注記: 審査中のファイル
本文書は、手法上の問題の可能性があるとしてフラグが立てられています。以下の情報は変更される場合があり、不正確な部分を含む可能性があります。
アイテム番号: SCP-5031
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-5031はバイオサイト-59の気密な鉄製収容室に収容します。収容室は2週間ごとに欠陥の有無を点検してください。それ以外の対応は必要ありません。
説明: SCP-5031は、起源不明の自我を持たない準人型クリーチャーです。SCP-5031を直接視認した場合、視認者がその視線を外すまで、SCP-5031は一時的に存在を消失します。ただし、その不在中も、引っかき傷や血痕のようなSCP-5031の痕跡は残り続けます。ビデオや写真撮影装置はSCP-5031を捉えられませんが、SCP-5031の影を観察する行為は存在の消失を引き起こさないため、以下のような身体的特徴がシルエットから推測されています:
- 著しく小さい頭部と、確認できる首の欠如
- ひじから先の下腕部が3組に分岐
- 胴体は約1.9メートルほどの異常な長さ
- 骨質の三日月状突起で終わる骨盤部。下部の縁は刃のようになっている
- 常に地面から約0.5メートル浮遊している
SCP-5031は栄養摂取を必要としないにもかかわらず、遭遇した人間や動物を捕食しようとし、振り子状の下半身を使って獲物を倒し、捕食します。SCP-5031は睡眠をとらず、表情や音声による意思表示も行いません。
補遺: 2018年02月14日付で、スタンリー・ハクスタブル上級研究員がSCP-5031のHMCL担当官を兼任することになりました。以下は、ハクスタブル上級研究員からサイトディレクターであるユセフ・モストフィ宛てのやり取りを抜粋したもので、研究進捗を示しています。
14/02/2018
初期所見
誰がこの文書を書いたのか見当もつきませんが、言いたいことは山ほどあります。どれほど合理的な判断だとしても、生きた存在を金属の箱に10年閉じ込めたまま放置するなど賛成しかねます。
10年前はそうした措置が「標準」だったのかもしれませんが、10インチの鉄壁の向こうで何時間も断続的に響きわたる悲鳴を聞いたことがありますか? あまりに絶え間なく叫ぶので、次回改稿の際には「異常なまでに声が枯れない点」も説明に加えようと思います。
お願いがあるのですが、この「収容キューブ」に投入口とセキュリティ用前室を改造で付けられないでしょうか? SCP-5031に特定の刺激を与える実験を行うために必要なのです。
08/03/2018
ラウンド1実験(音響)・概要
前書: 収容室の前室にスピーカーを設置し、自然の環境音や一般的な音楽を流しました。SCP-5031のストレス度合いは叫び声の強さと持続時間を基準に評価しています。通常48時間の間、休まず叫び続ける状態をストレスレベル100%とし、全く叫ばない状態を0%としました。セレクション | ストレスレベル |
---|---|
朝の森のアンビエンス | ≈ 43% |
楽園の海辺アンビエンス | ≈ 48% |
深い洞窟アンビエンス | ≈ 62% |
モーツァルト名曲集 | ≈ 13% |
エンヤ名曲集 | ≈ 18% |
ベン・フォールズ名曲集 | ≈ 6% |
ジェスロ・タル名曲集 | ≈ 59% |
KISS名曲集 | ≈ 23% |
後書: 音楽を用いたストレス軽減は、時間が経つほど効果が薄れるようでした。そこでSCP-5031のお気に入り曲でプレイリストを組み、ランダム再生で常時流すことにしました。ストレスレベルは概ね15〜25%程度に安定し、これを新たな基準とします。
22/03/2018
ラウンド2実験(遊び)・概要
前書: 新たに収容室を改修し、スクリム越しに強化ガラスの観察窓を配置しました。対面の壁にランプを置き、SCP-5031の影を投影して観察できるようにしています。実験 | 結果 |
---|---|
ソフトボールを収容室内へ投げ入れる。 | SCP-5031がソフトボールを真っ二つに断ち切る。 |
バスケットボールを投げ入れる。 | SCP-5031が切れ目を入れてしまう。 |
ボウリング球を転がし入れる。 | SCP-5031はボウリング球に数本の切れ込みを入れたあと、尾の鈍い面を使って20分ほど球を転がして遊んだ。ストレスレベルは遊びの後<60%に維持。 |
ボウリング球が削れ、まともに転がせなくなる。(想定外) | ストレスレベルが約115%まで急上昇。 |
新しいボウリング球を提供。 | ストレスレベルが約40%まで下降。 |
さらに別のボウリング球も投入。 | SCP-5031は尾の鈍い面を使い、2つの球をぶつけ合いながら動かしていた。ストレスレベルは遊びの後<40%に維持。 |
