月刊 経団連2022年3月号
特集 ポストコロナに向けて、労使協働で持続的成長に結びつくSociety 5.0の実現
巻頭言
企業に求められる人権対応
2000年の国連ミレニアム・サミットで「人間の安全保障」を謳ったアナン元事務総長が、2018年にこの世を去り、彼の指示を受けて「ビジネスと人権に関する指導原則」をまとめた国際政治学者ジョン・ラギー教授も昨年亡くなった。彼らの思いは、未だ実現されたとは言えない。そのような中で、サプライチェーンにおける人権・労働問題は強い関心事となり、EU主要各国では、人権デューデリジェンスの義務化が加速する。
特集
ポストコロナに向けて、労使協働で持続的成長に結びつくSociety 5.0の実現
今年1月に公表した経営労働政策特別委員会報告では、SDGsの達成など社会課題の解決に労使が共に取り組むことの重要性を強調している。
また、人口減少下で迎えるポストコロナ社会に向けて、我が国の成長力を高めるには、「労働生産性の向上」「労働参加率の上昇」、成長分野等への「円滑な労働移動」を同時に進める必要がある。この実現のため、企業には、働き方改革の深化や、ダイバーシティ&インクルージョンの推進、日本型雇用システムの見直し、主体的な学び直しの支援などが求められる。
座談会:ポストコロナに向けて、労使協働で持続的成長に結びつくSociety 5.0の実現
- 大橋 徹二 (経団連副会長、経営労働政策特別委員長/コマツ会長)
- 渡邉 光一郎 (経団連副会長/第一生命ホールディングス会長)
- 篠原 弘道 (経団連副会長/日本電信電話会長)
- 松浦 民恵 (法政大学キャリアデザイン学部教授)
未来をつくる。みんなでつくる
―2022春季生活闘争の意義と役割
芳野 友子(日本労働組合総連合会会長)
- 未来をつくる
- みんなでつくる
- 労働条件向上を後押しする環境づくりを
2022春季労使交渉・協議に向けて
―地方の視点から
宮﨑 正彦(鳥取県経営者協会会長)
- 鳥取県が目指す産業構造の改革と構築
- 2022春季労使交渉・協議に向けて
あらためて雇用のセーフティーネットについて考える
酒井 正(法政大学経済学部教授)
- 「第2のセーフティーネット」としての求職者支援制度
- 求職者支援制度の利用が低調な理由
- ほころびのない安全網にするために
スキル再構築が全ての人に求められる時代へ
石原 直子(リクルートワークス研究所主幹研究員・人事研究センター長)
- コロナがDXを加速させている
- リスキリングでスキルの再構築を
- 経営者のリスキリングも重要
コロナ禍における若年正社員のやりがい低下の実態
―「若者のワークスタイル調査」から
堀有 喜衣(労働政策研究・研修機構副統括研究員)
- 若年正社員定着者のやりがい低下
- なぜ正社員定着者でやりがいが低下したのか
人生100年時代のデジタル人材育成
―キヤノンの取り組み
飯島 克己(キヤノン常務執行役員)
- キヤノンの行動指針
- 環境の変化
- Canon Institute of Software Technology (CIST)
- 職種転換研修
- デジタル人材育成
ベテラン層のさらなる活躍推進に向けた再雇用制度の拡充
―希望者全員が70歳までモチベーション高く働き続けられる仕組みへ
今西 亜裕美(ダイキン工業人事本部ダイバーシティ推進グループ担当課長)
- 人を基軸におく経営
─多様な人材の活躍を目指して - 再雇用制度改定の概要
─成果に対し、より報いる仕組みへ - ベテラン層の意欲喚起・活躍推進の取り組み
2022年版経営労働政策特別委員会報告
―ポストコロナに向けて、労使協働で持続的成長に結びつくSociety 5.0の実現
(経団連労働政策本部)
- はじめに
- 第1章 人口減少下での成長を実現するポストコロナを見据えた働き方
- 第2章 雇用・労働分野における諸課題
- 第3章 2022年春季労使交渉・協議における経営側の基本スタンス
一般記事
【提言】
持続可能でレジリエントな観光への革新
―改定「観光立国推進基本計画」に対する意見
https://www.keidanren.or.jp/policy/2022/006.html
菰田 正信(経団連副会長、観光委員長/三井不動産社長)
新浪 剛史(経団連審議員会副議長、観光委員長/サントリーホールディングス社長)
武内 紀子(経団連審議員会副議長、観光委員長/コングレ社長)
- 観光立国の実現に関する施策についての基本的な方針
- 観光立国の実現に関する目標
- 観光立国の実現に関し、総合的かつ計画的に講ずべき施策
【提言】
Society 5.0時代のヘルスケアIII
―オンラインの活用で広がるヘルスケアの選択肢
https://www.keidanren.or.jp/policy/2022/005.html
畑中 好彦(経団連審議員会副議長、イノベーション委員長/アステラス製薬会長)
田中 孝司(経団連イノベーション委員長/KDDI会長)
- オンラインヘルスケアの可能性
- 社会的意義と主な提言
企業に求められる技術系人材育成のあり方
寺井 和弘(日本技術士会会長)
- 科学技術イノベーション施策における技術系人材育成の位置付け
- 我が国の技術系人材の現状
- 技術士制度と技術者教育
- 技術系人材育成改革を通じた国際競争力強化への提案
連載
-
あの時、あの言葉
「至誠」という信念
古出 眞敏(アフラック生命保険社長) -
Essay「時の調べ」
何のために数学を学ぶのか
曽布川 拓也(早稲田大学グローバルエデュケーションセンター数学教育部門教授)