+++ 母乳研究 +++
第3回全国母乳調査
2015年より開始
安心育児を支える粉ミルクや妊産婦向け栄養補助食品の開発に向け、
第3回となる全国的な母乳調査
「母親の生活習慣と母乳成分が乳児の発育に与える影響に関する研究」
を開始しました。
背景
最新の(現在の)粉ミルク
「すこやかM1」
雪印乳業時代から約60年以上にわたり母乳研究を継続しており、1960年の第1 回全国母乳調査から得られた知見は『日本食品標準成分表』に引用されるなど、わが国における乳児栄養の発展にも貢献してきました。
第3回全国母乳調査は、母親の生活習慣と母乳成分が乳児に与える影響を明らかにするために、2015年から雪印メグミルク(株)と共同で実施しております。 今回の調査を通じて、歴史ある母乳研究を更に深め、お子様のすこやかな成長を願うお母さんやご家族のご期待にお応えするため、粉ミルク等の商品開発に生かしてまいります。
調査内容
今回の調査では母乳の成分分析と共に母親の食事や生活実態、乳児の発達などを調査します。
1 母乳成分分析
2 母親の食事実態
3 母親と乳児の生活実態
4 乳児の発達状態
を調べ、その関係性を明らかにすることを目指します。
項目の一例を下記に記載します。
満5歳まで定期的な追跡調査を継続
母親の食事実態 / 母親と乳幼児の生活実態 / 乳幼児の発育状態
調査項目概要
栄養成分 | 母乳 | たんぱく質、脂肪、アミノ酸など | 機能性成分 | 母乳 | リボ核酸、DHA、オリゴ糖など | 食事実態 | 母親 | 食品、栄養成分の摂取量 | 生活実態 | 乳児 | 身体状況、健康状態、栄養法、罹患歴、育児問題など | 発達状態 | 乳児 | 運動、言語、精神、社会性など |
---|---|---|---|
追跡調査 | 母乳 | 乳児 | 母乳の免疫機能、母乳成分とアレルギーや 感染症など疾病、成長・発達との関連など |
調査によってわかること
今回の母乳調査によって、現在の日本人の母乳成分の基礎データを得ることができます。さらに、過去の調査結果との比較によって、母乳成分の経時的変化を調べることができます。また、今回の調査では、母乳分析結果と、調査票(アンケート)の結果を個人別に解析することによって、
1母親の生活習慣(食事含む)の差異による母乳の成分への影響
2母乳の成分の差異による乳児の成長発達への影響
を調べることができます。
これらより、さらに母乳の神秘を明らかにすることができると考えています。
解析項目(一部分)
母乳成分 ×ばつ 母親の食事内容との相関
母乳成分(免疫成分) ×ばつ 5歳までのアレルギー、感染症発症との相関
母乳成分(脳、神経発達成分)×ばつ5歳までの運動、言語等の発達との相関
母乳成分 ×ばつ 5歳までの成長、肥満との相関
母乳成分(睡眠、ストレス関連成分) ×ばつ 母子の生活状態との相関など
研究調査計画
- 地域
- 募集場所
- 募集人数
- 母乳収集数
- 全国 (北海道、東北、関東、中部、関西、九州)
- 病産院、インターネット
- 1,200組
- 合計5,000検体以上 (第2回調査:約2,700検体)
- 母乳採取、母親アンケート
- 乳幼児のアンケート
- 2か月ごと、計6回
- 12か月までは母乳と同じ、以降は1年ごと
過去の全国母乳調査について
1960年第1回日本初の全国母乳調査
日本で初めて全国規模での母乳成分に関する総合的な調査を実施し、619名の方から貴重な母乳をご提供いただき、その成分を26項目にわたって詳しく分析しました。分析の結果、たんぱく質の量とその組成についてや、牛乳と日本人の母乳成分の違いなど、多くの発見を活かし日本の赤ちゃんのために次々と粉ミルクを改良しました。 母乳に近づける研究は、成分分析だけでなく、さらにその働きについても進められ注目されたのが、いまではおなじみの「オリゴ糖」、「タウリン」といった成分。母乳を飲んでいる赤ちゃんのおなかの中にはビフィズス菌が多く存在し、この腸内環境を整えてくれるビフィズス菌を増やす働きをするのがオリゴ糖ということが分かりました。一方、赤ちゃんの脳や視力の発達、脂肪の消化に大切なタウリンが、母乳中には粉ミルクの10倍も含まれていることが発見されました。これらの成分の重要性を明らかにし、粉ミルクに配合することで今日では世界標準になりました。
1989年第2回 全国母乳調査
最初の母乳調査から約30年。昭和から平成へと移り変わり、食生活も大きく様変わりしました。北海道から沖縄という全国規模で夏と冬の2回に分け、第2回全国母乳調査を実施致しました。集められた母乳は2,434名、2,727検体。分析手法も飛躍的に向上し、当時の最新テクノロジーで約180項目にわたって精度の高い分析を行いました。
30年前と比べお母さんたちのたんぱく質摂取量は増加し、母乳中のたんぱく質濃度も大幅に増えていることがわかり、微量な成分の機能についても明らかになったことがたくさんあります。例えば、病原性大腸菌O-157やインフルエンザウイルスなどの悪玉菌から赤ちゃんを守ってくれる「ガングリオシド(シアル酸)」、脳の発達に大切なDHAを増やすなど赤ちゃんの成長に欠かせない「ヌクレオチド」、腸が未熟な赤ちゃんの消化管機能を発達させ、アレルゲンが体内に侵入するのを防いでくれる「リボ核酸」や「ポリアミン」など、赤ちゃんの発育を助ける母乳の神秘的な力が明らかとなり、これらの成分をいち早く粉ミルクに反映してきました。
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