その他必要な複数の医療関係者が判断し、患者もしくは患者が意思決定できない場合には患者の意思を推定できる家族等(法的な意味での親族だけでなく、患者が信頼を寄せている人を含む)が(1)を理解し納得した時点で「終末期」が始まる。
(日本医師会第X次生命倫理懇談会終末期医療に関するガイドライン 平成20年2月)
狭義の「終末期」は、(臨死状態)とあり、臨死の状態で、死期が切迫している時期。ということになっており、現場では広義を使うのか、狭義を使うのかは明言を避け、カッコをつけて「単に終末期を表現するとき」という、歯切れの悪い文言で実施しようとしているのだろうか。
4、日本尊厳死協会のスタンス
この件については、毎日新聞が20年2月10日に報道しており、以下長くなるが、そのまま引用する。
終末期医療:「リビング・ウイル」に診療報酬...厚労省方針」
「厚生労働省は、75歳以上で「終末期」の患者が医師らと相談し、延命治療の有無などの希望を文書などで示す「リビング・ウイル(生前の意思表示)」を作成すると、病院などに診療報酬が支払われる制度を導入する方針を決め、08年度診療報酬改定案に盛り込んだ。患者本人の希望に沿った終末期医療を実現するのが目的という。専門家らからは、意思表示や治療中止の強制につながるなど、批判の声が上がっている。
制度は、75歳以上の患者が、治癒の見込めない終末期と診断された場合が対象になる。医師や歯科医師、看護師などが病状や予後などを説明。患者と医療者双方が終末期と納得した上で、▽生活支援のあり方▽急変時に延命治療を希望するか▽急変時に搬送してほしい医療機関--などを決め、文書や映像などで記録する。
診療報酬点数は示されていないが、13日の中央社会保険医療協議会で決まる見通し。話し合っても方針が決まらなければ算定の対象にならない。
意思決定の方法は厚労省の終末期医療の指針などを参考にする。だが、指針は複数の医療従事者で判断することなどを示すだけで、「余命何カ月」など終末期の具体的な定義は示していない。
日本尊厳死協会の荒川迪生副理事長は「終末期に関しては法的、制度的にも議論が不十分で時期尚早だ。作成が強制される雰囲気になっても困る。延命治療の定義が明確でないため、文書があっても急変時に医療者側が混乱するか、ただの紙切れに終わる恐れもある」と指摘する。
厚労省の指針作成に参加した川島孝一郎・仙台往診クリニック院長は「今の医師は病状説明だけで、その後の生活の話し合いをほとんどしないため、患者は情報不足のまま決定せざるを得ない。意思は変わる可能性があるのに、一度の説明で文書化したものが治療中止の金科玉条として使われる危険もある」と批判する。【大場あい】
◇リビング・ウイル
死期が迫ったときの治療方針などについて、事前に本人の意思を書面で示したもの。日本尊厳死協会は「尊厳死の宣言書」と訳し、「いたずらに死を引き延ばすための延命措置」などを拒否する独自の書面を作成している。03年の厚生労働省の意識調査では、リビング・ウイルの考え方に賛成する人は一般国民の約6割。同協会によると、米国では約3割の人が所持しているという。」
(毎日新聞 平成20年2月10日)
日本尊厳死協会も賛成しかねるような「相談支援料」は極めて問題だが、日本尊厳死協会のホームページによると以下の記述がある。前記の毎日新聞の報道では荒川副理事長は賛成しかねるとしながらも、以下の厚労省への要望書では井形理事長は評価するとあり、日本尊厳死協会の意図は何なのか?
