成年後見制度のご説明
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成年後見制度とは
認知症の方、知的障害のある方、精神障害のある方など判断能力の不十分な方々を保護し支援する制度です。
成年後見制度は、「自己決定の尊重」と「本人の保護」との調和を目的としています。本人の能力に応じて、柔軟かつ弾力的な支援が可能です。
制度の細かい区分については以下の成年後見制度一覧表をご参照ください。
成年後見制度一覧表
事理を弁識する能力が
(必要な場合のみ) 保佐監督人
(必要な場合のみ) 成年後見監督人(必要な場合のみ) 任意後見監督人(必ず選任)
(+同意権拡張の申立の範囲内で家庭裁判所が付与) なし なし
(日用品の購入その他日常生活に関する行為を除く) なし
(本人の同意が要件) 特定の法律行為の範囲内で家庭裁判所が付与する
(本人の同意が要件) 財産に関する法律行為の包括的な代理権を有する 任意後見契約(公正証書で定める)による
成年後見制度の種類
法定後見制度と任意後見制度
成年後見制度は、「法定後見制度」と「任意後見制度」に大別されます。
「法定後見制度」には、本人の判断能力に応じて「補助」「保佐」「成年後見」の3つの制度が用意されています。
申立権者(※(注記)1)の申立により、家庭裁判所が適任と認める人を成年後見人・保佐人・補助人に選任します。
※(注記)1申立権者とは、成年後見制度の利用を家庭裁判所に申立することができる人のことです。
本人・配偶者・四親等内の親族・後見人等・後見監督人等・検察官・市町村長などです。
任意後見制度
[画像:a1600_000035_m]「任意後見制度」とは、現在、判断能力が十分な状態にある方が、将来に備えて利用する制度です。
自分の判断能力が低下した場合であっても、自分の想いを実現できる制度です。生前贈与の継続、株式運用の継続、希望居住場所の指定もできます。
自分の選んだ人(任意後見受任者)に、後に自分の判断能力が不十分になった場合に備えて、自分の意思に従って財産管理と身上監護の事務の全部または一部について代理権を与えるという「任意後見契約」を公正証書で結んでおきます。
認知症、知的障害、精神障害などによって、本人の判断能力が低下して常に不十分な状態になった場合に、本人、配偶者、四親等内の親族、任意後見受任者の申立によって、家庭裁判所が「任意後見監督人」を選任することによって効力が発生します。任意後見監督人の監督の下で任意後見人による支援を受けることになります。
任意後見人は、任意後見契約に定められた生活・療養看護及び財産管理の事務の全部または一部について与えられた代理権を行使して、契約に従って生活・療養看護及び財産管理を行います(同意権・取消権はありません)。
財産管理の例としては、預金の管理、不動産その他重要な財産の売買契約や賃貸借契約の締結、遺産分割、定期的な贈与、資産運用などがあります。
生活・療養看護の例としては、介護契約、施設入所契約、医療契約の締結などがあります。
自分の老後のあり方を自己決定でき、法定後見制度では実現が難しいこと(定期的な贈与による相続税対策の継続)もできます。
法定後見制度
「法定後見制度」とは、既に判断能力が不十分な状態にある方を保護・支援する制度です。
申立権者(※(注記)1)の申立により、家庭裁判所が適任と認める人を成年後見人・保佐人・補助人に選任します。
(※(注記)1申立権者とは、成年後見制度の利用を家庭裁判所に申立することができる人のことです。本人・配偶者・四親等内の親族・後見人等・後見監督人等・検察官・市町村長などです。)
「法定後見制度」には、本人の判断能力に応じて「補助」「保佐」「成年後見」の3つの制度が用意されています。
補助
「補助」は、軽い認知症や知的障害・精神障害などのため判断能力が不十分な方を保護・支援するための制度です。
「補助」は、家庭裁判所の審判によって開始されます。「補助人」に与える権限(同意権・代理権)は、本人が同意した申立の範囲で家庭裁判所が決定します。
「同意権」が付与された行為を、本人が補助人の同意なく行った場合には、取り消すことができます(「取消権」)。
「補助」の場合、支援を受けるかどうか、どの範囲で支援を受けるかについて、本人の意思が最大限尊重されています。軽い障害があって、生活するのに少し不安があるケースなどで活用されています。大きな財産(一部の預金)を預かったり、適宜相談を受けたり、取消権を行使したりして支援しています。
「後見開始」「保佐開始」の審判を受けると、医師、税理士等の資格や、会社役員、公務員等の地位を失うことになりますが、「補助開始」の審判には、資格制限の規定はありません。
「補助人」は、本人の意思決定を支援し、必要に応じて、同意権・取消権・代理権を活用して、本人を支援しています。
「補助」は、本人の自己決定を尊重し、意思決定を柔軟に支援することが可能な制度です。もっと活用されることを期待しています。
保佐
「保佐」は、認知症や知的障害・精神障害などのため判断能力が著しく不十分な方を保護・支援するための制度です。
「保佐」は、家庭裁判所の審判によって開始されます。「保佐人」には、法律上重要な法律行為について同意権を与えられています。その他の「保佐人」に与える権限(代理権・追加の同意権)は、本人が同意した申立の範囲で家庭裁判所が決定します。
