5.向精神薬 B−2.三環系・四環系抗うつ薬 (1)ガスクロマトグラフィー

薬毒物検査マニュアル小委員会
5.向精神薬
B−2.三環系・四環系抗うつ薬
(1)ガスクロマトグラフィー(GC)

B−2.三環系・四環系抗うつ薬
(1)ガスクロマトグラフィー(GC)

i)前処理法(液-液抽出)

試料 (血清,血漿,全血) 1 ml
↓ i) 水 1.4 ml,20% 炭酸ナトリウム溶液0.5 ml,ヘキサン 6 ml 1) を加えて10 分間振盪する.
ii) 2,800 rpm で 10 分間遠心する.
ヘキサン層
↓ 窒素気流下2),溶媒を留去する.
残渣
↓ i) アセトン 0.4 ml に溶解する.
ii) 1-2 μl を GC に注入する.
GC3)

ii)GCの条件


装置: ガスクロマトグラフ
検出器: 窒素リン検出器(NPD)
カラム: DB-1,15 ×ばつ0.53 mm i.d., 膜厚 1.0 μm
温度: カラム 60 °C - 8 °C/min - 300 °C;
注入口 250 °C;検出器 300 °C
キャリアガス: ヘリウム 15 ml/min
メイクアップガス: ヘリウム 30 ml/min
測定時間: 24 min


【注 解】
1) 抽出溶媒は,他にエーテル(油脂試験の酸価・過酸化物価測定用),酢酸エチル,クロロホルム,1.5 % 3-メチル-1-ブタノール/ヘキサンもほぼ同程度の抽出効率が得られる.本抽出溶媒では生体由来の夾雑ピークも少なく,clean analysis としても望ましい.
2) アルミブロック恒温槽で40 °Cで加温しながら行う.
3) 本分析条件下での主な三環系・四環系抗うつ薬の保持時間を表1に示す.トリミプラミンとイミプラミンは不分離ピークを示す.フェノチアジン系薬物の保持時間と近似することがあるので注意する.

表 1. 主な三環系・四環系抗うつ薬の保持時間

化合物 保持時間(分)

Mianserin 16.63
Amitriptyline 16.77
Nortriptyline 16.93
Trimipramine 17.03
Imipramine 17.06
Desipramine 17.13
Melitracen 17.68
Maprotiline 18.13
Dosulepine 18.57
Clomipramine 18.94
Amoxapine 20.73


【文 献】
1. Terada M et al. Jpn J Forensic Toxicol 1997; 15: 217-225.

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