2011年4月19日火曜日

前立腺がん取扱い規約

泌尿器科の現場ではこの本がかなり重要視されています。

「全国の先生方には、この取扱い規約に準じた同一基準で前立腺癌症例を正しく評価していただき、日本のデータを内外に積極的に発信していただきますことを期待致します。」(日本泌尿器科学会理事長 内藤誠二)
序文のこうした表現からもそれがわかると思います。

昨年までは、取扱い規約の第3版(2001年刊行)が使用されてきたのですが、なにぶん内容が古くて、実情に合わない部分も目立っていました。
このたび(2010年12月)第4版が刊行され、やっと実情に追いついてきたようです。

以前から気になっており指摘もしてきたことに「前立腺がん病期分類」があります。
国立がん研究センター「がん情報サービス」では
・T2a:片葉浸潤
・T2b:両葉浸潤
となっていますが、この根拠が前立腺癌取扱い規約第3版(2001年)であり、さらにその根拠はTNM分類第5版(1997年)ですから相当古いものです。

TNM分類第6版(2002年)以降は
・T2a:片葉の1/2以下
・T2b:片葉の1/2超
・T2c:両葉浸潤
となっており、このたびの取扱い規約第4版でやっと「原則としてTNM分類第7版(2009年)を用いる」
ということが決まりました。
「がん情報サービス」のHPは相変わらず古いままで、改訂されておりませんが・・・

その他、我々患者にも関心が深い改訂点がいくつかあります。

・作成委員会に「日本医学放射線学会」が加わった。(でも「日本放射線腫瘍学会」でないのはなぜ?)
・リスク分類に言及(2001年当時はリスク分類という概念がほとんどなかった)
・ノモグラムに言及(日本版術前ノモグラムも掲載してくれています)
・治療法で「密封小線源療法」「緩和療法」(ストロンチウム、ビスフォスフォネートにも簡単に触れています)
・病理学的分類は分化度(高・中・低分化)分類に代わり、グリーソン分類(ISUP2005)を採用。

10年に一度の改訂では時代遅れになるのもやむをえませんね。
前立腺癌診療ガイドラインも2006年版ですが、これもそろそろ新しいもの、できれば患者向けのものを刊行してもらいたいですね。
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2011年3月30日水曜日

