2021年正誤表
【差替】『大阪の誇り 福祉の先駆者たち』 - 2022年11月25日
『大阪の誇り 福祉の先駆者たち』(2013年 初版第1刷)「42 大阪ソーシャルワーカー協会の歩み」の内容について、下記の通り差替えいたします。
42 大阪ソーシャルワーカー協会の歩み
――個人の尊厳と自立支援をめざして――
戦後の貧しい時代の社会福祉といえば、生活に困窮している人々への金品給付や施設へ「措置」することが中心でした。しかしその頃すでに、社会的人間としての自己実現と人格の発達を援助する考えを基とする社会制度の研究を主張していたグループがありました。大阪ソーシャルワーカー協会の源流はそのような思いをもった研究者によって1951(昭和26)年11月に大阪府庁職員会館で開かれた「大阪精神分析学研究会」にあります。ところが、会員のほとんどは社会福祉事業の現場従事者であり福祉現場での困難ケースの処遇についての指針と共同研究の場が必要であるとのことで、翌1952年7月に大阪精神分析学研究会を改組して、「大阪社会事業事例研究会」が発足しました。当時のソーシャルワークは社会福祉というよりは社会事業と訳されることが一般的でしたので、その設立趣旨には「社会事業に関する事例を関係機関より報告し、共同討議を行い、以って社会事業従事者の専門能力を向上させること」と明記されました。会員は社会福祉を専門とする大学教員や研究者、福祉事務所、児童相談所、病院、社会福祉施設の職員のほかに家庭裁判所調査官、小中学校の教育関係者も参加していました。毎月の定例研究会では、会員が取り扱った事例を報告し、参加者が診断の適否や指導方針について所見を述べる方式が取られていました。当時の記録から熱い議論が展開されていたことが伺えます。研究会は大阪市社会福祉協議会の協力で運営されましたが、事例研究のほかに、社会福祉固有の理論や専門的ソーシャルワークに共通する処遇技術、さらに職業倫理についても議論が重ねられています。当時の会員には竹内愛二(関西学院大学)、岡村重夫(大阪市立大学)、本出祐之(大阪市立大学)、柴田善守(大阪市立大学)、右田紀久恵(大阪府立大学)、黒川昭登(龍谷大学)、賀集一(朝日新聞厚生事業団)等々、その後の日本の社会福祉に大きな影響を与えた著名な会員が所属していました。
1955(昭和30)年頃、大阪に所在する民間の自主的研究団体としては大阪民間施設経営者協会、保護施設職員研究会、大阪医療社会事業研究会や大阪施設保母の会等いろいろありましたが、いずれも特定分野の職員の研究会で在り、大阪社会事業事例研究会のような各分野に共通する専門的なケースワーク研究を事例分析によって行うものはありませんでした。この事例研究会は「大阪ソーシャルワーカー協会」(OASW・岡村重夫会長)となりました。
その後1960(昭和35)年に日本ソーシャルワーカー協会(JASW)が結成され、その機会に研究会のメンバーのほとんど全員が日本ソーシャルワーカー協会に入会しました。ところがしばらくしてJASWが休止となり、この間継続して「大阪ソーシャルワーカー協会」も並行して開催されていました。1983(昭和58)年にJASWが再建されその支部が大阪ソーシャルワーカー協会の活動を引き継ぎました。岩田克夫(大阪老人ホーム)会長のもと、会員の研究・事例発表のほかに施設見学や各種の社会福祉セミナーを開催、大阪四天王寺でのJASW 全国大会の開催や社会福祉士法案等の成立に尽力するなど数多くの実績を積み、大阪ソーシャルワーカー協会は全国から注目されました。その後再び創生期の伝統の事例研究中心の例会を重ね今日に至っています。大阪精神分析学研究会時代から大阪ソーシャルワーカー協会の今日に至る約60年の長い歩みを振り返る時、竹内・岡村時代の社会福祉学黎明期の実践研究会の流れから、新たな福祉制度の開拓期、福祉専門職化の流れを汲みながら、岩田克夫(大阪老人ホーム)、井上光(府社会福祉協議会)、吉村靭生〈自彊館〉、岡田藤太郎(大阪地域福祉サービス研究所)、岡本千秋(ミード社会館)、等大阪の伝統ある施設や機関のリーダーと各種別施設、機関の実務家の会員の力が結集され発揮されてきたと言えます。社会福祉士等の資格が成立して20年、また協会も新たな変革期にあります。
