遥か遡る春のはじまり
  1. portal:9623654 ( 25 Mar 2025 12:58 )

クレジット

タイトル: SCP-XXXX-JP - (遥か遡る春のはじまり)
著者: [[HOUMONHANBAI]]
作成年: 2025年

評価: 0

アイテム番号:SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス:Keter

特別収容プロトコル:SCP-XXXX-JPは、出現場所のランダム性や、それぞれの主観によって性質や行動が変わる特性から、完全な収容は不可能だと結論付けられました。

SCP-XXXX‐JPに接触した場合、接触者(SCP-XXXX-JP-A)は恒久的で良好な関係を可能な限り継続させてください。SCP-XXXX-JPとの接触が終了後、正常な恋愛活動を行えるように、SCP-XXXX-JP-AにはクラスC記憶処理を施し、SCP-XXXX-JPの記憶と影響を抹消してください。SCP‐XXXX-JPとSCP-XXXX-JP-Aのカップルを発見次第、カバーストーリー「恋のライバル」「経験豊富な友人」「二人きりの公園」などを駆使し、交際の支援をしてください。

説明:SCP-XXXX-JPは、20██/██/██に日本の███県のサイト内で発見された、女性型のミーム汚染をひき起こす異常現象です。当実体は職員の定期健診時に、ヒューム値が著しく低いことで発見されました。SCP-XXXX-JPの所属時期は不明ですが、サイト内に直接当実体が発生し、SCP-XXXX-JP-Aにより現実改変がされたことが原因と思われます。
なお、発見された当実体は収容に抵抗し、その場で舌を噛みきり死亡、その後に消滅を確認しました。

SCP-XXXX-JPの身体的特徴は観測した人間によって変化し、身体的特徴を他者に伝えようとする場合、相手の主観に基づいた身体的特徴に変換されて伝わります。これは会話だけでなく、伝聞、写真、映像等の手段でも同様です。SCP-XXXX-JPを認識した全ての職員が「自分の理想の見た目」であると証言したためそのような性質をもつと推測されました。
そしてSCP-XXXX-JPは非常に友好的であり、SCP-XXXX-JP-Aの恋人として振舞います。
また、SCP-XXXX-JP-Aの数から複数の個体がいることが判明しており、最低でも70名はいると考えられています。

SCP‐XXXX-JPは10代〜30代の男性が望む、非常に理想的で現実的な手段を以て出現します。以下のような例が挙げられます。

・走って曲がり角を曲がると、パンを咥えた女生徒とぶつかった。
・合コンで学生時代に片思いしていた女性と再会した。
・屋上から飛び降りそうな女性を助けた。

このようにして出会ったSCP-XXXX-JP-Aは例外なくSCP-XXXX-JPと交際を始めることが確認されています。しかし、いずれの例も結婚まで発展した関係はなく、平均して2年、最短で12日間、最長で6年2か月の交際期間で関係が絶たれています。関係が絶たれる手段は以下が挙げられます。

・SCP-XXXX-JPが小児性の白血病を発症した。
・SCP‐XXXX-JPから別れを切り出された。
・SCP-XXXX-JPが一方的に別れを告げた後、目の前で自死した。

関係が断絶した後、SCP-XXXX-JPは世界中のランダムな地点へ再出現、または完全に消滅します。この反応は、SCP-XXXX-JP-Aの死亡、記憶の喪失でも確認されました。SCP-XXXX-JP-Aは記憶処理を施されない場合、SCP-XXXX-JPを思うがあまり、いかなる形でも他者と恋愛関係を持たないことが判明しています。追跡調査の結果、387名のSCP-XXXX-JP-Aに対し記憶処理を実施したところ、正常な恋愛関係の構築が可能となりました。
SCP-XXXX-JPの拘束は過去に4回試みましたが、うち3回は当実体の自死により失敗、うち1回は財団職員によって収容違反が発生しています。(インタビューXXXX)
当該財団職員は観察のため、特別収容措置が決定されました。