カバジタキセル

(がんサポート情報センター:最新がんトピックス:2010/5)
カバジタキセルを開発したUSオンコロジー社の開発担当者は、「ホルモン除去療法が効かない転移性前立腺がんに対して、初めて明らかな有効性が示された試験であり、カバジタキセルは、ホルモン療法が効かなくなった後に、現在使われている化学療法剤の代わりに使われるべき薬剤だ」と、シンポジウムに先立って、記者会見で語った。
TROPIC試験と命名された、カバジタキセルの多国間臨床試験は、ホルモン療法が効かなくなり、進行前立腺がんに対する標準的化学療法剤であるタキソテール(一般名ドセタキセル)による治療を受けても、そのまま病勢が進行した前立腺がん患者755人を対象として実施された。
臨床試験に参加した患者は、〔カバジタキセル+プレドニゾン(一般名)〕投与群か、別の化学療法剤である〔ノバントロン(一般名ミトキサントロン)+プレドニゾン〕投与群に無作為に割りふられた。
観察期間の中央値12.8カ月の時点で、全生存期間中央値は、〔ノバントロン+プレドニゾン〕併用群が12.7カ月であったのに対し、〔カバジタキセル+プレドニゾン〕併用群では15.1カ月。この結果は死亡リスクを30パーセント減少させたことになる。
カバジタキセルはタキソテールと同様に、タキサン系の抗がん剤。タキソテールと同じく、細胞分裂の際に分裂の主体となる微小管の働きを阻害する薬剤でありながら、タキソテール抵抗性のがん細胞に対して効果を示すようにデザインされている。
前立腺がんの細胞は、タキソテールを細胞外に排出することで耐性を示すが、カバジタキセルは細胞外に排出されないため効果をあらわすと考えられている。
全生存期間の延長は、年齢や人種、合併症などの因子に基づいて分類した、サブグループすべてに一貫して現れ、無増悪生存期間や奏効率も、〔ノバントロン+プレドニゾン〕併用群より良かった。
副作用は、カバジタキセルを投与した患者で、発熱を伴う好中球減少症がより多くみられた。
カバジタキセルの投与においては、この毒性を注意深く観察する必要がある。
「2次化学療法でタキサン系の薬剤が使用でき、一定の有効性があり、十分耐え得る副作用であることは有望な結果です」
デューク大学医学部総合がんセンターの医師は、こう述べている。
また、タキソテールによる1次治療の反応が良好な患者では、カバジタキセルによる2次、3次治療でも反応が良い傾向にあり、「つまり、そのような患者にとっては、カバジタキセルによる治療は、1歩前進以上のものになる可能性がある」と、同医師は付け加えた。
がん治療の化学療法の進歩は常に緩やかであるが、今回の試験結果は、2004年に進行前立腺がん治療におけるタキソテールの有効性が示されたことに匹敵する、と同医師は述べてもいる。
カバジタキセルの製造会社である、サノフィ・アベンティス社は、米国食品医薬品局(FDA)に、本剤を、タキソテール耐性の進行前立腺がんに対する2次治療薬として承認申請するとみられており、カバジタキセルは、この適応でFDAの承認を受ける初めての薬剤となる可能性がある。
 →(注)2010年6月17日、FDAは、カバジタキセル(Jevtana)をプレドニゾン(ステロイド剤)との併用で承認!
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2011年2月23日水曜日

アビラテロン(第3相臨床試験)が全生存期間を延長

去勢抵抗性の転移性前立腺癌において、アビラテロン(CYP17阻害薬)が、プレドニゾンとの併用で、前立腺特異抗原(PSA)値を半減させ、一部の患者では骨転移の改善も見られたことが、フェーズ2臨床試験の発表(2008/10)で、明らかになっていたが、このたび(2011/2)、国際無作為化二重盲検フェーズ3試験の結果が発表された。
(ASCO GU:米Memorial Sloan-Kettering Cancer CenterのH.I.Scher氏)

ドセタキセルベースの化学療法がうまくいかなかった去勢抵抗性の前立腺癌において、アビラテロンとプレドニゾンの併用は、プラセボとプレドニゾンの併用に比べ、全生存期間を3.9ヵ月延長することが明らかとなった。

アビラテロンは経口で、不可逆的にCYP17を阻害し、精巣、副腎、前立腺におけるテストステロンの産生を押さえ、血清中のアンドロゲンを検出レベル以下に低下させる。
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2011年2月21日月曜日

デガレリクスがファーストラインに

(ASCO GU、米Carolna Urologic Research CenterのN.D.Shore氏による発表。)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco_gu2011/201102/518568.html

リュープリンやゾラデックスに代えて、デガレリクスがファーストラインとなる日が近付いている。
GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)アンタゴニスト(阻害剤)であるデガレリクスは、
LH-RH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)アナログ(促進剤)であるリュープロレリンと比べ、
PSA無増悪生存率において優れており、ホルモン療法のファーストラインとなることを示唆する結果が明らかとなった。

試験では、前立腺がん患者(全ステージ)をデガレリクス群(409人)とリュープロレリン群(201人)に割り付けた。
デガレリクス群は最初の月は240mg、その後毎月80mg(207人)または160mg(202人)を投与された。
リュープロレリン群は月当たり7.5mgが投与された。リュープロレリン群の患者はビカルタミドの投与も受けられることとされた。