参考文献
『大阪ソーシャルワーカー協会25年史』25年史編集委員会、1986年。
「JASW・大阪支部ニュース」、「大阪ソーシャルワーカー」1号他。
大 塚 保 信(大阪ソーシャルワーカー協会会長・JASW役員)
2022年7月1日改訂
ダウンロードはこちらをクリックください。
42 大阪ソーシャルワーカー協会の歩み
――個人の尊厳と自立支援をめざして――
戦後の貧しい時代の社会福祉といえば、生活に困窮している人々への金品給付や施設へ「措置」することが中心でした。しかしその頃すでに、社会的人間としての自己実現と人格の発達を援助する考えを基とする社会制度の研究を主張していたグループがありました。大阪ソーシャルワーカー協会の源流はそのような思いをもった研究者によって1951(昭和26)年11月に大阪府庁職員会館で開かれた「大阪精神分析学研究会」にあります。ところが、会員のほとんどは社会福祉事業の現場従事者であり福祉現場での困難ケースの処遇についての指針と共同研究の場が必要であるとのことで、翌1952年7月に大阪精神分析学研究会を改組して、「大阪社会事業事例研究会」が発足しました。当時のソーシャルワークは社会福祉というよりは社会事業と訳されることが一般的でしたので、その設立趣旨には「社会事業に関する事例を関係機関より報告し、共同討議を行い、以って社会事業従事者の専門能力を向上させること」と明記されました。会員は社会福祉を専門とする大学教員や研究者、福祉事務所、児童相談所、病院、社会福祉施設の職員のほかに家庭裁判所調査官、小中学校の教育関係者も参加していました。毎月の定例研究会では、会員が取り扱った事例を報告し、参加者が診断の適否や指導方針について所見を述べる方式が取られていました。当時の記録から熱い議論が展開されていたことが伺えます。研究会は大阪市社会福祉協議会の協力で運営されましたが、事例研究のほかに、社会福祉固有の理論や専門的ソーシャルワークに共通する処遇技術、さらに職業倫理についても議論が重ねられています。当時の会員には竹内愛二(関西学院大学)、岡村重夫(大阪市立大学)、本出祐之(大阪市立大学)、柴田善守(大阪市立大学)、右田紀久恵(大阪府立大学)、黒川昭登(龍谷大学)、賀集一(朝日新聞厚生事業団)等々、その後の日本の社会福祉に大きな影響を与えた著名な会員が所属していました。
1955(昭和30)年頃、大阪に所在する民間の自主的研究団体としては大阪民間施設経営者協会、保護施設職員研究会、大阪医療社会事業研究会や大阪施設保母の会等いろいろありましたが、いずれも特定分野の職員の研究会で在り、大阪社会事業事例研究会のような各分野に共通する専門的なケースワーク研究を事例分析によって行うものはありませんでした。この事例研究会は「大阪ソーシャルワーカー協会」(OASW・岡村重夫会長)となりました。
その後1960(昭和35)年に日本ソーシャルワーカー協会(JASW)が結成され、その機会に研究会のメンバーのほとんど全員が日本ソーシャルワーカー協会に入会しました。ところがしばらくしてJASWが休止となり、この間継続して「大阪ソーシャルワーカー協会」も並行して開催されていました。1983(昭和58)年にJASWが再建されその支部が大阪ソーシャルワーカー協会の活動を引き継ぎました。岩田克夫(大阪老人ホーム)会長のもと、会員の研究・事例発表のほかに施設見学や各種の社会福祉セミナーを開催、大阪四天王寺でのJASW 全国大会の開催や社会福祉士法案等の成立に尽力するなど数多くの実績を積み、大阪ソーシャルワーカー協会は全国から注目されました。その後再び創生期の伝統の事例研究中心の例会を重ね今日に至っています。