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ソイソフトウェアではゲームやアプリを作ってます!

ゲームデザイン界隈の話で、"ゲームループ"という概念があるらしい。

ゲームループと言うと、ゲームプログラミング用語としては、毎フレームのゲーム処理の繰り返しの事かな?と思うけど、それとは別で、ゲームの作り方に関する話のようです。

私はこちらの動画でその用語について知りました。↓

twitterで検索した限り、日本ではコアループ理論の話してる人はほぼいませんが、英語記事は色々出てくるので、海外では割と有名な理論みたいです。

ゲームループ理論によれば、ゲームってのはどうやら"ループ"、つまり"繰り返し"でできてるらしいです。

例えば、スーパーマリオブラザーズでは、プレイ開始するとステージ1-1が始まり、ゴールまで辿り着いたぞ!と思ったら今度は1-2がスタートします。これも一種の繰り返しです。

そして、ゲームはループの入れ子構造、フラクタル構造になっているそうです。
つまり、小さいループが集まって中ループを構成して、さらに中ループが集まって大ループを構成してる...みたいな形です。

そして、それらのループの内で、最小単位になるのが"コアループ"です。
これは、そのゲームにおいて、秒単位で常に繰り返してる事を指します。

マリオで言えば、プレイヤーが秒単位で繰り返しやってる事は、"歩く"、"走る"、"ジャンプ"です。
これらがマリオのコアループです。
たしかに、マリオではプレイヤーはひたすらマリオをジャンプさせるのを繰り返して先へと進んでいきます。

マリオで走ってジャンプする遊びはたしかにたのしいですが、ガチでそれだけしかできなかったらまあせいぜい1分もやってたら飽きてしまうでしょう。

それで、敵キャラや、ボスキャラ、昼、夜、洞窟、海などの色んな環境といった要素を追加する事で、プレイヤーに驚きとチャレンジを与え続けて、長時間ゲームに引き付ける事を可能にします。

というわけで、ゲームのコアループを面白くする事がゲーム全体の面白さを左右する!というのがコアループ理論です。
何といっても、プレイヤーはコアループを1秒に1回、1分で60回、1時間で3600回も繰り返すのですから、コアループに何をさせるべきか、よく考えるべきという事です。

そういえば、マリオの開発で宮本さんは最初にジャンプの気持ちよさを追求して、満足するまでずっとそこだけ作っていた...みたいな話をどっかで聞いた気がします。
つまり、そんな感じでコアループのたのしさを最初に追求して、そこから広げていくという作り方が、コアループベースでゲームを作る手法という事でしょう。

マリオ以外の例で言うと、例えばテトリスでは、ブロックを1個置く、というのがコアループになります。あらためて考えると、ブロックを置く...それの何がたのしいんだ?という気がしなくもないですが、でもやってみるとそれだけの事がクッソたのしいんだよな...。

他にも、クッキークリッカーで言うと、クッキーをクリックすると数字が増える...というのがコアループと言えるかもしれません。ただそれだけなのに、クリックを止められなくなる人が続出したゲームです。
ちなみに、FPSの場合は敵を発見して撃ち殺す...という流れがコアループらしいです。たしかにFPSはひたすらそれの繰り返しです。

さて、このコアループ理論を扱った動画をYoutubeで色々と観ていると、「コアループはどんなゲームにも当てはまる」とか言ってる人もいます。
でも個人的にはそうでもないんじゃないかな...という気がします。

たしかにマリオやテトリスにはコアループ理論は上手く当てはまりそうですが、ゼルダとか、RPGになってくると、プレイヤーが毎秒やってるようなコアループってなんだ?という感じでイマイチピンとこない気がします。

ループとアーク

ダニエルクック氏は、2012年という早い時期にゲームのループについて記事を書かれています。↓

ダニエル氏は、記事の中でループとは別の概念として、アークというものを提唱しています。

アークって何じゃ?というと、本を読む事とか、映画を観る事みたいな、いわば小説的な体験を指します。

ループ...つまりマリオのジャンプとか、テトリスのブロック置きとかは、何回繰り返しても面白いのが特徴で、だからゲームの基盤になります。
それに対して、アークは繰り返す事ができません。大抵の小説は、一回読めば十分で、よっぽど面白くないと繰り返して読んだりしません。