2月25日、厚労省が08年度から後期高齢者医療制度の中で実施予定の「75歳以上の終末期相談システム」について舛添要一厚労相に「要望書」を提出した。「患者と家族、医師らが終末期医療の診療方針を話し合い、文書化した場合に2千円の診療報酬」という相談支援の新設は、2月の中医協答申を経て決定した。「回復を見込むことが難しい」と判断された後期高齢者の治療をどうするか、延命治療、生活支援なども含めて双方が十分に話し合い、患者の希望などを文書にまとめる、としている。
協会の井形昭弘理事長らは厚労省を訪ね、水田邦雄保険局長に「要望書」を手渡した。要望書は「患者本人の意思を重視する体系が実施されることを評価する」として、実効ある制度に定着するよう「延命治療の内容やあり方を具体的に説明し、ルールをいっそう明確にして欲しい」と求めた。そして「今回のステップが尊厳死法制化へ向けて大きな前進になるよう期待する」と結んでいる。
厚生労働大臣
枡添 要 一殿
要 望 書
厚生労働省が先般提出された終末期医療に関するガイドラインに引き続いて2008年4月から施行される後期高齢者医療制度においても、患者本人の意思(リビングウイル)を重視する体系を実施されることは当協会の主張に沿ったものであり、これを評価し、この制度が社会に定着するよう一層の努力をお願いいたします。
われわれは終末期医療において自発的な本人意思の尊重と携わる医師の免責を求め尊厳死の法制化を目指しております。また回復不能な植物状態への対処、不治・末期の定義、あるいは延命治療のあり方などについても、研究、討議を続けておりますが、これらは後期高齢者医療制度の上でも大きな課題であると考えます。この点についても具体的かつ明確なルールを提示下さるよう要望いたします。今回のステップが尊厳死法制化へ向けて大きな前進になるよう期待しております。
平成20年2月25日
日本尊厳死協会 理事長 井形 昭弘
(日本尊厳死協会ホームページより 平成20年2月25日更新分)
5、日本医師会はどう考えているのか
一方で日本医師会自身も、平成16・17年度「ふたたび終末期医療について」の報告・日本医師会第IX次生命倫理懇談会(平成18年2月)の中では、かなり終末期については慎重な記述がされており、患者の医療の中止等の「事前指示」についても絶対的なものではなおではないということに留意すべきであるとし、終末期についても「死に至るまでの時間が限られる」ということが効いてくる状況が「終末期」としている。また延命処置(延命治療)でもかなり言及しており、また、医療の在り方についても以下の記述もある。
現在、医療経済の立場から人の終末期医療を論じようとする動きもあるが、終末期を迎えた人の死をいかなる美辞麗句を用いても、その根底に「姥捨て山」のような発想の片鱗が伏在していれば、生命の尊厳を冒すものとして弾劾されるべきである。医療資源は国民共有のものであり、終末期医療にむなしく投入される医療費に関する批判に対しては色々な考え方があるが、少なくとも人間は必ず死を迎える事は必定であり、その迎え方も千差万別である。終末期医療を一般論として論ずることには困難さを伴う。医療においては、いかに崇高な理論であっても現場から乖離したものであってはならないし、常にベッドサイドに立ち、患者本位の姿勢が守られなくてはならない。
(日本医師会第IX次生命倫理懇談会 平成18年2月)
また、日本医師会は、第IX次生命倫理懇談会(平成16・17年度)の委員として、外部組織から、「医療現場に臨む哲学」などの著書のある東北大学文学部の清水哲郎氏や、新聞などにエッセイを発表される科学技術文明研究所の米本昌平氏などもメンバーとして選出したが、第X次懇談会(平成18・19年度)メンバーとしては、日本尊厳死協会から井形昭弘理事長、松根敦子副理事長が選出されており、日本医師会のスタンスも変更があったのだろうか。
私は、3月14日に、日本尊厳死協会井形理事長・松根副理事長と話し合う機会を持ったが、尊厳死協会の意向に関係なく、今回の「終末期相談支援料」の制度は社会・経済的理由で出てきたことは明らかだろうと感じる。
6、終末期相談支援料の運用は?