その結果、PSA無増悪生存率はデガレリクス240mg/80mg群が、リュープロレリン群よりも有意に高かった(p=0.05)。
PSAが20超の患者でPSAの悪化または死亡が25%の患者で起こる期間の中央値(TTP25%)は、
デガレリクス240mg/80mg群がリュープロレリン群よりも有意に長かった(p=0.01)。

また、リュープロレリンを途中からデガレリクスに変更した場合でも、PSA無増悪生存率は有意に改善した(p=0.003)。
これはPSAが20超の患者でも同様であった。

国内で実施されたフェーズ2試験の結果、デガレリクスは日本人の前立腺癌に対しても有効で、安全に投与できることが明らかとなっている。
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間欠療法の生存期間は持続ホルモン療法と変わらない

(ASCO GU:カナダSunnybrook Health Science CentreのLaurence Klotz氏の発表):不完全な要約です。
放射線療法後にPSA再発のあった患者に対し間欠療法を行ったところ、全生存期間は、持続的ホルモン療法を行った患者に引けをとらないということが判った。
これまでは、間欠療法によるQOLの改善は示されていたが、生存期間に対する証明はされていなかった。
調査対象は、放射線療法(初期治療または全摘後の救済治療として)を受け1年以上経過した、PSA=3以上、テストステロン=5nmol/L以上の患者。
間欠療法群、持続療法群、それぞれ700人弱を比較した。
間欠療法では治療休止中にPSAが10を超えた場合は治療を再開、各サイクルで、抗アンドロゲン剤と、
LHRHアゴニストの投与を行った。
臨床的な進行を認めた場合や、治療中止後2カ月以内にPSAが10を超えた場合は持続療法に切り替えた。

間欠療法群が抗アンドロゲン剤の投与を受けた期間は3.5カ月(中央値)、LHRHの投与を受けた期間は15.4カ月(中央値)であった。
持続療法群ではそれぞれ2.9カ月と43.9カ月であった。

全生存期間は間欠療法群8.8カ年、持続療法群9.1年。
去勢抵抗性となるまでの時間は、間欠療法群9.8年、持続療法群10.0年。
7年間の死因別死亡数にも有意差はなかった。
有害事象では、ホットフラッシュが間欠療法群で有意に減少した。

これらの結果から、Klotz氏は「根治的放射線療法を施行後にPSA再発を認めた前立腺の多くの患者に対し、間欠療法群は標準治療であるべきと考える」と述べた。
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国内で開発中の前立腺がん治療薬

2011/2 現在
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2011年2月14日月曜日

2011年2月13日日曜日

NCCNガイドライン日本語版について

NCCNガイドライン日本語版の前立腺がん治療フローチャートですが、
いくつか疑問点があり、今日、先端医療振興財団に問合せメールを入れてみました。
一患者からのメールにお返事がいただけるかどうか・・・
質問は以下の5項目です。

1)超低リスクという概念が2010年より新たに採用されましたが、
PROS1では超低リスク群のステージがT1aとなっており、
PROS2では超低リスク群のステージがT1-T2aとなっています。
原文(V.2.2010)ではT1cとなっておりますが、いずれが正解でしょう?

2)PROS2~4において、「経過観察」という用語と
「モニタリング」という用語が混在していますが、
これらは同じものではありませんか?・・・それとも異なる内容でしょうか?

3)PROS4、5において、PSA値が「検出限界未満」という表現が見られますが、
良く用いられる高感度PSA測定ではかなり小さな値も検出可能ですが、
これはを高感度PSAを前提としているのでしょうか?

4)PROS5において、「その後の2回のPSA測定で、検出限界以上となる」
という訳文がありますが、意味がわかりかねます。
「PSAが検出可能となり、2連続上昇を示す」ということではないでしょうか?

5)PROS8において、「神経内分泌腫瘍ではない」という表現が、
「生検を考慮」からの分岐として、上下2段で用いられていますが、
下段は、「神経内分泌腫瘍」とし、
”ではない”を削除するのが正解ではないでしょうか?
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2011年2月9日水曜日

NCCNガイドライン

NCCN前立腺がん治療ガイドライン「フローシート」の日本語版を作成しました。

医療者向けのガイドラインの全文(日本語版)は、すでに先端医療振興財団のHPにアップされていますが、
http://www.tri-kobe.org/nccn/guideline/urological/japanese/prostate.pdf

この「フローシート」は、どちらかと言えば患者向けのガイドラインです。
医療者用ガイドラインをベースとしながらも、意味がわかりにくい所では、適宜患者向けのガイドライン(英語版)を参照し、できるだけ読みやすくしたつもりです。
ただ、ツリー構成で9ページありますから、辿るのが大変。
パラパラとページをめくったぐらいでは、ちょっと判りにくいかもしれません。
もし、興味がありましたら、ダウンロード(下の表紙をクリック)して、じっくり目を通してみてください。


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2011年1月27日木曜日

TAK-700

 TAK-700は、非ステロイド系の男性ホルモン合成酵素阻害薬。男性ホルモンの生成に重要な役割をもつ酵素(17,20-リアーゼ)の働きを阻害、精巣および副腎の両方に由来する男性ホルモンの生成を抑制する。

米国で進行性前立腺癌患者を対象としたフェーズ3国際試験が開始された。(2010/11)
ドセタキセルをベースとした化学療法が無効であり、かつ一般的なホルモン療法に抵抗性を示す転移性前立腺癌患者を対象として、プレドニゾンとプラセボ投与群を対照とし、プレドニゾンとTAK-700投与群を比較する。主要評価項目は、全生存期間と無増悪生存期間。
日本も米国よりは遅れるがこの国際試験に参加する予定。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/search/cancer/news/201011/517374.html&cnavi=1
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2011年1月23日日曜日

プロベンジ

2010年4月29日、米国FDAはデンドレオン社が開発した前立腺がん治療ワクチン「プロベンジ」を承認しました。
これは世界で初めて、かつ、他種のがんに先駆けて承認されたがん治療ワクチンです。
FDAに提出された二重盲検臨床治験のデータによれば、プロベンジの投与で生存期間は4.1か月延長されたとのことで、
これは驚異的な数値です。

 プロベンジはホルモン療法抵抗性前立腺がん(HRPC)患者を対象とし、患者の血液から採取した免疫細胞(抗原提示細胞)を、前立腺がんの殆どに発現が見られるPAP蛋白質を加えて体外で培養したもので、これを患者に戻すことで抗腫瘍効果を発揮します。
プロベンジは、自覚症状がほとんどなく全身状態が良好な患者を対象とし、内臓障害がある場合や、期待余命が6ヵ月未満の患者には推奨されておりません。
 プロベンジの費用は、9万3000ドル(800万円)と高額ゆえ、発売当初はその普及に疑問が持たれたのですが、すでにプロベンジの製造が需要に追いつかなくなり、デンドレオン社は2011年 中旬を目途に製造設備の拡張を始めているとのこと。

 2010年11月、米国のメディケア(高齢者・障害者向け国営保険)諮問委員会が、プロベンジを保険償還するように推奨しました。多くの関係者は今年そのまま承認されると考えています。
 メディケアへの償還が実現すれば、プロベンジは米国だけで年間17.5億ドルを売り上げると予想されています。
特許切れまでに世界での売り上げは数兆円に達します。デンドレオン社に莫大な収入と米国に莫大な税収をもたらすでしょう。
これにより、米国ががんワクチンなどを含も医療分野を成長戦略の柱と認識していることが明らかとなりました。
プロベンジの成功を受け、世界的にがん治療ワクチンの開発競争が激しくなっているのが現状です。
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2011年1月18日火曜日

粒子線治療施設

国内の粒子線治療施設(予定を含む)は以下の通りです。


【重粒子線】
・重粒子医科学センター病院(放医研) (千葉県千葉市)
・兵庫県立粒子線医療センター (兵庫県たつの市)
・群馬大学重粒子線医学研究センター (群馬県前橋市)
・九州国際重粒子線がん治療センター (佐賀県鳥栖市 ※…2013年以降の開始予定)

【陽子線】
・兵庫県立粒子線医療センター (兵庫県たつの市)
・筑波大学陽子線医学利用研究センター (茨城県つくば市)
・国立がんセンター東病院 (千葉県柏市)
・静岡県立がんセンター(静岡県駿東郡)
・若狭湾エネルギー研究センター (福井県敦賀市)
・福井県陽子線がん治療センター (福井県福井市 ※…2011年3月開始予定)
・がん粒子線治療研究センター (鹿児島県指宿市 ※…2011年4月開始予定)
・南東北がん陽子線治療センター (福島県郡山市)
・相澤病院 (長野県松本市)
・クオリティライフ21城北 (愛知県名古屋市 ※…2012年以降の開始予定)
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2010年12月10日金曜日

IMRT(強度変調放射線治療)実施施設

日本放射線腫瘍学会(JASTRO)によると、次の47施設です。

【北海道・東北】
札幌医科大学附属病院
北海道大学病院
旭川医科大学病院
東北大学病院

【関東】
栃木県立がんセンター
医療法人社団日高会 日高病院
埼玉医科大学国際医療センター
千葉県がんセンター
国立がんセンター東病院
国立がんセンター中央病院
慶應義塾大学病院
順天堂大学医学部附属順天堂医院
東京大学医学部附属病院
がん・感染症センター都立駒込病院
癌研有明病院
東京女子医科大学病院
杏林大学医学部付属病院
横浜市立大学附属病院
茅ヶ崎徳州会総合病院

【甲信越】
新潟県立がんセンター新潟病院
社会医療法人財団慈泉会 相澤病院

【中部・東海】
社会医療法人厚生会 木沢記念病院
聖隷浜松病院
愛知県がんセンター中央病院・研究所
名古屋大学医学部附属病院
名古屋市立大学病院
名古屋第二赤十字病院

【近畿】
市立伊勢総合病院
滋賀医科大学医学部附属病院
大津赤十字病院
京都大学医学部附属病院
大阪大学医学部附属病院
大阪府立成人病センター
松下記念病院
近畿大学医学部附属病院
先端医療センター病院
天理よろづ相談所病院
奈良県立医科大学附属病院

【中・四国】
財団法人倉敷中央病院
JA広島厚生連 廣島総合病院
広島大学病院
山口大学医学部附属病院
川崎医科大学附属病院
四国がんセンター

【九州】
九州大学病院
済生会熊本病院
熊本大学医学部附属病院

 注(1):上記は2010年調べですが、その後IMRT実施施設は増え続け、
    2012年(春)には109施設と、倍以上になっています。

 注(2):2008年(春)現在のIMRT先進医療指定は次の19施設でした。
   http://higepapa.blogspot.jp/2008/10/blog-post_03.html

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2010年12月8日水曜日

骨転移にはデノスマブ

(NCI Cancer Bulletin2010年11月30日)抜粋

モノクローナル抗体製剤であるデノスマブは、骨折リスクが高い閉経後女性の骨粗鬆症の治療を目的として2010年6月に承認(米国)されたが、固形腫瘍からの骨転移を有する患者における骨関連事象の予防を目的として、骨粗鬆症より高用量での追加承認を取得した。
追加承認を受けたデノスマブ(Xgeva)の癌患者への投与は、4週間に1回、120mg(注射)。

総計5723人の患者を対象とした3つの国際的な大規模臨床試験では、乳癌の女性患者と前立腺癌の男性患者の治療において、さまざまな種類の癌患者が骨折や脊髄圧迫を発現したり、骨痛のための手術や放射線治療の必要性が生じたりするまでの期間を延長したという点で、デノスマブはゾレドロン酸(ゾメタ)より優れていた。
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2010年10月20日水曜日