それで、ゲームにはループとアークの緊張関係がある...という事らしいです。
つまり、マリオやテトリスは完全にループ寄りのゲームで、RPGとかはループというよりアーク寄りのゲームだという事です。RPGもよっぽどじゃないと繰り返してプレイはしません。ループ寄りのテトリスは何回遊んでも面白いです。
RPGがコアループ理論に上手く当てはまらないのは、ループじゃなくてアークに基づくゲームだからという事でしょう。

コンピュータゲームが登場する前のゲームは、例えばチェスなんかは、永遠に繰り返し遊べるループ寄りのゲームでした。
ところがコンピュータゲームになると、急速にアークの要素が混ざり始めました。

なぜコンピュータゲームがアーク要素だらけになってったか?というと、ビジネスモデルの都合だそうです。
チェスのようなループだけのゲームは、一回チェス盤を買えば一生それで遊べます。二度と買い直す必要はありません。
しかし、ゲームパブリッシャーからすると、もっと沢山ゲーム売りたいのに...と思います。

そこで、アークだらけのゲーム、例えばRPGや、アドベンチャーゲームを売ると、そういうゲームは一回クリアしたらもう繰り返し遊ぼうとは思わず、その代わりに続編を遊びたい!という風になって、パブリッシャーは続編を作って売る事が可能になります。

そうやってアーク寄りのゲームが売れまくったせいで、市場はアーク寄りのゲームだらけになっていった...との事。

しかし、ループ寄りのゲームだってポテンシャルは凄いとの事。例えばシムシティマインクラフトみたいな、素晴らしいループ寄りのゲームが存在します。

ダニエル氏の記事では以上のような話でしたが、たしかに私もアーク寄りのゲームは続編制作に強そうだと思います。

例えば、チラズアートさんのゲームはどれもゲームプレイ部分は同じような感じですが、毎回アークの部分が変わっています。ループ部分を固定のシステムにする事で、コンスタントな続編制作を可能にしているのでしょう。

そして、ループ寄りのゲームは続編を作るのが難しいという事もたしかにありそうです。
例えば、テトリスなんかはループの極みですが、あまりにもループが強力過ぎて、ぶっちゃけファミコン版のテトリスだけでもう買い直さずに一生遊べるでしょう。チェスと同じように。

マリオのようなループ寄りゲームも、続編を作るには工夫が必要になるでしょう。
例えばスーパーマリオブラザーズ2について考えると、ゲームの内容やグラフィックスは1とほぼ同じで、ステージ構成が変わってるだけな感じです。「また同じ事の繰り返しかよ!」という感じは否めません。

マリオ3はたのしいゲームですが、あれくらい思いっきりグラフィックスを刷新して新要素を入れまくってサービスしないと続編として受け入れられないという事でしょう。

マイクラもループ寄りのゲームとして挙げられてますが、たとえばじゃあマイクラ2ってどんな内容なら許せるか?と言われると、想像も付きませんね。
それに対して、マイクラにインスパイアされてるドラクエビルダーズには、アーク要素が盛り込まれてます。
ですから、マイクラと違ってドラクエビルダーズではあっけなく2が制作されています。まあマルチプレイの追加などの新要素もあるものの、要するにアーク要素のあるゲームなら、アーク(ストーリー)さえ差し替えれば容易に続編にできるって事だと思います。

ループとアークは排他的?

世の中のゲームはループ寄りとアーク寄りにハッキリと別れているようですが、そんな風に二者択一にしなくても、ループとアーク、両方入れれば最強じゃね?という気がしませんか?

しかしよく考えてみましょう。
マリオの途中、あるいはテトリスの途中でRPGみたいな会話ダイアログが表示されて長々とテキストが表示されたら...どうですか?
ウザいですよね?

(ちなみにそういう珍妙な感覚で一番例えやすいのはメルブラです。メルブラでは格闘ゲームの合間にクソ長いノベルパートが挿入されます。いや、むしろノベルゲームの合間に格闘ゲームが挿入されると言った方が正しい)

どうやら、ループとアークは同時には両立できないようです。
何故なら、ループにハマッてるプレイヤーは「一生マリオをジャンプさせて〜」とか「一生テトリスのブロック置きて〜」みたいな感じでコアループのたのしさに脳みそが支配されてますから、アークの複雑なストーリーなんか表示しても頭に入ってこない状態という事でしょう。

