月刊 経団連2020年9月号
特集 新型コロナウイルスを克服し、新たな成長を実現する
巻頭言
"コロナ後"の世界における日本のあるべき姿
"コロナ後"の世界においては、地政学的パワーバランスやグローバルサプライチェーン、さらには人々の生活習慣や消費行動など広範な分野での構造変化が見込まれる。 わが国としてはパンデミックに対応可能な広域医療体制の構築や、グローバルな連携体制のもと、緊急物資や戦略物資の供給・調達体制を万全なものとしていかなければならない。
特集
新型コロナウイルスを克服し、新たな成長を実現する
新型コロナウイルス感染症が全世界に影を落とし、人々の健康と安全を脅かしている。感染拡大を防ぐため、各国は都市封鎖や国境をまたいだ往来の禁止など、人の移動を厳しく制限し、世界的な経済活動の停滞が生じている。経済活動を再開すれば、感染再拡大のリスクが高まるという、これまでにない困難な経済運営が迫られている。すでに、企業活動にも甚大な影響が生じており、企業は事業の継続と雇用の維持を最優先に必死の努力を続けている。感染防止と経済再生の両立に向けて、政府、自治体、医療関係者、経済界、専門家などのすべての関係者が叡智を出し合って、新しい経済社会構造を確立していく必要がある。
特別寄稿:ウイルスとの共存、そして新しい社会へ
中西 宏明(経団連会長)
- 感染防止と経済再開の両立がウィズコロナ時代の要諦
- 求められる医療提供体制の整備
- 検査体制の拡充が不可欠
- 次なる感染拡大を見据えて
- ポストコロナ時代も見据えたデジタル化の推進を
- ポストコロナ時代の新たな成長に向けて
「新たな日常」の定着で世界をリードする
西村 康稔(経済再生担当大臣)
- 「新たな日常」の構築・定着に向けて
- テレワークの拡大
- 女性活躍の推進
- 40歳を視野にしたキャリアの棚卸
- ニューフロンティアへの挑戦
- 国際社会のなかでの日本の役割
- 誰もが実感できる「質」の高い成長の実現で世界をリードする
日本の針路
―「ポストコロナ」に向けた新たな国際秩序のあり方
甘利 明(衆議院議員/自由民主党新国際秩序創造戦略本部座長)
- DXの加速 〜新型コロナが国際社会に要求した大変革
- 世界に対する日本の不可欠性を"凄み"として発揮せよ
- イノベーションエコシステムの創造に向けて
- サイバーセキュリティとセキュリティクリアランスへの対応が急務
デジタル時代の規制・制度のあり方
小林 喜光(規制改革推進会議議長/三菱ケミカルホールディングス会長)
- オンライン診療および遠隔教育
- 書面規制、押印、対面規制の見直し
- デジタル時代の規制・制度のあり方
熾烈化する米中対立のなかでの国際協調の摸索
細谷 雄一(慶應義塾大学法学部教授)
- 国家間の対立の熾烈化
- 米中のデカップリング(断絶)
- アメリカ大統領選挙との連動
- 国家の復権と地政学的対立の興隆
新型コロナと国際保健協力
詫摩 佳代(東京都立大学法学部教授)
- 新型コロナで露呈した国家間対立と国際協調の機能不全
- WHO改革 〜関係国の合意形成に向けた外交的努力が重要
- グローバルな脅威である感染症のコントロールには国際協調が不可欠
with/afterコロナにおける働き方・企業組織のあり方を考える
鶴 光太郎(慶應義塾大学大学院商学研究科教授)
- コロナ危機への対応のあり方
- テレワークに対する基本的考え方
- コロナ後のテレワークの課題
- 「日本型テレワーク」を目指して
ポストコロナ時代のテレワーク推進
宇治 則孝(テレワーク推進フォーラム会長/日本テレワーク協会名誉会長)
- テレワークの意義と活用率
- テレワーク活用による気づき
- 課題認識と積極的な対策
- 今後の推進に向けて
急ぐべき学校教育のICT環境整備
堀田 龍也(東北大学大学院情報科学研究科教授)
- 情報リテラシーが不可欠な時代
- 学校教育の役割
