本協会の理事顧問会議が8月7日に開催されました。 当日は、国土交通省砂防部の幹部の皆様にもご臨席を頂き、最近の砂防関係事業の動向・今後の重点的な取り組み、「土砂災害防止法」の施行について、本年の災害の発生状況等と砂防部の対応等について説明がありました。
この説明を受けて、最近の土砂災害が頻発していることや砂防関係事業の整備が立ち遅れていること等、また平成14年度の概算要求を目前に控えていることなどから、砂防関係事業の推進について緊急に要望活動をすべきとの意見が全会一致で決議されました。
これを受けて、協会本部では緊急要望書を作成して、8月7日・8日の両日に、政府(山形県横山西川町長及び三重県服部菰野町長に要望活動のご支援をいただいた)並びに国会に対して、要望活動を実施致しました。
以下に、要望書の全文を掲載し、報告といたします。
緊急要望書
わが国では、貴重な生命・財産が失われる土石流、地すべり、
がけ崩れなどの土砂災害が毎年繰り返され、国民に大きな不安を
もたらしている。そして、多様化、激甚化の一途を
たどり、影響が深刻になってきている。
今なお有珠山では泥流に備えた対策が続けられており、三宅島
では全島避難の間も泥流被害が出続けている現状を見れば明白で
ある。
土砂災害は、悲惨であるだけでなく、いったん発生するとその
影響は後々長年にも及び復旧・復興には多大の労力・経費・時間
を要する。未然の措置が極めて重要である。
一方、土砂災害の危険のある地域は全国で18万箇所にもおよ
び、その整備は未だ20%台に止まっており、危険箇所が多く残
されている。砂防関係事業の拡充は急務である。
土砂災害を防ぎ、安全な地域を造る砂防関係事業は、人々の生
活・活動のあらゆるものの基盤を確保することであり、何ものにも
まして優先的に実施しておかねばならない仕事である。
ここに下記のとおり、砂防関係事業の
着実な実施を要望するものである。
記
1.砂防関係事業予算の拡充・充実
・砂防事業
・地すべり対策事業
・急傾斜地崩壊対策事業
・雪崩対策事業
1.総合的な施策の拡充と「土砂災害防止法」の着実な
実行のための予算措置
平成13年8月7日
社団法人 全国治水砂防協会
遅れている土砂災害危険箇所の整備
(平成8年度調査に基づき暫定的に算出したものである。)
平成13年の土砂災害発生状況
●くろまる山手谷(やまてたに)川(愛媛県松山市高野町(たかのちょう))の土石流災害
発生日:平成13年6月20日
原 因:梅雨前線豪雨
連続雨量/250mm
時間雨量/39mm
被害状況:人的被害:死者1名、負傷者6名 家屋被害:全壊2戸、一部損壊7戸
●くろまる地すべり災害(新潟県松之山町(まつのやままち))
発生日:平成13年4月28日
被害状況:工場1棟一部損壊,一級河川東川埋塞
地すべり現象が20日間継続し周辺集落で断水、停電等
●くろまる芸予地震によるがけ崩れ災害(広島県呉市(くれし))
発生日:平成13年3月24日
規模:マグニチュード6.4
最大震度:6弱
発生件数:52件
被 害:家屋一部損壊7件