以下、収容違反の際の監視カメラの録画記録です。

カメラ位置: 収容室内外

収容経緯: 収容経緯:サイト内にSCP-XXXX-JPが発生したため、曝露した財団職員の協力のもとヒューム値を固定した、外界と触れない密室空間に収容した。

<映像記録再生,[20██/██/██]>

SCP-XXXX-JP-A(以下男): ああ。なんて残酷なことをしてしまった! こんなにも愛しい君を、職務に則って封じ込めなければならないなんて! 君との恋は邪魔されるものではないのに! こんな壁が無ければ君に今すぐ会えるというのに!

(男はひどく落胆し、収容室の扉を叩き続ける。本来であれば曝露者として取り押さえられるはずだが、誰も気にも留めない)

SCP-XXXX-JP: 会えるわ。貴方が望んで私をここに入れたのだから。貴方なら、私を絶対に助けられるわ

男: ここで君を助けられなければ、一生の恥だ。クソっ。どうしてだ!

(扉を強く叩くと勢いよく開いた。電子キーは機能しなかった)

男: 運がいい......迎えに来たよ。愛しい███。さぁ誰にも気づかれないように行

<映像記録が途切れる>

終了報告書: この後のSCP-XXXX-JPと男の記録はサイト内外問わず一切残っていない。SCP-XXXXによる現実改変が起きていると推測される

以下は、収容違反後に行われたSCP-XXXX-JP-Aへのインタビュー記録です。

インタビューXXXX

対象:

インタビュアー: ██████博士

付記:収容違反から3時間後

<録音開始>

██████博士: さて。百戦錬磨の君とはいえ、このような不始末でインタビューを受けるのは初めてかな? いや、覚えてないか。君のような優秀な人間がこの場にいるのは残念だよ

男: はい......(息を深く吸う)

██████博士: それではいくつか質問をさせてもらう。まず今回の収容違反をどのような手を使ったのだ?

男: 分かりません。ただ言えるのは、彼女がとても泣きそうな顔でこちらを見つめていたということでしょうか。救いたい衝動に駆られ、手を引いたのは覚えているのですが......

██████博士: 救いたいシチュエーションを望んだというという訳だね。やはりSCP-XXXX-JPと接触した人間は、望むシナリオを強固に実現させてしまうようだ

男:しかし、私には現実改変能力はありません。それと、彼女には██という名前があります!

██████博士: 失礼。正確には██が君の望むシナリオ、君が望む女性像を発生させていたということだよ

男:(指で机を一定に叩く)違う、あれは私が助けました。私が望んだ。彼女のせいでは決してないんだ。だけど......彼女は......どうして......どうして............(頭を抱えて泣きだす)

██████博士:......職員としての君に聞きたい。なぜ財団の使命がありながらあのような行動を?

男: 彼女を愛していたから............それだけです......

[以下、明瞭な回答を得られなかったので省略]

<録音終了>

終了報告書:SCP-XXXX-JPのヒューム値が低いことからわかるように、SCP-XXXX-JP-Aに疑似的な現実改変能力を与えてる可能性を示唆する。そして、どのような手段を取ったのかを覚えていない以上、感情によった望みを不可解な形で結果だけ出現させる力があるのかもしれない。ともかく、SCP-XXXX-JP-Aに世界の終末にプロポーズをしたいとでも望まれたらどうにもならない。財団は早急に収容を完了させる必要がある

以下は、SCP-XXXX-JPの実験記録です。

実験記録1 - 日付████/██/██

対象:SCP-XXXX-JP・SCP-XXXX-JP-A

実施方法:開けた土地でSCP-XXXX-JPとSCP-XXXX-JP-Aの距離が離れる様子を、100M離れた位置から2人1組で8方向の地点から観察する。

結果:消滅を確認した。瞬きを境に消えており、観察者ごとに消滅するタイミングは異なった。

分析:SCP-XXXX-JPの物理的存在は、視覚的認識によって強い影響を受けていることが確認された。この現象は、SCP-XXXX-JPの「認識依存性」を示唆しており、視覚的接触を持続する限り、SCP-XXXX-JPの存在は維持されるという結論に定着した。

実験記録2 - 日付████/██/██

対象:SCP-XXXX-JP

実施方法:瞼を切除したDクラス職員に、生理食塩水が満たされたゴーグルを装着してSCP-XXXX-JP-Aと離れた後のSCP-XXXX-JPを観察させ続ける。

結果:観察している最中、SCP-XXXX-JPはその場を離れようとせず、消滅も確認されなかった。また、交際関係にあるSCP-XXXX-Aと再び直接会う場合、観察中の当実体は消滅せずに、同実体がSCP-XXXX-JP-Aの前に出現した。

分析:観察中のSCP-XXXX-JPの存在は残像ようなものであると結論付けた。SCP-XXXX-Aは人間の様に個人の生息域を持っていないため、これらは日常生活内でカモフラージュするための性質だと思われる。

実験記録3 - 日付████/██/██

対象:実験記録2の方法で観察され続けているSCP-XXXX-JP

実施方法:SCP-XXXX-JPの残像と思われるものに対しての物理的接触と会話の試み。実際に接触するDクラス職員は残像に接触しつつ、Bクラス職員の通話指示に従って当個体と接触する。その他、SCP-XXXX-JPの観察のみに従事するDクラス職員を4名配置。

結果:SCP-XXXX-JPの肩に手を置くと、驚いたようなしぐさののち、接触者から逃亡した。逃亡したSCP-XXXX-JPは横切った軽自動車に隠れると同時に消滅した。しかし、その様子は他のDクラス職員には目撃されておらず、SCP-XXXX-JPはその場から動かなかった他、実際には軽自動車も通りかからなかった。

分析:個人に対しての認識改変と、集団に対しての認識改変を別々に使い分けていることが実証された。本体に当たるSCP-XXXX-JPは、SCP-XXXX-JP-Aの認識下でしか現れない可能性があると結論付けた。

実験記録4 - 日付████/██/██

対象:SCP-XXXX-JP-A

実施方法:SCP-XXXX-JP-Aのみを収容し、SCP-XXXX-JP-Aの記憶を「財団職員であること、SCP-XXXX-A-JPとは収容サイト内で出会った」と改竄する。SCP-XXXX-JPの出現を確認するために、サイト内のヒューム値をモニタリングし、SCP-XXXX-JP出現時に備えて機動部隊エータ-10(シー・ノー・イーヴル)を配備する。

結果:サイト内にSCPが出現した。しかし、シー・ノー・イーヴルの接近に気が付くと、顔に恐怖を浮かべ、両手で顔を挟むと、首を190度回転させ、上へねじ切り自死した。その後消滅を確認した。

分析:SCP-XXXX-JPは驚いたり、恐怖を感じると逃亡、自死による再出現すると考察される。

補遺:時間異常部門によって、完全に消滅したと思われるSCP-XXXX-JPは、過去に時間移動していることが判明しました。そして、現在時間に存在するSCP-XXXX-JPが未来から時間移動していることが確認されました。
過去時間の恋愛不能の影響により、歴史上の人物が生まれてこなかった可能性があるとされ、すでに『CK-クラス:世界再構築シナリオ』が引き起こされていると結論付けされました。
現在の時間のみに視点を絞っても、未来から出現SCP-XXXX-JPの数は増え続けており、将来的に世界全体で恋愛不能になる可能性があります。
SCP-XXXX-JPの拘束手段及び、時間移動の阻止の手段は確立されていません。SCP‐XXXX-JPを発見次第、SCP-XXXX-JP-Aとの行動を常に監視し、消滅、再出現阻止のために、引き続き交際のサポートを行ってください。



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