同世代のジャズピアニスト・田村和大くんが亡くなったと知ったのは、5月のレコ発ツアー最終日18日の深夜で、ツアーメンバー3人と土岐Bird & Dizのマスターと打ち上げ中のことだった。
FBのタイムラインに上がっていた彼の死を伝える記事を、やはり同世代のギタリスト関根彰良くんが見つけたとき、一瞬にしてその場の時間が止まり、空間がぐにゃりと重たく歪んだように感じた。
あまりに突然の訃報はとてもにわかには信じがたく、まるで冗談のように奇妙な違和感をまとって心の宙空に浮かんだ。
亡くなった?死んじゃった?
意味がわからない。全然わからない。
混乱と同時に、ぽっかりと穴が空いた。
亡くなったのは15日で、心不全だと連絡があった。お通夜の日は都合がつかず、23日の告別式に参列した。
斎場へ向かうときもまだ半信半疑のような、おかしな心持ちだった。すごく良く晴れた日で、空がとても綺麗で、黒いスーツが全く似つかわしくない、輝かしいほど眩しく暑い朝だった。
ふわふわと現実味のないまま到着した斎場ではたくさんのミュージシャンと会い、お見かけした。若手からベテランまで本当にたくさんの人が来ていた。
でもなんでみんな揃って黒い服を着ているのか、ここに至ってもまだ不思議な気持ちだった。自分だって着ているのに。
そしてみんな疲れたような少し笑ったような、奇妙な表情に見えた。きっと私もそうだったんだろうと思う。たぶんみんな、私と同じように、彼の死をまだ受け入れきれずに、どんな顔をしたらいいのかわからず戸惑っていたのだろう。
ほんとに死んじゃったんだ、と知らしめられたのはやはり彼の顔を見た時だった。でもその顔は穏やかで、ほっとした。苦しまずに旅立ったのだと思えた。そして本当に悲しくなった。
もう会えない。
もう二度と、彼のピアノと歌えない。
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