月刊 経団連2021年1月号
特集 。新成長戦略
巻頭言
コロナ禍を乗り越えて希望に満ちた1年に
2020年、世界は新型コロナウイルス感染症の拡大という極めて大きな災禍に見舞われた。世界経済は景気後退に陥り、資本主義のもとで進行していた格差が浮き彫りとなった。我が国では政府・自治体の迅速な対応、国民・企業の協力により感染の爆発的な拡大は回避されたものの、日々の社会経済活動は大きな変化を余儀なくされている。
特集
。新成長戦略
新型コロナウイルスは、深刻化する格差問題や地球環境問題など、新自由主義以降の株主至上資本主義の限界をあらわにした。資本主義のあり方を見直し、サステイナブルな資本主義を基本理念として、我が国経済社会の持続的な成長を可能にする新たな戦略が求められている。経団連はこのたび、Society 5.0によるサステイナブルな資本主義の実現を掲げ、DX、地方創生、働き方、国際経済秩序、環境を柱とする成長戦略を打ち出した。そこで、2030年をターゲットイヤーとして、目指すべき未来の我が国の姿と、その実現に向けて求められるアクションについて議論する。
座談会:。新成長戦略
- 國部 毅 (成長戦略会議有識者/三井住友フィナンシャルグループ会長)
- 野田 由美子 (経団連経団連審議員会副議長/ヴェオリア・ジャパン会長)
- 石倉 洋子 (一橋大学名誉教授)
- 安田 洋祐 (大阪大学経済学研究科准教授)
- ■しかく コロナ禍で顕在化した日本の課題
- 再認識した目指すべき「Society 5.0」
- 環境問題に対する意識の変化
- 世界情勢を捉え切れない日本
- 組織内の牽制から変化へ
- ■しかく ポストコロナ 〜2030年の日本
- 今後の日本の成長戦略
- サーキュラーエコノミーと地方の自立
- グローバル企業の役割と必要とされる人材
- DXが導く未来の姿
- 現政権への期待と要望
- 市場経済と経済圏コミュニティ
- Society 5.0 for SDGsの実現に向けて
- 世界から理解される日本へ
- ■しかく 経済界の役割と実行すべきアクション
- 若い人達の邪魔をしないという発想
- 脱炭素社会に向けた経済界の役割
- イノベーションの担い手として
【インタビュー】
サステイナブルな資本主義の確立に向けて
中西 宏明(経団連会長)
久保田 政一(聞き手:経団連事務総長)
- 現在の資本主義の限界とそのアップデート・リデザインに向けた課題
- サステイナブルな資本主義の確立に向けた重点分野とアクションの方向性
【特別寄稿】
新型コロナウイルスの危機からの回復と持続可能な未来の構築
ヴァルディス・ドムブロフスキス(欧州委員会執行副委員長)
「米中新冷戦」の性格と帰趨
田所 昌幸(慶應義塾大学法学部教授/21世紀政策研究所研究主幹)
- 米中対立の要素
〜経済面での軋轢、地政学的対立、体制間競争 - 米中対立の帰趨
- 岐路に立つ日本の政治的意思形成
米中対立と国際秩序の今後
佐橋 亮(東京大学東洋文化研究所准教授/21世紀政策研究所客員研究委員)
- 米国新政権を待つ政治的難局
- 米中対立が前提となる時代
- 経済安全保障が米中対立の焦点であり続ける
- 国際秩序観が問われる時代
DXの遅れを挽回し"突き抜ける日本"へ
川邊 健太郎(Zホールディングス社長)
- DXによる生産性向上は「やる一択」
- 公共部門のDX
- 後発DXならではの立ち位置
九州から日本を動かす
麻生 泰(九州経済連合会会長)
- 危機感なきジリ貧
- 九州から日本を動かす
- 日本のこれから、地方の底力
都市から地方への人材の還流
矢嶋 康次(ニッセイ基礎研究所総合政策研究部研究理事チーフエコノミスト)
- はじめに
コロナで一気に変わった人の流れ - 地方創生の王道とは
- まずは集積と集中を進め、持続可能な中核都市を作る
- 若者の定着を図る。
多様なアイデアが産業創出のカギ - おわりに
未来を担う世代が望む働き方・生き方とは
新居 日南恵(manma社長)
- 事業を開始した際の課題意識
- 家族留学を通じ、将来の仕事と子育ての両立に対する不安を解消
- 求められるロールモデル
─男性の家事・育児への積極的参画
脱炭素社会実現に向けた原子力の役割
ラファエル・マリアーノ・グロッシー(国際原子力機関(IAEA)事務局長)