酢酸アビラテロンは第Ⅲ相臨床試験でも良好な結果を示す

<第35回欧州臨床腫瘍学会(ESMO) Johann de Bono氏(英)の発表>

 フェーズ3の無作為化試験の結果、 化学療法(ドセタキセル)が無効となったホルモン抵抗性の転移性前立腺癌患者に対し、
酢酸アビラテロンの投与が、全生存期間(OS)を延長することが認められた。
 酢酸アビラテロンは、CYP17を選択的に遮断し、アンドロゲン合成(persistent androgen synthesis;PAS)を強力かつ持続的に阻害する。

 試験対象は、13カ国の147施設から参加した、ドセタキセルベースの化学療法の治療歴がある去勢抵抗性の転移性前立腺がん患者1195人。
 まずは被験者を次の2群に分けた。
AA群   :酢酸アビラテロン(経口)を1日1回1000mg、プレドニゾン5mgを1日2回投与する群(797人)
プラセボ群:プラセボとプレドニゾンを投与する群(398人)

 治療前の病状は次の通り。
       PSA中央値、 骨転移、 リンパ節転移、  肺転移、  肝転移
AA群   :128.8ng/mL、 89.2%、  45.4%、  13.0%、  11.3%
プラセボ群:137.7ng/mL、 90.4%、  41.5%、  11.4%、   7.6%

 主要評価項目は全生存期間:OS、副次的評価項目はPSAが上昇するまでの期間:TTPP、rPFS、PSA値における奏効率とした。
 その結果を示すとこのようになる。
        OS、   TTPP、   rPFS、  PSA奏功率
AA群   :14.8ヵ月  10.2ヵ月  5.6ヵ月  38.0%
プラセボ群:10.9ヵ月   6.6ヵ月  3.6ヵ月  10.1%

 全グレードの有害事象はAA群で98.9%、プラセボ群で99%に発現し、グレード3以上の有害事象は54.5%と58.4%だった。
グレード3以上の有害事象による治療中止は、AA群10.5%、プラセボ群13.5%となった。有害事象による死亡は、AA群11.6%、プラセボ群14.7%だった。
 AA群で多く観察された有害事象は、体液貯留、低カリウム血症、肝機能異常、高血圧であったが、グレード3以上はいずれも5%未満だった。

参考:http://higepapa.blogspot.com/2009/03/abiraterone.html

出典:日経メディカル
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2010年10月13日水曜日

骨転移を促す遺伝子を特定

NHKニュース 2010年10月11日
がんが骨に転移する「骨転移」を促すとみられる遺伝子を特定し、その働きを抑えて実際に骨転移を防ぐことに、慶応大学のグループがマウスを使った実験で成功しました。骨転移を予防する薬の開発につながる可能性があると注目されています。
がんが骨に転移する骨転移は、骨折や強い痛みを引き起こし、がんを治療するうえで大きな障害となります。このため、慶応大学先端医科学研究所のグループは、骨転移を起こしやすい乳がんや前立腺がんなどのがん細胞で、骨の病気に関係する50の遺伝子がどのように働いているか詳しく調べました。その結果、「FRP」という遺伝子の働きが異常に高まっていることがわかったということです。さらに、FRPにくっついて働きを抑える物質を作り、ヒトのがん細胞を移植したマウスに投与したところ、ほとんど骨転移が起こらないことを確認したとしています。このマウスではリンパ球など免疫を担う細胞が活発になっていたということで、研究グループでは、FRPが免疫の機能を抑え骨転移を促しているのではないかとしています。研究グループの工藤千恵講師は「FRPの働きを抑える薬を開発すれば、骨転移を予防できる可能性がある。治療に使えるよう研究を進めたい」と話しています。
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2010年8月19日木曜日

ホルモン療法単独より放射線療法を追加すべき(局所進行前立腺がん)

(NCIキャンサーブレティン2010年6月15日号参照)

