連載:「トホホ書店員はホンと年中無休」

はじめに

皆様、ようこそいらっしゃいました。これから、現役書店員のわたくしめが、皆様を書店ワンダーランドへと招待いたします――って、そんなオオゲサなものではございませんが。どこにでもあるごくごく普通の書店。言うなれば「金太郎書店」。

そして、私も平々凡々の書店員。どこぞやの書店員さまのように、書いたPOPがもとになって、あまり売行きが芳しくなかった白いナントカという文庫本が大ヒット! とか、ナントカ堂書店の店長さまのように「棚マジック」を創り上げるといった職人芸なんぞは持ち合わせておりません。
かと言って、Kとか、Sがつく大手マンモス出版社から出しているような、爆発的売行きのベストセラーを電話一本で我が店に送ってこさせる、なんて政治力も哀しいかな、持ち合わせておりません。
どちらかというとちょっと落ちコボレの「トホホ書店員」。

毎日毎日来る日も来る日も津波のように押し寄せる200点あまりの新刊本にのみこまれ、入荷してきたベストセラーの冊数を見て、
「減らすなぁぁぁ〜」
と叫び、オヤジの理不尽な言動に凹まされ、と労多くしてなんとやら、という書店員ライフを送っております。もしかして、私の勤めているような中小書店というのは、「出版界ヒエラルキー」の中の底辺なのではないかしらん? などと思ったりもいたします。
もちろん、ヒエラルキーの頂点に位置するのは、これを読んでいただいているあなた、そうお客様です。そこからは、作家→大手出版社→大手書店→取次→小出版社→中小書店、という流れになるのではないでしょうか?
『チーズはどこへ消えた?』が売れていた頃などは、出版社に頭下げ、取次に頭下げ、お客様に頭下げの日々是四面楚歌状態。

しかし、大変ながらも楽しさもイッパイの書店員生活。書店員は一見ただ「本を売っているだけ」のように見えますが、そうではございません。

本は世の中の森羅万象すべてが対象でございます。まさに本になっていないジャンルというものはないんではなかろうかと思われます。そして、書店に出入りする人々も老若男女さまざま。まさにゆりかごから墓場まで。
その人その人の人生の道しるべとなるために本は存在します。そして、書店員は人生の道しるべを探すためのお手伝いをしているのです。すばらしい仕事ではありませんか。一度書店員の魅力にとりかれたらもうぬけられない書店迷宮。

あなたもホンの少しだけ迷宮に迷い込んでみませんか?。 さあ、こちらへどうぞ。

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /