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令和5年改正入管法について

令和5年6月9日、第211回通常国会において、「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律」が成立し、同月16日に公布されました(令和5年法律第56号)。

この法律は、16歳未満の外国人の在留カード等の有効期間の更新申請に関する見直し、補完的保護対象者の認定制度の創設、在留特別許可制度の適正化、送還停止効の例外規定の創設、罰則付き退去等命令制度の創設、自発的な帰国を促すための措置の拡大、監理措置制度の創設、仮放免の在り方の見直し、適切な処遇を実施するための規定の整備等を内容とするものです。
16歳未満の外国人の在留カード等の有効期間の更新申請の見直しに関する部分については令和5年11月1日に、補完的保護対象者の認定制度の創設に関する部分については令和5年12月1日に、送還停止効の例外規定の創設、罰則付き退去等命令制度の創設、監理措置制度の創設、在留特別許可制度の適正化などに関する部分については、令和6年6月10日に施行されました。
(注記)当該リンク先は、令和5年改正入管法の成立前に作成されたものです。

改正入管法の基本的な考え方

令和5年改正入管法の基本的な考え方は、次の3つです。
1 保護すべき者を確実に保護する。
2 その上で、在留が認められない外国人は、速やかに退去させる。
3 長期収容を解消し、収容する場合における適正な処遇を実施するための規定を整備する。
これらの基本的な考え方に基づき、様々な施策をパッケージとして講じることにより、改正前の入管法の課題の一体的解決を図ることを目的としています。

令和5年改正入管法の概要

令和5年改正入管法の概要

保護すべき者を確実に保護
◇「補完的保護対象者」認定制度
〇 紛争避難民など、難民条約上の難民には必ずしも該当しないものの、難民と同様に保護すべき外国人を「補完的保護対象者」として認定し、保護する手続を創設しました。
補完的保護対象者認定制度について
〇 補完的保護対象者の認定を受けた外国人は、難民の認定を受けた外国人と同様、原則として在留資格「定住者」が付与されます。
◇在留特別許可の適正化
〇 在留特別許可の申請手続を創設しました。
〇 在留特別許可の判断に当たって考慮する事情を法律上明確化しました。
これにより、「在留特別許可にかかるガイドライン」の見直しを行い、改定しました。
〇 在留特別許可がされなかった場合は、その理由を通知します。
◇難民認定制度の運用の見直し
(注記) 本取組については、法改正以前から継続的に取り組んでいたことから、政府提出法案の法改正事項とはなっておりませんでしたが、国会審議の過程において、その重要性から法案の修正として法律事項に含まれ、また、附帯決議事項となったものです。

〔衆議院における修正事項〕

〇 面接における申請者の心情等への適切な配慮
難民等認定申請者の面接に当たって、難民調査官は申請者の心情等に適切に配慮することとしています。
また、親を伴わない年少者等の特に配慮が必要な者について、申請者の希望があれば専門職の立会人を認める運用を試行しています。

〇 難民の出身国情報の充実
難民等の認定に当たっては、出身国情報(COI:COUNTRY OF ORIGIN INFORMATION)の収集・分析が重要になります。
入管庁においては、出身国情報の収集・分析に専従する職員を配置し、現場の難民調査官と連携しながら、最新の出身国情報の収集・共有を行っています。
収集した出身国情報のうち、アメリカ、イギリス、オーストラリアの政府機関が作成した報告書については、日本語に翻訳(仮訳)の上で入管庁ホームページ上で公表しています。
難民に関する出身国情報

〇 難民調査官の調査能力の向上
難民調査官の調査能力向上のために、各種研修を実施しています。


〔法改正事項ではない事項〕(参議院における附帯決議事項の一部)

〇 難民該当性に関する規範的要素の明確化
入管庁においては、UNHCRの協力も得て、難民該当性に関する規範的要素を明確化するために「難民該当性判断の手引」を策定しています。
送還忌避問題の解決
◇送還停止効の例外規定
〇 難民認定手続中は一律に送還が停止される改正前の入管法の規定(送還停止効)を改め、次の者については、難民認定手続中又は補完的保護対象者認定手続中であっても退去させることが可能となりました。
・ 3回目以降の難民認定申請者又は補完的保護対象者認定申請者
・ 3年以上の実刑に処された者
・ テロリスト等
(注記) ただし、3回目以降の難民認定申請者又は補完的保護対象者認定申請者でも、「難民の認定又は補完的保護対象者の認定を行うべき相当の理由がある資料」を提出すれば、例外として、送還は停止することとしています。
◇罰則付きの退去等命令制度
〇 退去を拒む外国人のうち次の者については、強制的に退去させる手段がなく、改正前の入管法下では退去させることができなかったので、これらの者に限って、一定の要件の下で、定めた期限内に日本から退去することを命令する制度を創設し、命令に従わなかった場合には、刑事罰を科され得ることとしました。
・ 退去を拒む自国民を受け取らない国を送還先とする者
・ 過去に実際に航空機内で送還妨害行為に及んだ者
◇自発的な帰国を促すための措置
〇 本邦からの出国を希望して自ら地方出入国在留管理官署に出頭した者のうち、一定の要件を満たす不法残留者については、出国命令対象者として本邦から出国した後、再び日本に入国できるようになるまでの期間(上陸拒否期間)が5年から1年に短縮されます。
〇 令和5年の入管法改正において、自発的な出国を更に促す観点から、出国意思をもって自ら出頭した場合に加え、入国審査官から退去強制事由に該当すると認定される前に速やかに本邦から出国する意思を表明した場合にも対象が拡大されたほか、退去強制令書の発付を受けた後、自らの負担により、自ら本邦を退去しようとする者に対しても、相当と認められる場合は、短期滞在で入国しようとする場合を除いて上陸拒否期間が5年から1年に短縮されることとなりました。
収容を巡る諸問題の解決
◇収容に代わる監理措置
〇 監理措置は、監理人による監理の下で、逃亡等を防止しつつ、相当期間にわたり、社会内での生活を許容しながら、収容しないで退去強制手続を進める措置です。
〇 監理措置決定を受けることができるかどうかは、逃亡等のおそれの程度や、収容により受ける不利益の程度その他の事情を考慮し総合的に判断されることとなります。
◇仮放免の在り方の見直し
〇 監理措置制度の創設に伴い、仮放免制度については、本来の制度趣旨どおり、健康上又は人道上の理由等により収容を一時的に解除するための措置とすることとします。
〇 特に健康上の理由による仮放免請求については、医師の意見を聴くなどして、健康状態に十分配慮して判断するよう努めなければならないこととされました。
◇適正な処遇の実施
〇 常勤医師を確保するため、その支障となっている国家公務員法の規定について特例を設け、兼業要件を緩和するなどします。
〇 収容されている者に対し、3か月ごとに健康診断を実施することや、職員に人権研修を実施するなど、収容施設内における適正な処遇の実施の確保のために必要な規定を整備します。
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