この終末期の相談支援ということが、どのような形でされるのかは未だわからないが、比較的「元気」な状態で「相談」をされた場合なら、大部分の患者は、「単なる延命治療は不要」という人がかなり多いように思うのは、私だけではないだろう。実際に介護の現場に置かれたり、家族が犯罪被害で重度の障害を負った場合にも、延命治療は不要と言えるだろうか。また、この「相談」が「1回に限る」としているのは、どういうことなのだろうか。十分な議論もないままに、なし崩しに尊厳死の方向が選択されたのではないか、という危惧を感じる。
今回の尊厳死に絡む問題には、救命救急医療のことも関係しており、日本の医療は常時トリアージのような体制を取らねばならないほどの状態なのか、そのためのお金もねん出できないほど、日本は貧しいのだろうか。この一連の動きの急ピッチさに危惧を感じる。
2008年4月26日
「尊厳死立法」の要点(議員連盟の骨子案から)
「尊厳死立法」の要点(議員連盟の骨子案から)
1.何人も、末期の状態で生命維持の措置を受容すべきか否かを自ら決定る権利を有する
2.末期とは「合理的な医学上の判断により、助かる見込みがなく、死期が切迫していると認められる状態」をいう
3.末期の状態で延命措置を拒否する事前の意思表示は15歳からできる
4.末期の状態の確認は、担当医を除く医師2人以上で行う
5.本人の意思表示に沿った医師の行為には民事・刑事上の責任を問わない
6.生命保険契約上、自殺とはみなさない
7.意識を回復する見込みがない「持続的植物状態」も末期に準じて扱う
この「尊厳死」については様々な多くの意見や考えがあります。「寝たきりの状態や自分の意思で何もできないのなら尊厳死を選ぶ」とか
「生きていても回りに迷惑をかけるし・・」
等意見や考えがあると思います。
そのことは,周りの人との関係の中で考えることではないかと思います。
そのような考えを持たなくてもいいような,社会資本の整備や社会の介護力も含めた、福祉社会の実現が望まれると考えます。
また,尊厳死法制定の前に,医療や福祉・介護をより充実させ,「生きていて当然」と思える社会環境を,整えることが最も大切のように思えてなりません。
-「尊厳死と尊厳ある死」は全く違います- このことは,しばしば混同されて種々の誤解を招いているのではないでしょうか。
遷延性で呼吸器を付け生きているのも,その人にとっては「尊厳ある生」であるように思います。
様々な社会科学や学問が「どう生きるか・どの様に生きるか」に始まり文明や文化が発展してきて,今日の社会が成り立っているのですが,「命」という最も崇高であるべきことを,
「自己決定や自己選択」によって尊厳死と言われるものが法制化されることは,いかがなものかと思えてなりません。
「積極的安楽死」
薬物を投与するなどの積極的方法で死期を早めることいわば医療の名の下に行われる自殺幇助ということになる
社会からの心理的抵抗は多大日本を含む多くの国では刑事犯罪として扱われる。
医師にお願いする事は
殺人教唆に関係して医師も受け入れていない。
「消極的安楽死」
無意味な延命治療、努力をしないで死に致しめること尊厳死を保つ意味からも合理的で社会的に認知実際の医療現場でもひろく行われる。自然に死を迎えるという意味でナチュラルコースとも云われる。
95年に東海大病院事件の判決(横浜地裁)が合法となりうる4要件を提示
(1)肉体的に耐え難い苦痛(2)死期が迫っている
(3)苦痛を和らげる方法がない(4)患者の明らかな意思表示
◇安楽死と尊厳死
安楽死は薬剤などを投与し、積極的に生命を縮める行為。横浜地裁が95年に東海大病院事件の判決で合法となりうる4要件として、
(1)肉体的に耐え難い苦痛
(2)死期が迫っている
(3)苦痛を和らげる方法がない
(4)患者の明らかな意思表示--を示した。
一方、尊厳死は人工呼吸器を外す行為などを含む延命治療の中止を指す。同地裁判決の中で、合法となる治療中止(尊厳死)の3要件として、
(1)死が不可避な末期状態
(2)患者の意思表示(家族による推定も含む)
(3)自然の死を迎えさせる目的に沿って中止を決めることを挙げた。
<尊厳死>