1995~2005年の間に行われた国際共同第3相試験の結果によると、アンドロゲン除去療法(ADT)に放射線療法を追加すると、局所進行前立腺癌男性の死亡リスクを43%減少させることが判明した。このデータは先週シカゴで行われたASCO年次総会で発表された。

ADT+放射線療法を受けた男性は、ADT 単独療法を受けた男性よりも10年間の前立腺癌死亡率は少ない(15%対23%)だろうと、研究者らは予測している。最終結果はあと数年で明らかになると期待される。

「この結果は2010年でも意味があると確信している。未だに、高リスク患者の約50%がADT単独で治療されている」とWarde氏は述べた。
ここ10年は放射線治療技術の進歩が著しく、本試験の放射線治療追加の効果は、過少評価されている可能性があると、同氏は述べた。
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2010年7月7日水曜日

普及するか、ダヴィンチ手術

昨年11月、ジョンソン・エンド・ジョンソンが海外の臨床試験データを基に手術支援ロボット、
ダヴィンチの薬事承認を取得。この3月からようやく国内での販売がスタートした。
ダヴィンチ本体の価格は3億円程度だが、機器や消耗品にも費用がかかる。
また、これとは別に、年間のメンテナンス費用が約2500万円になるとみられている。

前立腺がんの手術では、腹腔鏡は慣れるまでに80~100症例の経験が必要だが、
ダヴィンチでは10~20症例で良いという。
指先の動きを1/3、1/5に縮小して伝えることができるため、精密な操作もやり易い。
出血量も開腹手術より少なく、患者の負担が少ない低侵襲手術といえる。
「触覚がない」のが欠点だが、これは視覚情報の優位性で補わざるを得ない。

我国では、前立腺がんの腹腔鏡手術は全体の1割以下程度とみられ、開放手術が中心だが、
米国では、すでに85%以上の手術が、1000台以上のダヴィンチにより行われている。

参照 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201007/515535.html
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カバジタキセル(商品名:Jevtana)

進行したホルモン不応性前立腺がんの患者にとっては、ドセタキセルが最後の砦ではなく、
新しいタキサン系抗癌剤、カバジタキセル(商品名:Jevtana)によって生存期間の延長が認められた(第Ⅲ相治験)ことは、すでにこの掲示板でもお知らせしました。
これを受けて、米食品医薬品局(FDA)は優先審査プログラムとして審査を行っていましたが、
6月17日、カバジタキセル(Jevtana)をプレドニゾン(ステロイド剤)との併用で承認しました。
ドセタキセルで治療中あるいは治療後に病勢が進行したホルモン不応性前立腺がんは、
これまでほとんど治療の選択の余地がなかったわけですが、この薬剤が初の適応となるわけです。
申請から承認まで11週間のスピード審査で、米国医療行政の面目躍如といったところですが、
我が国ではいったいどうなるんでしょうね。
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2010年6月14日月曜日

ラジウム223を用いた放射性医薬品アルファラディン

アルファ線放出核種ラジウム223を用いた放射性医薬品アルファラディン(Alpharadin) は、ホルモン不応性前立腺癌の骨転移に対し、第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験の試験結果から、忍容性を保ちながら全生存期間の延長も期待できる可能性が示されました。(ASCO2010)
アルファラディンは現在、国際共同第Ⅲ相臨床試験が行われていますが、日本はこれに参加していません。

現在、体内照射として用いられているストロンチウム-89(メタストロン注)は、ベータ線を放出する放射性同位元素で、体内ではカルシウムと同様の働きをするので、骨転移病巣に集まりやすく、集中的に骨転移病巣に放射線が照射され、多発性骨転移などで外部照射が困難な場合でも疼痛の緩和がはかれる可能性があります。

アルファ線(ラジウム223)はベータ線(ストロンチウム-89)に比べて放射線量が数倍大きく、逆に飛距離と崩壊時間が短いのが特徴。
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