- ICT活用が前提となっていないわが国の学校教育
- オンライン授業が実施できなかったことの意味
コロナに立ち向かう医療と検査の「神奈川モデル」
黒岩 祐治(神奈川県知事)
- ダイヤモンド・プリンセス号で培った現場起点の医療提供体制
- 三層構造の患者受け入れ体制で医療逼迫を回避
- 誰ひとり取り残さない医療提供体制を目指す
- 検査の神奈川モデル 〜迅速検出法の簡易パッケージ化の推進
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)対応と マイナンバー、マイナンバーカード、公的個人認証
板倉 陽一郎(ひかり総合法律事務所パートナー弁護士)
- マイナンバー、マイナンバーカード、公的個人認証
- COVID-19対応とマイナンバーカード、公的個人認証
─特別定額給付金のマイナポータルからの申請 - COVID-19対応とマイナンバー
─感染症法上の利用と、今後の利用 - 今後の展望
一般記事
【提言】
コロナの下での自由で開かれた貿易投資の実現
―包摂的かつ強靭な枠組みを目指して
http://www.keidanren.or.jp/policy/2020/064.html
早川 茂(経団連副会長、通商政策委員長/トヨタ自動車副会長)
中村 邦晴(経団連副会長、通商政策委員長/住友商事会長)
- 新型コロナウイルス感染拡大と今後のあるべき方向性
- 貿易投資を通じた世界経済の復興
- WTO改革を通じた多国間枠組みの強靭化
【提言】
withコロナ時代の初等中等教育に求められる取組みを提言
―Society 5.0に向けて求められる初等中等教育改革 第一次提言
http://www.keidanren.or.jp/policy/2020/063.html
渡邉 光一郎(経団連副会長、教育・大学改革推進委員長/第一生命ホールディングス会長)
小路 明善(経団連教育・大学改革推進委員長/アサヒグループホールディングス社長)
- Society 5.0における教育の方向性
- withコロナ時代の初等中等教育に求められる取り組み
- 全国でリモート教育が実施可能な環境の緊急整備
- 改訂学習指導要領が目指す教育の実現
- ICTを活用した新しい教育様式に対応できる教員の養成
- 大学入試改革について
夏季フォーラム2020を開催
―マニフェスト「デジタル革新(DX)で日本経済社会の再生を加速する」
http://www.keidanren.or.jp/policy/2020/066.html
経団連は7月16日、東京・大手町の経団連会館で夏季フォーラム2020(議長=山内隆司副会長)を開催した。
同会合は「新型コロナウイルス会議」と位置づけ、経団連の2020年度事業方針に掲げた事項について議論し、これを踏まえ「経団連夏季フォーラム2020マニフェスト〜デジタル革新(DX)で日本経済社会の再生を加速する」および提言「新型コロナウイルス感染症と両立する経済活動の再加速に向けて」を採択した。
経団連新型コロナウイルス会議
―提言「新型コロナウイルス感染症と両立する経済活動の再加速に向けて」を公表
http://www.keidanren.or.jp/policy/2020/065.html
経団連は、7月16日、「新型コロナウイルス会議」 の構成員が一堂に会する経団連夏季フォーラム2020の機会をとらえ、「ウィズコロナ」時代の課題と対応の方向性をめぐる討議を行った。
これを踏まえ、これまでの感染症対策を振り返るとともに、その課題と対応の方向性に関する提言「新型コロナウイルス感染症と両立する経済活動の再加速に向けて」を取りまとめ公表した。
連載
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Essay「時の調べ」
日本古典と感染症
ロバート キャンベル(国文学研究資料館長)