人間が人間としての尊厳を保って死に臨むこと本来、病死を含む自然死であれば人間は尊厳を保ったまま死にゆくことができる。 医療の発達によって延命技術が進歩死を迎える段階でただ「生かされている」だけの状態。
こうした状態で死に臨むことを望まない立場から、
「尊厳死」の概念が発生病気の苦痛にさいなまれた状態から解放されて死を迎える。
無意味な延命行為の拒否(消極的安楽死)も挙げられる。
・ 実際に死を迎える段階では意識を失っている可能性が高い。
・ 事前に延命行為の是非に関して宣言するリビング・ウィル(LivingWill)が有効な手段
・末期がん患者など治癒の見込みのない人々の医療
QOLと尊厳を保ちつつ最期の時を過ごすための医療が終末期医療(ターミナルケア)
95年に東海大病院事件の判決(横浜地裁)が合法となる治療中止の3要件を提示
(1)死が不可避な末期状態
(2)患者の意思表示(家族による推定も含む)
(3)自然の死を迎えさせる目的に沿って中止を決める
*日本において安楽死・尊厳死を法的に明確に示したものはない。
「安楽死」
安楽死は大別すると2つに分類されます。
1.消極的安楽死
無意味な延命治療をしないで自然な死を迎えるように支援する。無意味な医療の中止、自然死。間接的安楽死、
苦痛除去のためにした医療行為が結果として命を縮めた場合。
2.積極的安楽死
本人の自発的意志を前提として一定の条件を満たした場合、医師が自殺幇助の行
為を行うこと。
消極的安楽死は「治療行為の中止としてその許容性を考えれば、足りる」(東海大事
件判決文)ものであり、
特に安楽死という言葉を使う必要はないという意見があるが、わかりやすい言葉なの
でこれからも使われるであろう。
自然死、または尊厳死と同義語または間接的安楽死を含める言葉として使われる。
日本でいう「尊厳死」の意味
日本では日本尊厳死協会が消極的安楽死を「尊厳死」と言い、尊厳死の宣言書を普及している関係もあって、尊厳死と言えば消極的安楽死という意味でマスコミも使っています。しかし、アメリカでは消極的安楽死は「自然死」といい、各州に「安楽死法」ができて認めています。
アメリカでは「尊厳死」という言葉は
「積極的安楽死」または「医師による自殺幇助」という意味内容で使っています。
・尊厳死
尊厳死とは患者が「不治かつ末期」になったとき、自分の意思で延命治療をやめてもらい安らかに、人間らしい死をとげることです。
[日本尊厳死協会の設立目的]
日本尊厳死協会は、1976年1月に産婦人科医師で、国会議員であった故太田典礼氏を中心に医師、法律家、学者、政治家などの同志が集まって設立されました。 その目的は、自分の傷病が今の医学では治る見込みがなく、死が迫ってきたときに、自ら「死のありかたを選ぶ
権利」を持ち、そしてその権利を社会に認めてもらおうというものです。つまり、尊厳死運動とは、人権確立の運動なのです。
[リビング・ウイル]
日本尊厳死協会は、治る見込みのない病気にかかり、死期が迫ったときに「尊厳死の宣言書」(リビング・ウイル)を
医師に提示して、人間らしく安らかに、自然な死をとげる権利を確立する運動を展開しております。
リビング・ウイルとは、
自然な死を求めるために自発的意思で明示した「生前発効の遺言書」です。その主な内容は
○しろまる 不治かつ末期になった場合、無意味な延命措置を拒否する
○しろまる 苦痛を最大限に和らげる治療をしてほしい
○しろまる 植物状態に陥った場合、生命維持措置をとりやめてくださいというものです。
*問題点は、患者の意思表示は本当に本人の意思に基づく、確かなものかどうかである。
日本尊厳死協会は、1993年から「尊厳死の宣言書」(本書、十頁)の改訂作業に着手し、従来の「死期が迫った状態」と
「数カ月以上の植物状態のほかに、新たに老人性痴呆症を尊厳死の対象に加えようと検討を進めてきた。
複数の医師が重度の老年期痴呆症で回復の見込みがないと診断したケースについて、他の疾患を併発した場合などに延命措置をとらない、というのである。(毎日新聞、一九九六年七月四日朝刊)
2008年1月17日
全国遷延性意識障害者・家族の会のリ-フレットができました(2)