- 気候変動問題で人類に残された時間はごくわずか
- 原子力はCO2排出量削減において重要な役割を担う
- 原子力施設の建設・導入コストはイノベーションで低減する
イノベーションを通じた脱炭素化の道筋と経団連「チャレンジ・ゼロ」への期待
秋元 圭吾(地球環境産業技術研究機構(RITE)システム研究グループリーダー/21世紀政策研究所研究委員)
- 実質ゼロ排出の実現に向けた対策の方向性
- 「チャレンジ・ゼロ」への期待
一般記事
第11回アジア・ビジネス・サミットをオンラインで開催
―ウィズ・ポストコロナ戦略とアジアにおける協力課題について意見交換
http://www.keidanren.or.jp/policy/2020/106.html(共同声明)
古賀 信行(経団連審議員会議長/野村ホールディングス特別顧問)
- 西村康稔内閣府特命担当大臣(経済財政政策)から日本政府の新型コロナ対策につき説明
- ウィズ・ポストコロナ期における各国・地域の取り組み
- 課題を克服し経済回復を図るための方途をテーマごとに議論
【提言】
ダイバーシティ&インクルージョンを重視した初等中等教育の実現を提言
―Society 5.0に向けて求められる初等中等教育改革 第二次提言
http://www.keidanren.or.jp/policy/2020/110.html
渡邉 光一郎(経団連副会長、教育・大学改革推進委員長/第一生命ホールディングス会長)
小路 明善(経団連教育・大学改革推進委員長/アサヒグループホールディングス社長)
- 高等学校教育改革
- グローバル教育
- 学校教育のICT化・デジタル化の加速度的な推進
- EBPMによる授業改善および教育政策の見直し
- 外国人児童生徒などに対する学びの保障
- 教育格差の是正
- 教員の養成と外部人材の活用
【提言】
ウィズ・ポストコロナの地方活性化
―東京圏から地方への人の流れの創出に向けて
http://www.keidanren.or.jp/policy/2020/111.html
古賀 信行(経団連審議員会議長、地域経済活性化委員長/野村ホールディングス特別顧問)
小林 哲也(経団連地域経済活性化委員長/近鉄グループホールディングス会長)
月岡 隆(経団連地域経済活性化委員長/出光興産特別顧問)
- 提言取りまとめの背景
- コロナを契機とした地方への人の流れの創出
- 人を惹きつける地域づくりが課題
- 企業等との連携による内発型の地域づくり
- 政府・地方自治体への提言
- 今後の経団連の取り組み
【提言】
次期「社会資本整備重点計画」・「交通政策基本計画」に対する意見
http://www.keidanren.or.jp/policy/2020/109.html
菰田 正信(経団連副会長、都市・住宅政策委員長/三井不動産社長)
根岸 修史(経団連審議員会副議長、都市・住宅政策委員長/積水化学工業相談役)
常陰 均(経団連都市・住宅政策委員長/三井住友信託銀行会長)
- インフラ政策の基本方針
- インフラ全体を支える施策
- 安全・安心を支える施策
- 生活を快適にする施策
- 産業競争力を高める施策
【調査結果】
ウィズコロナで加速するサステイナブルな企業経営
―第2回 企業行動憲章に関するアンケート調査結果
http://www.keidanren.or.jp/policy/2020/098.html
二宮 雅也(経団連企業行動・SDGs委員長/損害保険ジャパン会長)
中山 讓治(経団連企業行動・SDGs委員長/第一三共常勤顧問)
吉田 憲一郎(経団連審議員会副議長、企業行動・SDGs委員長/ソニー会長兼社長)
- ウィズコロナにおける企業行動憲章の実践
- 「Society 5.0 for SDGs」への取り組み
- 「ビジネスと人権」に関する取り組み
- SDGsへの取り組みの評価
- サステイナブルな資本主義の担い手として
日英EPA発効―新しい日英関係の幕開け、そして更なる高みへ
―エリザベス・トラス英国国際通商大臣・通商委員会議長と懇談
連載
-
あの時、あの言葉
球体組織・球体思考
泉谷 直木(アサヒグループホールディングス会長兼取締役会議長) -
Essay「時の調べ」
ものづくりで孤独は消せる
吉藤 健太朗(オリィ研究所代表取締役CEO)