令和3年度に実施した「三重県観光事業者支援金支給業務」について、次のとおり過大請求であったことが判明しました。今後、過大請求額の返還を求めていきます。
1 過大請求のあった事業の概要
(1)契約名:三重県観光事業者支援金支給業務委託
(2)契約金額:327,153,586円
・支援金原資分 :268,658,097円
・事務経費分 : 58,495,489円
(3)契約先:近畿日本ツーリスト株式会社 津支店
(4)契約期間:令和3年6月18日〜10月29日
(5)事業概要
コロナ禍により事業継続が困難な状況にある観光事業者に対して、緊急的な経営支援を行う
「三重県観光事業者支援金」を支給するため、事業者からの問合せ対応や書類審査、支給事務を
委託(548事業者に支給)。
【三重県観光事業者支援金の概要】
1申請受付期間
令和3年6月21日〜9月30日(令和3年度で事業は終了)
2支給要件
令和3年4月〜6月のいずれかの売上月額が前年又は前々年同月比で、30%以上減少している
こと。
3支給上限額
宿泊事業者・観光施設:200万円、土産物店:30万円、体験事業者:10万円
4財源
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金
(6)契約の状況
区 分
契約日
契約期間
契約金額
概 要
当初契約
R3.6.18
R3.6.18〜R3.9.30
1,014,402,440円
変更契約
(1回目)
R3.8.31
R3.6.18〜R3.10.29
1,014,276,963円
委託期間の延長
変更契約
(2回目)
R3.10.29
R3.6.18〜R3.10.29
327,153,586円
支給事業者数の減
2 過大請求の内容
(1)過大請求額
11,292,567円
(2)内訳
種 別
支払済額
精査後の金額
差 額
1 事務局業務における過大請求
20,118,000円
13,734,000円
6,384,000円
2 コールセンター業務における過大請求
20,663,000円
18,524,400円
2,138,600円
3 事務局の業務責任者の過大配置
2,380,000円
1,547,000円
833,000円
4 振込手数料の精算
274,000円
296,900円
△しろさんかく22,900円
その他業務
4,908,380円
4,908,380円
0円
営業管理費
4,834,338円
3,901,068円
933,270円
消費税及び地方消費税
5,317,771円
4,291,174円
1,026,597円
合 計
58,495,489円
47,202,922円
11,292,567円
1 事務局業務における過大請求
申請書類の確認や支払いを行う事務局業務について、実際に稼働した人員数(769人)よりも
多い人員数(1,078人)で積算された見積書により、309人分が過大に請求されていました。
2 コールセンター業務における過大請求
コールセンター業務について、近畿日本ツーリスト株式会社津支店からコールセンター事業者に
再委託されており、当初契約では再委託先から同社に対する請求額が県に請求されることとなって
いましたが、最終的に、再委託先の請求額よりも過大に請求されていました。
3 事務局の業務責任者の過大配置
事務局の業務責任者については、仕様書で「業務責任者1名を配置」としていましたが、
実稼働日90日のうち85日は業務責任者を2名配置しており、業務責任者単価(28,000円)と
スタッフの人件費単価(18,200円)の差額(9,800円)85名分が過大に請求されていました。
4 振込手数料の精算
振込手数料について、実費に基づき精算します。
3 これまでの経緯
(令和5年4月17日 KNT-CTホールディングス株式会社が、外部の専門家からなる「調査委員会」を設置)
・5月2日 県に対し、近畿日本ツーリスト株式会社津支店から、本事業が過大請求の可能性があり社内
調査中である旨、連絡
(8月8日 調査委員会が、KNT-CTホールディングス株式会社に対して調査報告書を提出)
・8月10日 県が、近畿日本ツーリスト株式会社津支店が調査委員会に提出した、本事業に関する
書類を入手
(この間、県において調査委員会に提出された書類を精査し、不明な点について同社に対し、
追加調査や書類の提出を指示)
・10月23日 県において、精査額が確定
4 過大請求となった要因
近畿日本ツーリスト株式会社津支店に過大請求に至った理由を確認したところ、「業務に支障が
ない限りにおいて、当社にある程度の裁量が認められていると認識していた」とのことであり、
契約の認識に差異があったことが要因です。
5 今後の対応
(1)過大請求額の返還等
今回判明した内容に基づき、過大請求額について近畿日本ツーリスト株式会社津支店に返還
請求を行い、その全額を国に返還します。併せて、実績報告時の関連資料を訂正させます。
今回の事案については、事業の目的は達成されており、本県に業務上の損害は発生していない
ことから、刑事告訴はしません。
(2)再発防止策
県の審査において、同社が提出した見積書記載の人員数等と実績報告書記載の人員数等の
差異を発見できませんでした。同社から提出された書類を信頼したためであり、十分な審査を
行えば発見できたことから、今後は、複数の職員によるチェックを徹底していきます。
また、委託業務において再委託が生じた場合は、業務実績を確認する書類等を必要に応じ
取り寄せ、支払額の精査を行います。