「同意権」が付与された行為を、本人が保佐人の同意なく行った場合には、取り消すことができます(「取消権」)。
「保佐人」は、本人の意思決定を支援し、必要に応じて、同意権・取消権・代理権を活用して本人を支援します。相談を受けて一緒に考えて意思決定を支援することもあります。
成年後見
「成年後見」は、認知症や知的障害・精神障害などのため判断能力が常に欠けている状態の方の保護のための制度です。
「成年後見」は、家庭裁判所の審判によって開始されます。「成年後見人」には、「取消権」が与えられています(日用品の購入など日常生活に関する行為は除く)。
「成年後見人」は、本人の財産に関する法律行為について全面的な「代理権」と、本人の財産について全面的な「管理権」(但し、居住用不動産の処分には家庭裁判所の許可が必要)を有しています。
「成年後見」となった場合であっても、何らかの意思表明がなされるケースがあります。「成年後見人」にも、可能な限り本人の意思を尊重して支援することが求められています。
成年後見人等
[画像:a0002_001424_m]成年後見人等(任意後見人・補助人・保佐人・成年後見人)は、可能な限り本人の意思を尊重しつつ、本人の財産についての管理と、身上監護を行います。
成年後見人等が、本人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、本人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮する義務があります。これは、実際に介護労働をする義務ではありません(勿論、介護労働を行ってはならないわけではありません)
成年後見人等の仕事についての詳細は「成年後見人等の仕事」をご参照ください。成年後見人等の仕事
成年後見申立
成年後見申立の際に必要な手続き、書類、費用等は以下の「成年後見申立早見表」の通りです。
成年後見申立早見表
↓ 誰が申立するか、等を相談 相談料 相談機関 0円〜5,500円 0円〜5,500円 0円〜5,500円
↓ 家庭裁判所の受付で申立書類を入手 申立書 家庭裁判所受付・裁判所ホームページ 0円 0円 0円
↓ 専用書式あり
申立類型決定 診断書 かかりつけ医 5,500円 5,500円 5,500円
↓ 身上関係の添付書類を入手 本人の戸籍謄本 市役所 450円 450円 450円
↓ 保佐・補助の同意権・代理権付与申立事項等を相談 相談料 相談機関 0円〜5,500円 0円〜5,500円 0円〜5,500円
↓ 専門家に依頼すると報酬と実費が必要※(注記) 書類作成援助又は代理援助 弁護士・司法書士等 0円〜
220,000円 0円〜
220,000円 0円〜
220,000円
↓ 後見等開始申立の手数料が必要 開始申立印紙 家庭裁判所 800円 800円 800円
100,000円 0円〜
100,000円 0円
〜上限概算 13,780円
〜344,780円 14,780円
〜347,380円 15,580円
〜247,380円
※(注記) 保佐開始申立・補助開始申立の場合、代理権付与申立・同意権付与申立を付加することができます。その場合、各申立毎に800円の手数料が必要となります。
※(注記) 保佐開始申立は単独でも申立可能ですが、補助開始申立は単独では申立できず、代理権付与申立・同意権付与申立の少なくとも一方を付加することが必要です。
成年後見制度を利用する動機
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預貯金等の管理・解約
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身上保護
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介護保険契約
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不動産の処分
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相続手続
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保険金受取
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訴訟手続等
※(注記)令和2年後見関係事件の概況(裁判所HP)より
成年後見制度利用支援事業〜成年後見人等報酬の助成制度〜
[画像:a0002_001007_m]成年後見制度の利用を支援するために国(厚生労働省)が用意した事業です。
この事業には、資産も収入が少なくて、補助を受けなければ成年後見制度の利用が困難であると認められる方について、後見人等の報酬等必要となる経費の一部を補助するための制度も用意されています。
成年後見制度利用支援事業の実施主体は市町村です。市町村は、それぞれに要綱を定めて実施しています。
平成20年に市町村長申立でなくても支援の対象としてよいことになりましたが、現在でも、市町村長申立案件に限定している市町村もあります。お住まいの市町村に確認してみてください。