脳神経外科
脳神経外科の紹介・特色
脳神経外科は、脳・脊髄疾患を中心に外科的治療を行っております。
脳脊髄は非常にデリケートな組織であり、その診断・治療には細心の注意と技術が必要です。当科では最新の設備・機器を用いて正確な診断をし、十分な説明により了解が得られた上で高度に訓練された脳神経外科専門医が手術・治療を行います。
1.当院は24時間体制の救命救急センターが稼動しており、その連携のもと、脳神経外科医も24時間体制で待機し、脳卒中(脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血など)や頭部外傷などの救急疾患に対応しております。
2.脳・脊髄腫瘍に対しては、手術顕微鏡・ナビゲーションシステムおよび神経内視鏡・各種神経モニターを用いて低侵襲かつ神経障害をきたさないように可及的全摘出を行っております。全摘出困難な場合やそのほか、必要に応じて陽子線治療・定位放射線治療や化学療法などを用いた集学的治療を行います。
2019年より手術台に血管造影用のX線装置・透視装置を組み合わせたハイブリッド手術室が稼働しました。これにより全身麻酔下に血管造影を施行し引き続き開頭手術や脳血管内手術を行えるようになりました。また開頭手術を行った後に手術が成功したかを閉頭する前に血管撮影で確認することができるようになりました。
全身麻酔下に血管内手術と開頭手術の長所をハイブリッドさせることでより安全・確実な治療を行なっております。
画像 ハイブリッド手術室
脳動静脈奇形(AVM)
全身麻酔下に血管内手術による塞栓術を施行し引き続き開頭手術を施行
摘出されたAVM
3.脳動脈瘤に対しては開頭による脳動脈瘤クリッピング術および脳血管内手術による脳動脈瘤塞栓術を行います。個々の症例に応じて安全・確実な方法が選択されます。
4.脳梗塞に対して、超急性期ではtPAによる血栓溶解療法を行います。この治療法で約30%の方の改善が得られるようになりましたが残りの方には重い後遺症が残りました。最近では引き続き脳血管内手術による機械的血栓回収術を追加することにより60%の患者さんが回復が得られるようになりました。
慢性期では症例に応じて頚動脈内膜剥離術や血管内治療による頚動脈ステント留置術、またはバイパス手術などの血行再建術を行います。
また、脳出血に対しては、必要に応じて開頭血腫除去術や内視鏡的脳血腫除去術を行っております。脳卒中(脳梗塞・脳出血)に対しては出来るだけ早く全身状態を安定させ早期リハビリテーションができるよう心がけております。
★ 左中大脳動脈が血栓により閉塞
→血栓回収用のカテーテルを挿入
→吸引後再開通を得る
5.脊髄脊椎疾患に対しては、神経症状、神経機能検査や画像診断から総合的に手術適応を決め、顕微鏡手術を中心に各種モニターを活用した安全かつ効果的な手術を行っております。
6.機能的脳神経外科では三叉神経痛や顔面けいれんに対して神経血管減圧術を行っております。
7.周産期母子センターと連携し小児奇形・水頭症に対する治療を行っております。神経内視鏡を用いた水頭症手術も行います。
神経症状なく再発もない。
診療(手術)実績
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
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手術総数 | 258 | 230 | 180 | 190 | 227 |
脳・脊髄腫瘍 | 30 | 40 | 25 | 35 | 42 |
脳動脈瘤および 脳動静脈奇形 |
36 | 30 | 20 | 26 | 25 |
頭部外傷 | 70 | 60 | 45 | 58 | 65 |
機能的手術および 脊椎・脊髄疾患 |
3 | 2 | 5 | 4 | 6 |
脳血管内手術 | 70 | 55 | 44 | 64 | 65 |
脳動脈瘤塞栓術 | 25 | 20 | 15 | 22 | 27 |
頸動脈ステント留置術 | 12 | 15 | 10 | 12 | 16 |
機械的血栓回収術 | 20 | 22 | 10 | 21 | 26 |
対象疾患名
脳・脊髄腫瘍、脳動脈瘤 脳動静脈奇形、脳血管障害(脳出血 脳梗塞)、脊椎・脊髄疾患(変形性頚椎症、後縦靭帯骨化症、椎間板ヘルニアなど)、頭部外傷、機能的脳神経外科疾患(顔面けいれん 三叉神経痛など)、先天性奇形(水頭症、脊髄閉鎖不全症など)
施設認定
日本脳神経外科学会専門医指定訓練施設(A-175)