バスケットボールを投げ入れる。 | SCP-5031はバスケットボールを手に取り、壊さないよう扱って遊んだ。ストレスレベルは<20%に維持。 |
後書: SCP-5031はバスケットボールで遊ぶとき、誤って破損しないよう手先を使う方法を覚えたようです。モーター技能は幼児程度と推定されます。ただし、ボウリング球を「蹴る」ほうが好きなようです。
05/04/2018
ラウンド3実験(食事)・概要
前書: SCP-5031の収容室内に、対極の位置に2種類の食材を同時に提示し、どちらを選ぶかを観察しました。選択肢 | 選択されたほう |
---|---|
人間の死体 / 豚の死骸 | 豚の死骸 |
豚の死骸 / 鶏の死骸 | 豚の死骸 |
豚の死骸 / ロティサリーチキン | ロティサリーチキン |
鶏の死骸 / ロティサリーチキン | ロティサリーチキン |
生きた鶏 / ロティサリーチキン | ロティサリーチキン |
ローストターキー / ロティサリーチキン | どちらも選ばず(満腹と思われる) |
後書: 食事を必要としないはずのSCP-5031ですが、定期的に給餌すると明らかにストレスが低下します。高品質な食材を与えるほどストレス軽減効果が高まるようです。
また、SCP-5031は食事をする際に尾を使って肉を小分けに切り取るのが好みらしく、歯や手でちぎるよりも細かく切り分けることを優先しているようです。
12/04/2018
ラウンド4実験(共存)・概要
実験1: SCP-5031を満腹になるまで給餌。生きた鶏1羽を収容室へ導入。
結果: SCP-5031はしばらく距離を置いて観察したのち、高速でボウリング球を鶏へ向けて転がし、即死させた。直後、SCP-5031のストレスレベルは急激に上昇。
実験2: 収容室からボウリング球を撤去。SCP-5031を満腹まで給餌。生きた鶏1羽を再度収容室へ導入。
結果: SCP-5031はバスケットボールを鶏に向けてそっと転がし、軽く当たった。鶏は小さく鳴いて後退。SCP-5031はそれ以上の接触は行わず。
実験3: SCP-5031を満腹まで給餌。被験者(クラスD)を目隠し状態で収容室へ導入し、「バスケットボールを前方に転がし、戻ってきたら再び転がす」を繰り返すよう指示。
結果: 被験者とSCP-5031は数分間にわたりボールを転がし合うことに成功。最終的にSCP-5031が行為を放棄して被験者に近づいたため、安全プロトコルに従い被験者は目隠しを外して実験を終了。
実験4: SCP-5031を満腹まで給餌。被験者(クラスD)を収容室へ導入し、「テニスボールを壁に向かって投げ、跳ね返ってきたボールを捕球し、再度投げる」行動を繰り返すよう指示。
結果: SCP-5031は被験者のすぐ後ろに立ち、跳ね返ったボールをキャッチして同じように壁に投げ返す動きを成功させた。
後書: SCP-5031の運動能力は急激に向上しているようです。
16/05/2018
ラウンド5実験(記号)・概要
前書: SCP-5031の収容室の壁に5台のLCDディスプレイを設置し、それぞれにボタンと食品ディスペンサーを付加。ボタンを押すと対応する物質が一定量分配される仕様です。
実験1: 駆動させたステーションを2台に限定。画面1には岩石の画像を表示、ボタンを押すと岩が出る。画面2にはロティサリーチキンの画像を表示、ボタンを押すとチキンが出る。
結果: SCP-5031はしばらくチキンの画像を突いたあと、ようやくボタンを押し、チキンを満足するまで摂取した。
実験2: 画面表示と分配物質を入れ替える。
結果: SCP-5031は前回押したボタンを再び押し、岩が出てきて戸惑ったのち、もう片方の画面を押してチキンを得た。
実験3: 元の配置に戻し、分配途中にランダムで入れ替わるよう設定。
結果: SCP-5031は最初からチキンの画像があるボタンに向かった。途中で表示が切り替わると一瞬混乱を見せたが、すぐに画像を注視して学習した。
実験4: 3台追加し、合計5台を稼働。4台は「ROCK」と表示され岩を分配、1台のみが「CHICKEN」と表示されチキンを分配する。配置は数日かけてランダムに入れ替わる。
結果: SCP-5031は試行錯誤の末、どのステーションからチキンが出るか特定。表示が入れ替わるたび、「CHICKEN」と書かれた画面のボタンを押すようになった。
実験5: 全ステーションを停止させ、1台のみ動作。画面には「CHICKEN」を表示。ステーションのボタンは消灯かつ非アクティブにし、画面に示された7つの文字ブロック(C/H/I/C/K/E/N)を正しく並べないと作動しないよう設定。
結果: SCP-5031は明らかに苛立ちを見せ、反応しないボタンを何度も押したり、尾で壁を叩いたりした。
実験6: 前実験と同様だが、画面に「CHICKEN」の文字それぞれを木製ブロックの写真上に重ねた状態で表示。
結果: 約12分後、SCP-5031は「CHICKEN」という単語を正しく並べることに成功。
