日本語・韓国語の翻訳をめぐって

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韓国、ソウルの北村〈プッチョン〉よりの眺め、北村はその昔両班が多く住んでいたと言われる。ソウルの街歩きには最高の場所のひとつ)

前回と前々回において、『東アジア文化講座・第2巻』(漢字を使った文化はどう広がっていたのか、金文京編、2021年)を取り上げて、該書で取り上げられた興味深い点の幾つかを考えてみました。

該書の後半に翻訳・通事の問題があり、これも多くの論考から様々なことを学ばせていただきました。

で、その翻訳なのですが、これは過去の問題ではなく、現在でも、というか、現在こそ重要な問題として私たちに迫りくるものです。私が昨今気になっていることに、韓国語の翻訳ソフト、翻訳サイトの問題があります。

昨年のことでしたが、知り合いから韓国の知人にメールを出したいが、韓国語がまったく分からない。でも、とりあえず作ってみたので、ちょっと見て欲しいと言われたことがありました。

それで、その知り合いの韓国語の文章を見たところ、これが実に良い出来上がりで、驚きました(とはいえ、私の韓国語能力は大したことがありませんので、レベルの低い評価になりますが)。

知り合いに、このハングルの文章はどうやって作ったのかを聞いたところ、日本語で文章を作り、それを韓国語の翻訳サイトで翻訳したとのことでした。私もそうしたサイトを使うこともあるのですが、丸投げで翻訳することはなく、難しい単語や言い回しなどの時に利用する程度でした。

そこで、韓国語翻訳サイトや翻訳ソフトを少し調べてみたところ、翻訳の質は、玉石混淆なのですが、優れたサイトやソフトは実によく出来ていて驚かされました。

私のイチオシのサイトは、Papago というサイトですね。
https://papago.naver.com/

これの良いところは、かなり正確な翻訳をしてくれるのに加えて、翻訳の下に単語の意味と例文を、字引風に示してくれる点です。よって、翻訳された言葉がちょっと文脈上合わないなと感じた時に、その単語の意味と例文を参照しながら、文章を訂正できるんですね。改めて単語の意味を検索したり調べたりする必要がないので、これが実にありがたいのです。

とはいえ、完璧に翻訳するというのはやはり難しく、翻訳サイト・ソフトを使いながらも手直しが求められることは言うまでもありません。より良い翻訳にするために、サイトやソフトの更なるブラッシュアップというものを期待したいところです。

ただ、翻訳にかける文章というものを、翻訳しやすい文章、翻訳した時に間違いが起こりにくい文章にする、ということも求められると思います。たとえば、センテンスを短くする、難しい単語や言い回しを極力避ける、つまり、分かりやすい文章にする、ということですね。

日韓両国の言語はともに膠着語で文章の構造(文法)が似ていますので、こうした点に気を付ければ、ほぼ完璧な翻訳が可能なように思います。

むろん、詩的な文章、芸術性を志向する文章の場合は当てはまりませんが。。。

翻訳という行為が、日韓両言語の未来に向けての展開に影響を与えるのではないかと、私は思います。その良し悪しの判断はまだつきませんが、分かりやすい言葉や文章というのは、これからの日韓交流において極めて大事なことだと考えています。

以上。



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