アークはプレイヤーがループに夢中になってない、落ち着いてる状態で与える必要がありそうです。
RPGでコアループが弱いのは、プレイヤーにちゃんとアークを伝えたいと思えばそうなっちゃうという事かもしれません。

というわけで、巷のゲームでは、アクションの合間にカットシーンが挿入される...みたいな感じで、ループとアークが交互に挿入される構造になってたりします。
とは言え、操作ができないカットシーンはゲームファンには不評だったりします。

まあ、プレイヤーは一生コアループやってたい...という状態だからこそ今そのゲームをプレイしてるわけだったりするので、カットシーンで強制的にコアループが中断されるとイライラするのも分かります。

コアループの強さとゲームデザイン

マリオのジャンプはたのしいコアループですが、これだけだと1分で飽きてしまうでしょう。
ですから、どんどん新しいステージを出したり、敵キャラを出したり、コアループに飽きないように要素を盛っていくハメになります。

それに対して、テトリスのブロック置きは異常に強力なコアループです。
ですから、ひたすらそれだけを延々とやっていても一向に飽きません。
だから、テトリスではそもそもプレイヤーが飽きないので、マリオみたく新ステージとか新キャラみたいな、要素を盛り盛りにする必要がありません。

つまり、コアループが強力なほど、ゲームはシンプルに作れます。
要素を盛る手間は大変なので、コアループは強力なほど良いでしょう。

しかし、逆に言うと、ジャンプという、それだけだと1分で飽きちゃうようなコアループでも、要素をちゃんと盛っていけば、大ヒットするゲームにできるという事でもあります。

「コアループを考えよう!」というと、何かメッチャ凄いアイデアを考えないといけない気がしてきますが、そんなに大げさに考えなくても、なんか些細な面白さで十分なのかもしれないですね。

例えば、電気のスイッチをパチンと入れると電灯が点く...子供の頃はただそれだけの事が面白くてパチパチやってたような気がします。こんなんでも広げていけばゲームになるかもしれません。

コアループの広げ方

そうやって何かコアループのアイデアを思い付いたとして、どうやって広げていけばゲームになるんだ?という話もあります。

これについては、既存のループ寄りのゲームを観察して、このゲームのコアループは何か?そしてどうやって要素を盛っていったんだろう?という事を想像して、それを自分のコアループに適用してみる...というやり方になりそうです。

例えばマリオみたいなジャンプをコアループにするとして、普通に考えると、じゃあジャンプ以外にキックもできるようにしよう!みたいな感じで、アクションをどんどん足していきたくなりそうです。
そしてジャンプしながらキックすればジャンプキックだ!みたいな。

しかし、こんな風にやたらめったらアクションを足していくと、使用するボタンが増えまくって操作が複雑化していきそうです。
そうやって複雑化してったゲームの極みが格闘ゲームかもしれません。格ゲーでは沢山のボタンを使ってやたらめったら複雑なコマンド入力が要求されます。

それに対して、マリオでは別の方法でコアループを広げました。
それは、"ジャンプだけで何でもかんでもできるようにする"という方法です。

マリオは、敵を攻撃したり、敵の攻撃をかわしたり、崖を飛び越えたり、壁を登ったり、ブロックを壊したり、ハテナブロックを叩いたり、多様なアクションを行いますが、これらは全て、”ジャンプ”だけで行ってます!

この一石二鳥というか一石十鳥のエレガントなデザインによって、ワンボタンのシンプルな操作を保ちつつ、多様なアクションを可能にしています。

モバイルゲームのコアループ

最近のゲームは複雑化していて、もはやコアループが何なのか曖昧になってる物も多いのに対して、モバイルゲームはコアループが明快なものが多いらしいです。

たとえばパズドラなら指でなぞって3マッチパズルをやるのがコアループですし、モンストなら引っ張って弾く操作がコアループです。

ですからコアループが思いつかないな〜という時はモバイルゲームを漁ると参考になるかもしれません。
ただし、スマホのタッチスクリーンならではの楽しさをもったコアループのゲームも多いので、そのままPCゲームに持っていけない場合もありそうです。

参考リンク

How To Perfect Your Game’s Core Loop

What Is a Gameplay Loop in Gaming?

The Importance of Gameplay Loops in Game Design

あらゆるゲームを作る上で欠かせない「コアループ」とは?

umiyuki

2022年4月27日

ブログ

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