後書: こいつは言語を学習できるようですね、ユセフ。
29/08/2018
ラウンド6実験(語彙)・結果
前書: SCP-5031は木製ブロックを用いて以下の単語を組み立てることを習得しました。
食べ物 | ||
---|---|---|
CHICKEN | TURKEY | PORK |
TOFU | BEEF | BREAD |
MORE SALT | MORE PEPPER | MORE COOKED |
音楽 | ||
---|---|---|
MOZART | ENYA | BEN FOLDS |
FOREST | SEASIDE | WHITE NOISE |
MORE VOLUME | LESS VOLUME | SILENCE |
遊び | ||
---|---|---|
BASKETBALL | BOWLING BALL | TENNIS BALL |
CAT | DOG | HUMAN |
ROBERT | STANLEY | ALONE |
後書: より多くの語彙を身につけ、人間と交流を図る中で、SCP-5031は以下の進歩を見せています。
- 食材の好みや調理の組み合わせを把握
- 非言語的な歌唱を習得
- ジャグリングを習得(6本腕によるジャグリングは壮観です)
05/10/2018
ラウンド7実験(アクティビティ)・概要
実験1: 収容室にテーブル、紙、クレヨンを導入。被験者(D-52125)には、絵を描く様子をSCP-5031に見せるよう指示。
結果: SCP-5031は絵の描き方を習得。描かれた絵には、D-52125やSCP-5031自身、ロティサリーチキン、猫、そして私(ハクスタブル)の姿が確認された。
実験2: 収容室にピアノを導入。被験者(D-52125)は目隠しをした状態で《チョップスティックス》を演奏し、SCP-5031にも一緒に弾くよう誘導するよう指示。事前に練習時間を与える。
結果: SCP-5031は2日かけて《チョップスティックス》を習得。ただし、人間の基準ではやや稚拙に聞こえるかもしれませんが、独自の曲作り(ボーカル付き)により多くの興味を示した。
実験3: 収容室にスパイスラックを設置。被験者(D-52125)に、肉へ香辛料をかける調理法を実演するよう指示。
結果: SCP-5031はほぼ3日間、さまざまな食材やスパイスの組み合わせを試し続けた。ニンニク粉を使い切った際には、文字ブロックで「MORE MORE MORE」(もっともっともっと)と並べて要求した。
後書: SCP-5031は芸術や音楽に関してはD-52125が一緒にいるときのみ積極的ですが、料理にはすっかり熱中しており、単独でも続けています。
04/01/2019
ラウンド8実験(料理)・結果
前書: 収容室に簡易キッチンを設置しました。 被験者(D-52125)に、さまざまなレシピを調理する方法を実演させます。
習得したレシピ | ||
---|---|---|
ケサディーヤ | タコス | ハンバーガー |
チャーハン | モンゴリアンビーフ | スパイシーチキンカレー |
スポンジケーキ ||= ファッジ ||
後書: SCP-5031には重度のピーナッツアレルギーがあることが判明しました。改訂収容プロトコルに追記が必要です。それにしてもSCP-5031の料理スキルは今や平均的な人間を上回っています。オリジナルのレシピまで創作し、D-52125が試食係を申し出てくれています。
30/06/2019
アップデート
SCP-5031が初めて言葉を発しました。「Salt」です。
みんなで大いに盛り上がりました。
29/11/2019
最終実験・概要
SCP-5031は2か月の準備期間を与えられ、感謝祭当日にバイオサイト-59の食堂で働く職員へ3コースの食事を提供することになりました。メニューは下記の通りです。
前菜 | サツマイモとターメリックの味噌スープ |
---|---|
メイン | 鴨のコンフィ(アップルサイダーグレーズとクランベリーコンポート添え)、バターナッツかぼちゃのニョッキとケールのトリュフ塩ソテーを合わせて |
デザート | スパイスを効かせたキャッサバパイのスライスに、フレンチバニラアイスクリームとメープル&ヘーゼルナッツシロップをトッピング |
さらに、SCP-5031は独自作曲「6手のピアノソナタ」を収容室からの生中継で初演奏しました。職員の反応は概して好評で、SCP-5031のストレスレベルは0%を記録。実験は成功裏に終了し、改訂文書を提出済みです。
Cite this page as:
"SCP-5031" by Rokurokubi, from the SCP Wiki. Source: https://scpwiki.com/scp-5031. Licensed under CC BY-SA.
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