「天の果実—新たな共生の芸術をもとめてー」vol.5
井坂健一郎展 ANOTHER FACE
展覧会名:
井坂健一郎展 ANOTHER FACE
会 期:
2009年10月26日(月)−10月31日(土)
時 間:
11:00 〜 19:00(最終日17:00まで)
会 場:
ギャルリー志門 GALERIE SHIMON
東京都中央区銀座6-13-7 新保ビル3F
TEL:03-3541-2511
「天の果実 -新たな共生の芸術をもとめて-」序文
『21世紀の芸術をシュタイナーと考える』
昨年ギャルリー志門での安藤栄作・鈴木蛙土二人展の会場で、彼らと画廊主の深井氏とシュタイナーについての話が弾んだことをきっかけに、この連続個展が企
画された。そのときの話題は、ヨーゼフ・ボイスの背後に見えるシュタイナーの思想のこと、その根本に古代から貫かれている自然と人間存在の連続性について
の深い経験と思索が横たわっていることなど、とりとめはなかったと思う。しかしその場の4人にとっては、タガが外れたように亀裂の入った世界の奥底から、
漏れ出ることを止められなくなった光のような、夜明けのような希望が感じられた。この感覚は、実はもっと多くの人たちと共有できるのではないか、物質文明
であった20世紀はすでに終ったのだから...。そのような呼びかけに応じてくれた6人の作家の作品は、新たな光の下に置くことによって、これまでとは異なる
世界を開いてくれるだろう。
坂本龍彦氏は徹底して物質としての絵具を発掘して、幻ではない生命を証明しようとする。安藤栄作氏は、木がそのまま霊であった時代の感性を私たちによみが
えらせてくれる。松井貞文氏は、からみあう紙と墨の狭間で、宇宙の始まりでもあるイメージの出現に立ち会おうとしている。のはらかずみ氏のステンレスバッ
トは、21世紀の額縁として科学の芸術化を暗示する。井坂健一郎氏は、写真という最も20世紀的なメディアが、実は光という最も霊的な力によって世界を写
すものだったことに気づかせてくれる。酒井信次氏の、石、木、紙という素材はそれぞれ、鉱物=大地、天と地の仲介者、人間の技術=薄っぺらな精神という主
題そのものに直結している。これらの私の勝手な印象は、個展会場で、またシンポジウムの中で確認していただければと思う。
(小泉晋弥/茨城大学教授・美術評論家)
A.F-09115BW ×ばつ90cm
デジタルプリント
80,000円
A.F-0961BW ×ばつ90cm
デジタルプリント
80,000円
A.F-09112BW ×ばつ90cm
デジタルプリント
80,000円
A.F-0926BW ×ばつ53.5cm
デジタルプリント
40,000円
A.F-0985BW ×ばつ53.5cm
デジタルプリント
40,000円
A.F-0905BW ×ばつ53.5cm
デジタルプリント
40,000円
A.F-0972BW ×ばつ53.5cm
デジタルプリント
40,000円
A.F-0907BW ×ばつ53.5cm
デジタルプリント
40,000円
A.F-0984BW ×ばつ53.5cm
デジタルプリント
40,000円
A.F-0911BW ×ばつ28.5cm
デジタルプリント
15,000円
A.F-0990BW ×ばつ28.5cm
デジタルプリント
15,000円
A.F-0957BW ×ばつ28.5cm
デジタルプリント
15,000円
「天の果実」展によせて
シュタイナーに関して、そんなに詳しく理解しているわけではないが、シュタイナーの考えの中で、「意識、それは人類が生まれるずっと前、この宇宙が出来
たときからすでに、エネルギーという形で存在していた。その『意識』が様々な衣装を身につけて、今いっとき人間の形をしたり、鳥や花、石になっているだけ
である。」というものがある。
私は絵画制作を出発点とし、インスタレーションや写真表現へと展開して来た。絵画制作では、絵の具という物質を自身の意識の中で、固有名詞を用いること
ができる形にすげ替えることができると考えている。つまり形態や空間の意識がなされなければ、絵の具は物質のままなのである。
インスタレーションや写真においても、意識がどれだけ創作活動に働くかであろう。自身の表現活動の中では、『意識』がさまざまな衣装を身に着けるという感覚をかなり前から覚えている。
今回の私の写真作品は、もの(花)の形態を描き出すということよりも、あるかないかわからない、曖昧な存在を表現するという目的で制作した。また、もの
(花)が存在する空間自体も「光」と「闇」の場を設定し、現実的な上下左右、奥行きという空間ではなく、具体性を排除した「存在する事実」のみを表出した
かったのである。
さらには、「造花」を撮影することにより、本来、命のないものに命を与えるかのような効果が「光」と「闇」の場を設定することから生まれているのであ
る。そして、「闇」の中に描き出される「生」と、「光」の中に描き出される「死」を想起させる言葉を作品から発することができればと思っている。
シュタイナー教育の水彩画には、ゲーテの色彩論によるところが大きいといわれているが、「光と闇の中間にあって、この両極が作用し合う『くもり』の中で
色彩は成立する」というゲーテの論述を引用するならば、私にとっての「くもり」は、モノクロームの中での「存在の曖昧さ」を生み出す、とっておきの領域な
のである。
作家略歴
1966
愛知県生まれ
2002
個展"カタルシス"(ペッパーズギャラリー, 東京)
2003
鏡像として(ヴォイス・ギャラリー, 京都)
2004
6th Art International Zurich(Kongresshaus,チューリッヒ)
2007
個展"ALLUSION-闇の中で"(秋山画廊, 東京)
シンポジウム
パネリスト:
小泉晋弥(茨城大学教授・美術評論家)
テーマ:
『21世紀の芸術をシュタイナーと考える』
前 期:
10月3日(土)5:30.pm〜小泉晋弥+坂本龍彦 安藤栄作 のはらかずみ
後 期:
10月31日(土)5:30.pm〜小泉晋弥+松井貞文 井坂健一郎 酒井信次
懇親会:
ビオディナミワインパーティー 各7:30.pm〜
※(注記)ビオディナミ=シュタイナーが提唱した農法。
化学肥料を使わず月や惑星の動きに合わせて葡萄を栽培する。
ワイン選定:深井美子(日本ソムリエ協会認定ソムリエール)
※(注記)ビオワインの他に普通のワインもご用意いたしますので飲み比べることができます。
・会場:ギャルリー志門
・定員25名
◎にじゅうまる要予約 お申し込み・お問い合わせ 03-3541-2511