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社会生活基本調査トピックス-国民のライフスタイル
私たちの生活を取り巻く社会経済が大きく変化してきているなか,国民生活の質の向上が重要とされている。そこで,「1日の時間の使い方」と「1年間の余暇活動」の実態を明らかにする「社会生活基本調査」の結果から,国民のライフスタイルについて,その特徴を年代別に追いながらみていくことにする。
10歳代は1日の5分の1が学業時間,スポーツや趣味・娯楽が盛ん(図1)
10歳代の若者の生活パターンの中心は学校であり,学業時間(時間は1週間を通した1日平均。以下同じ)は他の年代に比べて飛びぬけて長く,1日の約5分の1を占めている。
また,スポーツ,趣味・娯楽など積極的余暇活動の時間も他の年代と比べてほぼ2倍になっており,スポーツ,趣味・娯楽の行動者率(1年間に行動した人の割合)も9割を超えている。
20歳代は学業から仕事へ,交際・付き合いや外国旅行が盛ん(図2)
20から50歳代にかけては,多くの時間を仕事や家事に費やすといったライフスタイルに移行する。
20歳代では大部分が仕事に就くことから,10歳代と比べ仕事時間が大幅に長くなる。一方,余暇活動時間は10歳代より短くなるものの,仕事を通じて社会との関わりが深くなり,交際・付き合いの時間が増加する。
また,各年代を通して外国観光旅行が最も盛んとなっている。
30から50歳代で長い男子の仕事時間,30歳代で短い女子の仕事時間(図3)
30から50歳代の仕事時間は,男女全体では5時間台とほぼ一定している。これを男女別にみると,男子は30から50歳代が6時間台後半から7時間台半ばで,1日の約3分の1を仕事に費やしており,この年代を通してライフスタイルに大きな変化はみられない。
一方,女子は,仕事時間が最も長いのが20歳代で4時間台,30歳代では2時間台と大幅に減少し,40歳代,50歳代では3時間台と増加しており,年代によってライフスタイルが大きく変化している。
40歳代で仕事・家事の負担が大きい女子(図4)
女子のライフスタイルの変化について,20から50歳代までの女子の家事関連時間をみると,20歳代では仕事時間が長く,家事関連時間は2時間台半ばと各年代を通して最も短い。
30歳代では5時間台半ばと各年代を通して最も長くなり,このうち育児時間が1時間台で際立って長くなっている。
40歳代,50歳代では4時間台半ばと,30歳代に比べおおむね1時間短くなっている。なお,40歳代では仕事時間と家事関連時間を合わせた時間が8時間台半ばと,1日の3分の1以上となり,男女・各年代を通して最も長くなっている。
また,女子は30から40歳代にかけて社会的活動の行動者率が高く,3割を超えている。
70歳以上では在宅型余暇活動が余暇活動時間の8割以上(図5)
60歳代以上になると,退職や子供の独立などにより仕事時間が短くなり,自由時間が長くなる。この増加した自由時間は,テレビ・ラジオなどの在宅型余暇活動時間や睡眠時間に充てられ,特に70歳以上では,睡眠時間,余暇活動時間とも各年代を通して最も長く,余暇活動時間の8割以上は在宅型余暇活動となっている。
また,60歳代では社会的活動の「公的な奉仕」の行動者率が各年代を通して最も高くなっている。
注)
や個人・団体の福祉のために行っている活動を社会的活動という。この
うち,民生委員,児童委員,保護司,行政相談委員などといった活動を
「公的な奉仕」としている。
(付表)年代別にみた生活時間と余暇活動の主な特徴
●くろまる 本文
【 時間は,1週間を通した国民1人当たりの1日平均 ( 時間.分)。行動者率は,1年間に行動した人の割合(%)。 】
- 睡眠時間は,70歳以上の高齢者に次いで長い(男子;8.18 女子;8.06)。
- 学業時間は,1日の約5分の1(男女とも4.46)。
- スポーツ,趣味・娯楽の行動者率は,各年代を通して最も高い。
(スポーツ......男子;94.9% 女子;91.7%)
(趣味・娯楽...男子;96.3% 女子;97.1%) - 約4人に1人が外国語を学習(男子;22.8% 女子;25.5%)。
- 余暇活動時間は,1日の約4分の1(5.59)で,このうち積極的余暇活動時間は,男女・各年代を通して最も長い(2.22)。