全国遷延性意識障害者・家族の会のリ-フレットができました。
全国遷延性意識障害者・家族の会のリ-フレットは下記のデザイン会社のご協力(無償)で作成致しました。
ありがとうございました。
デザイン会社:「スマイル」
980-811仙台市青葉区一番町一丁目12-16朝川ビル2D
TEL022-211-7979FAX022-267-0969
2008年1月16日
全国遷延性意識障害者・家族の会のリ-フレットができました(1)
全国遷延性意識障害者・家族の会のリ-フレットができました。
1月発行の役員会ニュースに同封いたします。
クリックしてご覧下さい。
2007年10月4日
重度障害者入院時コミュニケーション支援事業
神戸市で平成19年10月より、重度障害者入院時コミュニケーション支援事業が始まります。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
神戸にお住まいの重度障害者で発声がわかりにくいなどのため、対応に慣れていない医療機関において、入院時の医師や看護師との意思疎通が充分に図れない場合、本人の希望があれば障害福祉サービスでご利用中のヘルパー(居宅介護従事者)をコミュニケーション支援員として派遣し、円滑な医療行為などが行なえるように支援します。
○しろまる対象者 神戸市にお住まいの方で次の全てに当てはまる方
1障害程度区分5の「重度訪問介護」の対象者で現在障害福祉サービスの
ヘルパーをご利用の方
2両上肢に機能障害のある方
3発語困難等のため意思疎通が困難な方
6単身世帯等の理由で介護者がいない方
○しろまる支給量 ・入院から当初3日間は1日あたり原則10時間以内
・4日目以降、一日あたり原則5時間以内
・30日を上限とし、150時間を上限とする
○しろまる利用者負担 費用の一割負担(生活保護受給者は無料です)
ただし現在ご利用中の福祉サービスと同額の利用者負担上限月額が設定されます。
当事業での利用者負担上限月額は、他の障害福祉サービスとは別になります。他に障害福祉サービス等でお支払いただいた利用負担額とは別にお支払いただく必要があります。
○しろまる利用方法
お住まいの区役所保健福祉課でご相談のうえ申請してください。支給決定した方には、利用者証を交付します。事業者と契約のうえ、支給量の範囲内でご利用いただけます。また、急な入院に備えて当初3日間については予備的に利用の申請を受け付けます。
○しろまる申請に必要な書類等
・申請書
・障害福祉サービス受給者証(写)
・障害福祉サービス契約内容等記入表(写)
・印鑑
2007年8月30日
事例より抜粋しました
交通事故被害者の受傷時から今後の参考になる文章を書いていただけましたので、一部を情報に記載しました。
全文は、家族の手記に掲載。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
(現在)事故から12年・20歳になりました。
12年前、小学校2年生であった次男は友達の家に遊びに行った帰りの道で、車に撥ねられ、頭部を強打、それ以降重度の障害者となったが、先日20歳になった。
社会的な面
1)医療; 救命救急病院からの転院問題、リハビリ上限の問題、長期療養型病床削減の問題など、重度の障害者にとっては現在の絶望的な医療事情など、困難さは次男の事故当時よりも悪化している。
2)教育; 事故当時は小学校2年生であったから、学校の問題があった。「日常生活に近い形で生活をすることこそがリハビリ」と感じていたので、教育委員会と交渉し、小学校は1年遅れで地元の学校を卒業したが、学校との交渉はかなり厳しかった。中学校からは養護学校に通い、6年後に養護学校の高等部を卒業した。
3)福祉; 在宅になったのは11年前(事故から18ヵ月後)であったが、当時はガイドヘルパーを下校時にも使えた。また学校教育を受けている間はいわゆる「日中活動の場」は保障されていたが、卒業してからは障害者の通所施設からは、医療的ケアを理由に断られ、現在は高齢者施設での「基準該当」で「生活介護」を受け、週に5日通っている。地域差はかなり大きい。東京と大阪でもかなり異なる。私たちは障害者の中でもマイナーであることを甘受して交渉することも大事。
4)親の退職・家族のことなど; 事故当時、私も妻もフルタイムで仕事をしていたが、同居の母の介護や諸般の事情で、今は二人とも仕事をしていない。事故当時、小学校4年生であった長男は専門学校を卒業し独立。
5)交通事故の補償; 刑事罰については徹底的にやるしかない、と思う。加害者は自分に都合の良いことしか言わないので、目撃者探しなども必要であったが、私の息子の場合、事故から6ヶ月間高熱が続き、そのようなことをできる余裕が全くなかった。加害者を罰するよりも息子の命のことばかりを考えてしまった。
民事賠償については、重度の障害を負った場合に示談でなく裁判で少なくとも1審は争う方が良い。裁判は論証のしかたで、補償金額はかなり変わるが、弁護士を使い切ることが肝心で弁護士任せにするとダメで、被害者も大いなる勉強が大事。
6)「こころ」の問題; 人によって差があるが、極めて大事な問題。加害者を恨むこともある意味で必要だが、本人の回復こそが私たちを支えるのは事実。楽観的に考えないと「雪隠詰め」になる。
7)「親亡き後」問題; グループホーム(GH)を作るしかない、と考えている。自治体のGHの既存制度に上に立ち上げる形で、介護保険で認められている小規模多機能事業、療養通所介護事業などを障害者にも適用させる「基準該当」制度を作らせ、高齢者と障害者の共同入所施設のモデル事業などを組み合わせ、それに現在の障害者自立支援法の制度を上乗せする。またランニングコストの一部として、本人の障害年金や、運営法人に対して親の財産の処分も委任し(成年後見制度)する。それでもなおかつ不十分な場合に、自賠責運用益を地域生活支援の形で投入させる。
8)情報の収集; 重度障害者の福祉や医療の情報は個別性が高く、担当者や主治医でかなり変わる。脳外科医といっても、いろいろな脳外科医が居る。市役所のケースワーカーでもいろいろな人が居る。厚労省や国交省の対応も担当者でかなり変わる。情報の収集は重要。
2007年7月13日
(医療)(福祉) 療養通所介護」の障害者モデル事業について
療養通所介護」の障害者モデル事業について
昨年(平成18年)4月に介護保険制度化において、創設された「療養通所介護」ですが、日本訪問看護ステーションのご努力により、本制度を在宅の重度障害者にも創設してもらうよう、厚労省と何度も交渉の末、この度「障害者の療養通所介護」のモデル事業の実施が認められたとの連絡がありました。(療養通所介護推進ネットワーク代表※(注記)氏より)
この事は、先般全国会として厚労省へ交渉に行ったときにも、当事者団体として要望してきたことですが、とりあえずモデル事業が認められたことは、一歩前進と考えます。
ただし、全国で数ヶ所の訪問看護ステーションでの実施ではありますが、昨年介護保険下において創設されるまでには、4年間のモデル事業の実施を経て創設に漕ぎつけた経緯を考えたとき、法制化するまでには、かなりの時間を要することは否めません。
現在、医療と介護のニーズを併せもつ、在宅の重度障害者にとってこのような制度の実現は必要不可欠なことです。
しかし、仮に本制度が創設されても、全国でこのような施設を求め、待ち望んでいる
重度障害者すべてを網羅するには、恐らく受け入れ事業所の数はおいつかないかもしれません。
従前から要望している「メディカルショートステー」や、一般の介護施設での医療的ケアの解禁(痰の吸引、経管栄養等)と共に今後も粘り強く、当時者団体としても、厚労省に要望していかなくてはなりません。
<参考> 「療養通所介護」制度の詳しいことは、2006年10月発行の会報3号に掲載されています。
【この記事は、今後の進展が判り次第、詳細を「お知らせ」にUPします。】
2007年7月9日
(福祉) 重度難病患者の在宅支援
在宅支援が各自治体により違いがあることは皆様もご存知であると思います。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)は神経難病の1つで難病の中でも極めて重い病気として知られております。
