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U-FILE CAMP オフィシャルブログ

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にじゅうまる1974年10月25日 新日本プロレス 東京・後楽園ホール

☆60分1本勝負

アントニオ猪木(16分48秒 ウラカンラナ)ジョン・トロス





連載第39回は猪木が日本で初公開した大技絡みの一戦です。

この試合のフィニッシュとなったウラカンラナは今でこそポピュラーで日本人の使い
手も多い技ですが、この試合で猪木が日本人として日本マットで初めて成功しまし
た。

多くの方が知っている通り、メキシコの伝説的なルチャドールであるウラカン・ラミ
レスの考案した得意技です。

日本のプロレス創成期からメキシコとの交流はもちろんあり多くの日本人レスラーが
武者修行したり、ルチャドールも多く来日しています。

とは言え、やはり日本プロレス界はアメリカマット偏重だったので特に技術交流はま
だ遅れていた時代だっただけに、いち早くルチャのテクニックを導入した猪木はさす
がと言えます。

30代になったばかりでコンディションが充実していた時期なのでアクロバティック
な技を取り入れる余裕があったのでしょう。



さてこの一戦にはもうひとつの見方があります。

対戦相手のトロスは日プロ時代にUN王座を奪取した因縁のある相手です。

正直言って実力差は明らかですが、日プロ時代の因縁を使えば1シリーズの前半戦く
らいはエース外人として起用する事は可能だったと思いますし、アメリカマットでの
格を考えればN.W.F王座のチャレンジャーにしてもいい選手です。

でもTVマッチのメインとは言え後楽園ホールのノンタイトルでアッサリ片付けて終わ
らせてしまいました。

これは猪木=新日に一貫した姿勢ですが、日プロ時代に因縁のあった相手を猪木のラ
イバルとはせず対戦してもノンタイトルで完勝して終わらせています。

「猪木は日プロ時代よりも遥かに強くなっているので日プロ時代のライバルでは今の
猪木の敵ではない。」といったイメージ戦略だったのでしょう。

同時期の馬場が日プロ時代からのライバルを一貫して優遇してタイトルマッチで対戦
しているのとは真逆の扱いですね。

どっちが正しいかと言えば、義理・人情で考えれば馬場に肩入れしたいところです
が、実際問題は日プロ時代のリバイバルを見せられてマンネリ感漂っていた全日より
も、新しいライバルを発掘して新鮮味のある試合を見せる新日の方が勢いがあってビ
ジネスとしては正解だったと思います。



何気ないひとつの試合からも色々な発見のある昭和49年のプロレスは侮れないです
ね。
カテゴリ:
野村聡史

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