数理・データサイエンスセンター主催の「第1回中学生・高校生データサイエンスコンテスト」が開催され、兵庫県立小野高等学校のチーム「ちよこれいと」が最優秀賞を受賞しました。
このコンテストでは、中学校・高等学校教員の統計教育の指導力向上を図るとともに、神戸大学のデータサイエンス・AI教育の取組みを教育機関や中高生へとアピールすることを狙いとしました。
2021年5月から数理・データサイエンスセンターのホームページで募集が開始され、全国から80を超えるチームからのエントリーがありました。
参加者(個人・グループ)には、与えられたデータセットをもとに、データサイエンスに基づく分析を行って、有益な提案をレポートとプレゼンテーション動画にまとめて提出してもらいました。今回与えられたデータセットは、「ファミリーレストランにおける、春先3か月の売り上げデータ、アンケート項目」で、売り上げ向上のために夏に向けてどのような企画をすればよいかを統計的な根拠に基づき提案するとともに、その施策による見込み効果を推測する、というものでした。相関係数表や重回帰分析を用いてエビデンス資料を作成しているものや、より具体的な提案をなされているものなど、優秀な作品が数多く、データサイエンス、統計分析に対して中高生の関心と知識の深さをうかがうことができました。
本コンクールの開催にあたり、数理・データサイエンスセンター教育研究支援基金の支援を受けました。ご寄付を寄せられた方に深く感謝いたします。
| 順位 | 学校名 | チーム名 |
|---|---|---|
| 最優秀賞 | 兵庫県立小野高等学校 | 「ちよこれいと」 |
| 審査員特別賞 | 武庫川女子大学附属中学校・高等学校 | 「ウーパールーパー」 |
| 中学生特別賞 | ドルトン東京学園中等部 | 「hottot」 |
| 優秀賞 | 渋谷教育学園渋谷中学高等学校 | 「SSScientist」 |
| 優秀賞 | 長野県屋代高等学校 | 「Ukagus Ari」 |
| 優秀賞 | 洛星高等学校 | 「伝聞・推定の「なり」」 |
| 優秀賞 | 神戸大学附属中等教育学校 | 「ぺぬぬん」 |
| 優秀賞 | 香川県立観音寺第一高等学校 | 「てんしんはん」 |
2021年11月2日(火)「第1回中学生・高校生データサイエンスコンテスト」表彰式が、神戸大学学長室にて開催されました。最優秀賞を受賞した兵庫県立小野高等学校のチーム「ちよこれいと」のメンバー5名、審査員特別賞を受賞した武庫川女子大学附属中学校・高等学校のチーム「ウーパールーパー」のメンバー5名が出席し、神戸大学 藤澤学長より賞状の授与が行われました。また、中学生特別賞1チーム、優秀賞5チームは、オンラインで出席しました。
はじめに、数理・データサイエンスセンター 齋藤センター長から、「このコンテストが初めての開催にも関わらず、全国から多数の応募があり、中高生がデータサイエンスや統計に高い関心を寄せていることについて嬉しく思っている」と開催の挨拶がありました。
最優秀賞を受賞した「ちよこれいと」の作品について、数理・データサイエンスセンター 小澤副センター長より講評があり、データサイエンスにおける重要なポイントをすべて押さえている点や、分析方針として論理的に何を分析すべきか目標を定め、最終ゴールを決めて結論を導き出した点が特に素晴らしかった、と評価をいただきました。
審査員特別賞を受賞した「ウーパールーパー」の作品については、数理・データサイエンスセンター齋藤センター長より講評があり、データからエビデンスをうまくまとめている点、年代別の特徴をとらえるなど、ターゲットを絞った提案方法がよかった、と評価されました。
また、コンテスト受賞作品全体について、審査に関わった神戸大学経営学研究科長 南 知惠子教授、大学教育推進機構国際コミュニケーションセンター 石川慎一郎教授より講評をしていただきました。
南教授は、「大学生のビジネスコンテストを評価する機会がある自身の立場から見ても、今回のコンテストの発表内容は論理構成力やデータ分析において大学生と比較しても遜色なくて、とても驚いた。提案内容は魅力的なものが多かった。今回のコンテストを通じて、勉強されたことは今後も役に立つので、ますます頑張ってください。」と激励されました。
石川教授からは、「DSから探求へ」というテーマでお話いただきました。探求活動の狙いとは何か、探求活動の狙いが今回のデータサイエンスコンテストにどう関連するのかについて触れ、また、良い研究を行うにはどうすればいいのかについて、建築家の近澤可也氏が提唱する「良い建築」に必要な4つの条件「オハイオ(面白い・初めて・意味がある・驚きを与える)」を紹介しながら、「良い研究」にも同じことが言える、として解説いただきました。「今回のデータサイエンスコンテストで培った能力を、日々の探求活動に活かそう」というメッセージで話は締めくくられました。
最後に、藤澤正人神戸大学学長より、「神戸大学は日頃からデータサイエンスの教育や、高大接続の取り組みを進めており、そのような中で全国から83ものチームからエントリーがあったことに対して非常に喜んでいる。提出された作品はユニークなデータ分析がなされていて、優秀な作品がたくさんあった。データサイエンスの能力は、今後どのような分野に行っても必須のスキルとなるので、今後も興味を持って取り組んでください。」と祝辞がありました。
数理・データサイエンスセンターでは、今後もデータサイエンスに関わる継続的な教育活動を続けていきたいと考えています。