原因が分からないから難病でり、15%は遺伝が関係しているとも言われております。
全国に7300名の患者がいて、その病状は様々です。ステージがあり1〜5までのステージの中で重度といわれる(ステージ4と5)
人口呼吸器をつけている方は45%位といわれております。その中で呼吸器を付けてからの平均余命は8から10年と言われておりますが、20年以上の方もおり、介護環境や個別の進行具合により異なります。一般的に10年が一つの目あす。
実態は厚生労働省も発表しておりませんので、日本ALS協会もご存知ないようです。
ALSは24時間介護を要求して運動している事は周知のとおりです。しかし、現実は地方財政の体力と介護環境によって様々です。
比較的活動が活発な山形県では確定診断された方が、99名です。(人口比率0.01パーセント未満)
この中で、最高限度額を受けている方は、1日20時間です。平均は5〜10時間です。(この事は3世帯家族が日本で1番という事もある)
国から出ていない制度の補完として、会独自で移動支援などをおこなっている。
山形の特徴は、患者100名に対し賛助会員が1000名いると言う事です。会費は一旦本部へ行き支部への補助と言う形で還付される。会費納入率により還付率は異なる。
ALSも筋ジストロフィーの重度も都道府県毎に支援が異なっておりす。国の制度のみの県もあり、独自の支援を行っているところもあります。
在宅支援に関しては、双方の重度の患者に押しなべて言えることは、患者が市町村に如何に要望を出し、市町村が財政力をふまえ支給料を判断するかに尽きると思います。
また、以前にも書きましたが、難病診断の専門医が少ないことにより、認定患者が都道府県によりバラつきがあることも事実であります。
重症筋無力症に診断でも、神経難病専門医の判断が難しいものもあります。
各患者会が声を出して要望し続けているところが、支援が進んでいるように感じます。
介護保険において国の政策が都道府県におりて、各市町村が窓口現場対応しいます。よく言われることは、介護保険における都道府県の形骸化がいわれております。自立支援法もその流れになる危険性をはらんでおります。
もう始まっているのかもしれない。
市町村は自立支援法対象者の重度障害者の実態を殆ど把握しておらず、窓口に来た方だけそれなりの対応をしているのが実情です。
先日県庁の担当課の課長と懇談して、「県は市町村の実態を知らなさ過ぎる!」[何とかしないと、困るのはその地域に住んでいる障害者です」と言いましたら、早速、市町村の障害福祉担当課のための研修を行い事業化するとその場で部下に指示をした。
その一環として、事業担当者がまず初めに「市町村担当者に当会の第4回フォーラム」への参加研修をするようです。
はたして、どれだけ来るか分かりませんが・・・、また、改めて一同に集めて重度障害者に対する研修会を、各自治体の代表者を集めて行うと言っておりました。
私たちが、市町村の窓口に行って、相談したい事は山ほどあるのですが、窓口の対応がホームページの説明くらいなもので、多くの方々ががっかりして肩を落とし帰ってきます。そして、「町に相談してもだめだ」となり自分で探しているのが実態なのかも知れません。
また、市・町に対して具体的かつ個別の支援を申し出れない方は、支援の片隅に追いやられているのではないかと危惧しております。
先程のALS患者の時間要求においても、各個人ごとに病状・介護環境で判断されるのではなく、要望を言い続けた方が、多くの支援を勝ち取っているのが現実であろう。
「難病患者等居宅生活支援事業」について添付いたします。短期入所事業に遷延性が入っても良いと考えております。
難病等の「等」は難治性疾患(400とも500以上とも言われている)のことを言っているのだと思いますが、遷延性が入っても良いと考えておりますが曖昧です。
重度難病患者支援の制度と照らし合わせながら、独自の要望事項をまとめていく事が、大切だろうと考えます。
私たちの介護環境を考えるにあたり、憲法25条にある「・・・健康で文化的な生活・・」は「健康を害し介護している」介護者の生存権にも関係してくる原点の問題の一つです。