- 余暇活動時間は,1日の約4分の1(5.29)で,このうち積極的余暇活動時間は,女子で最も長い(1.51)。
- 睡眠時間は,10歳代に比べ30分程度短い (男子;7.47 女子;7.41)。
- 交際・付き合いは,他の年代に比べ15分程度長い(男女とも0.43)。
- 学業時間は,10歳代に比べ大幅に短い(男子;0.33 女子;0.19)。
- 余暇活動時間は,10歳代に比べ1時間30分程度短い(男子;4.31 女子;4.04)。
- 仕事時間は,1日の約4分の1(6.08)。
- 身の回りの用事の時間が,他の年代に比べ長い(1.26)。
- 仕事時間は,女子で最も長い(4.09)が,同年代の男子に比べると2時間程度短い。
- 家事関連時間は,20歳以上の年代で最も短い(2.32)。
- 約5人に1人が外国観光旅行(23.2%)。
- 睡眠時間は,男子で最も短い(7.34)。
- 仕事時間は,男女・各年代を通して最も長い(7.26)。
- 家事関連時間は,20歳代に比べ10分程度長い(0.28)。
- 余暇活動時間は,男子で最も短く(4.06),このうち在宅型余暇活動時間も最も短い(3.11)。
- 睡眠時間は,20歳代に比べ20分程度短い(7.20)。
- 仕事時間は,20歳代に比べ1時間程度短い(2.57)。
- 家事関連時間は,男女・各年代を通して最も長い(5.23)。
- 育児時間は,他の年代に比べ際立って長く(1.08),家事関連時間の約5分の1。
- 余暇活動時間は,男女・各年代を通して最も短い(3.45)。
- 睡眠時間は,30歳代に次いで短い(7.36)。
- 仕事時間は,30歳代に次いで長い(7.21)。
- 家事関連時間は,30歳代に比べ10分程度短い(0.20)。
- 余暇活動時間は,30歳代に次いで短く (4.14),このうち積極的余暇活動時間は,男子で最も短い(0.54)。
- 社会的活動の行動者率は,男子で最も高い(32.5%)。
- 睡眠時間は,男女・各年代を通して最も短く,男女差は32分と最も大きい(7.04)。
- 仕事時間は,30歳代に比べ50分程度長い(3.47)。
- 家事関連時間は,30歳代に次いで長い(4.42)。
- 仕事時間と家事関連時間を合わせた時間は,1日の約3分の1で,同年代の男子に比べ50分程度長く,男女・各年代を通して最も長い(8.29)。
- 余暇活動時間は,30歳代に次いで短い(3.59)。
- 社会的活動の行動者率は,男女・各年代を通して最も高い(38.0%)。
- 睡眠時間は,40歳代に比べ10分程度長い(男子;7.43 女子;7.16)。
- 余暇活動時間は, 40歳代に比べ15分程度長い(男子;4.28 女子;4.15)。
- 仕事時間は,40歳代に比べ30分程度短い(6.49)。
- 家事関連時間は,40歳代とほぼ同じ(0.21)。
- 仕事時間は,40歳代に比べ20分程度短い(3.29)。
- 家事関連時間は,40歳代に比べ20分程度短い(4.21)。
- 睡眠時間は,50歳代に比べ30分程度長い(男子;8.08 女子;7.44)
- 仕事時間は,20から50歳代に比べ大幅に短い(男子;4.07 女子;1.55)。
- 家事関連時間は,50歳代に比べ20分長い(0.41)。
余暇活動時間は,30から50歳代に比べ2時間程度長く(6.18),このうち積極的余暇活動時間は,10歳代に次いで長い(1.20)。 - 社会的活動の行動者率は,40歳代に次いで高く(31.9%),このうち「公的な奉仕」の行動者率は男女・各年代を通して最も高い(3.1%)。
- 家事関連時間は,50歳代とほぼ同じ(4.22)。
- 余暇活動時間は,50歳代に比べ1時間程度長い (5.11)。
- 社会的活動のうち「公的な奉仕」の行動者率は,女子で最も高い(1.6%)。
- 仕事時間は,10歳代に次いで短い(男子;1.41 女子;0.41)。
- 睡眠時間は,男女・各年代を通して最も長い(8.57)。
- 家事関連時間は,60歳代に比べわずかに長く,男子で最も長い(0.49)。
- 余暇活動時間は,男女・各年代を通して最も長く(7.51),このうち在宅型余暇活動時間が約8割(6.31)。
- 睡眠時間は,女子で最も長い(8.46)。
- 家事関連時間は,60歳代に比べ1時間30分程度短い(2.58)。
- 余暇活動時間は,女子で最も長く(6.43),このうち在宅型余暇活動時間が約9割(5.58)。
●くろまる 本文