本協会では,平成18年度予算編成に向けて,砂防関係事業の新規施策の実現と重点投資,配分が行われるように,中央、地方を通じて活発な活動を行って参りましたが,その集大成ともいえる「全国治水砂防促進大会」を11月15日午前11時より砂防会館シェーンバッハ・サボー「利根」で開催いたしました。
今年度は大会に入る前,10時30分より文化キャスター山田美也子さんに「刻(とき)を刻む」と題して特別講演をお願いしました。 刻の流れに振り回されないで,自分なりの刻の読み方をする重要性を話していただきました。
大会は、会員等約1150名の出席のもと,衆・参の国会議員をはじめ,国土交通省関係者等多数のご出席をいただきました。
最初に綿貫会長が挨拶を行い議長席につき,江?ア国土交通省副大臣から祝辞をいただきました。 次に,国土交通省亀江砂防部長より「砂防行政の動向について」と題し講演をいただいた後,会員代表者として,宮崎県日之影町長・工藤訓氏,愛媛県西条市長・伊藤宏太郎氏の両名による意見発表がありました。
工藤氏からは,台風14号による未曾有の豪雨により発生した土石流災害等により,全半壊家屋71棟など激甚な被害の発生があったが,犠牲者が無かったこと,そして,その要因についての報告がありました。
映像により,被災の状況と行政の取り組みを時系列で説明,犠牲者無しの要因として,住民の防災への危機意識が高く,ふだんから自主避難を心掛けていたこと,役場職員全員で危機管理のマニュアルを整備し,職員の危機管理意識を向上させたこと,消防団が平素から自衛の活動を積んで,地域と一体となった避難体制を築いたことなどを上げ,自主避難の意識と危機意識の啓発を繰り返し示すのが行政の責務であるとし,このようなソフト対策の整備も重要であるが,ハード対策の充実が必要と強調しました。
次に,伊藤氏からは,映像により,台風21号を始めとする災害により5名の犠牲者が出たこと,その特徴として今まであまり被害の出なかった里山に近いところが被災したことをあげ,復旧に対しては,国・県の取り組みが迅速であったこと,さらに,砂防施設が有効に働いて地域が救われたことの報告があり,教訓として災害に関する情報を情報公開等で周知すること,土砂災害警戒区域,特別警戒区域の早期指定が必要なことをあげ,災害後実施した防災意識の向上を図るためのフォーラムや県等関係機関の防災訓練を通じて,国土を守る砂防事業の推進には住民の理解が不可欠であり,住民と地方自治と国が一体となって行う必要があるとの意見発表がありました。
その後,大久保理事長より今後の活動方針並びに大会提言を発表し,満場一致で採択されました。
会員を始め,国会議員,来賓等多数の方々のご出席により,本大会が盛会裏に開催することが出来ましたことを衷心より感謝申し上げます。
詳細は,「砂防と治水 第168号 2005年12月号」に掲載しております。
山田美也子さんによる特別講演
綿貫民輔 会長