海水や下水処理水など,一般には使用されない特殊な水源の水道水源化について情報を収集しました。
【参考】
2001年05月09日 概念図を追加。
(1)特殊な水源を利用する意味
水源が需要に対して十分な能力を保持していれば,水源から需要者への供給の形態は単純でよいでしょう。しかし,水源能力が需要に対して十分確保できない場合には,本来は水道に適さない用途にまで良好な水源を充てることが難しくなります。
このような場合においては,通常よりも特殊な処理を導入してこれを水源としたり,逆に用途に応じて雑用水のように水質的に劣る水を供給したりする余地が生まれます。
ここで扱う水源はこのように,水資源の不足が著しい場合に検討する水源です。
【備考】
(2)汽水や海水 Sea Water
汽水とは,海水と真水の混ざり合った水で,河口部などの感潮地帯に分布します。
これらは以前は水道水源とは考えられなかったのですが,逆浸透の技術が進歩したことにによって,現実的な選択肢となってきました。島嶼部の小規模水道ではすでに一般的ですし,大規模なところでは沖縄の北谷浄水場や福岡市で計画中のプラントがあります。
脱塩処理をするため,ほとんどの不純物は取り除かれますが,ホウ素など一部に残留する可能性のある物質もありますので,対応を研究されています。そして,どうしてもコスト高になってしまうのが普及しない最大の理由でしょう。もっとも,ダム開発及び補償と比べてトントンの場合もあります。
詳しくは以下のページへどうぞ。
【備考】
(3)再利用水 Reuse Water
下水処理水の水道水源利用は,渇水都市として有名な福岡市のアンケートにおいても実に95%が反対と回答しています(1990年代の調査でちと古いですが)。
ただし,雑用水道は多くの人が賛成となっています。国内ではこのような事情からなかなか進めにくいのですが,海外では米国カリフォルニア州やイスラエルなどでは現実に行われています。最近では,シンガポールで進められているNEWaterプロジェクトが大変有名ですね。
福岡市の調査によると,米国カリフォルニア州における下水処理水の再利用は,農業用(約60%),景観修景用水(約16%)地下水かん養(約14%,石灰によるアンモニア対策+活性炭+逆浸透),とのことで,このあたり工水利用が中心である日本とだいぶ様子が異なります。
下水などの処理にはコストがかかりますが,通常,海水淡水化よりは安上がりです。下水による水道水源対策にはおおむね以下のようなメニューがあります。
再利用については,排水利用に関する指針が国交省から出ています。また,再利用関係の技術開発を中心的に担っているのが造水促進センターです。
【備考】