大阪精神分析学研究会時代から大阪ソーシャルワーカー協会の今日に至る約60年の長い歩みを振り返る時、竹内・岡村時代の社会福祉学黎明期の実践研究会の流れから、新たな福祉制度の開拓期、福祉専門職化の流れを汲みながら、岩田克夫(大阪老人ホーム)、井上光(府社会福祉協議会)、吉村靭生〈自彊館〉、岡田藤太郎(大阪地域福祉サービス研究所)、岡本千秋(ミード社会館)、等大阪の伝統ある施設や機関のリーダーと各種別施設、機関の実務家の会員の力が結集され発揮されてきたと言えます。社会福祉士等の資格が成立して20年、また協会も新たな変革期にあります。
参考文献
『大阪ソーシャルワーカー協会25年史』25年史編集委員会、1986年。
「JASW・大阪支部ニュース」、「大阪ソーシャルワーカー」1号他。
大 塚 保 信(大阪ソーシャルワーカー協会会長・JASW役員)
2022年7月1日改訂
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【正誤表・初出一覧】『首都・東京の都市政策とソーシャル・キャピタル』 - 2022年11月25日
『首都・東京の都市政策とソーシャル・キャピタル』(2022年11月30日 初版第1刷)において、誤りがございました。以下のように訂正させていただきますとともに、初出一覧を追加いたします。
ご迷惑をおかけしたことを、お詫び申し上げます。
PDFのダウンロードはこちらをクリックしてください
正誤表・初出一覧『首都・東京の都市政策とソーシャル・キャピタル』(2022年 初版第1刷)
ご迷惑をおかけしたことを、お詫び申し上げます。
PDFのダウンロードはこちらをクリックしてください
正誤表・初出一覧『首都・東京の都市政策とソーシャル・キャピタル』(2022年 初版第1刷)
【正誤表】『戦後福井県都市計画の軌跡』 - 2022年09月30日
【正誤表】『開発援助アジェンダの政治化』 - 2022年09月06日
『開発援助アジェンダの政治化――先進国・途上国関係の転換か?――』初版第1刷(2017年3月10日発行)に誤りがございました。
以下のように訂正させていただきますとともに、深くお詫び申し上げます。
PDFダウンロードはこちらから
以下のように訂正させていただきますとともに、深くお詫び申し上げます。
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【正誤表】『ライフスタイルと健康感の経済分析』 - 2022年05月16日
【正誤表】『グローバル秩序論』 - 2022年05月13日
『グローバル秩序論――国境を越えた思想・制度・規範の共鳴――』(2022年3月30日 初版第1刷)において、誤りがございました。
以下の通り、訂正させていただきますとともに、深くお詫び申し上げます。
[画像:正誤表『グローバル秩序論』]
正誤表のダウンロードは下記をクリックしてください。
ダウンロードはこちら
以下の通り、訂正させていただきますとともに、深くお詫び申し上げます。
[画像:正誤表『グローバル秩序論』]
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【正誤表】『北朝鮮研究の新地平』 - 2022年03月31日
『北朝鮮研究の新地平――理論的地域研究の模索――』初版第1刷(2022年3月20日発行)につきまして、一部誤りがございました。以下のとおり訂正させていただくとともに、深くお詫び申し上げます。
131頁17行目の(同上)は注38)に示す資料と同じものからの引用であることを示す。
131頁17行目の(同上)は注38)に示す資料と同じものからの引用であることを示す。
【正誤表】『米中経済摩擦の政治経済学』 - 2022年03月15日
正誤表 - 2022年02月04日
『「男らしさ」のイデオロギーへの挑戦――ジェンダーの視点からメルヴィルを読む――』内容に一部誤りがございました。以下の通り修正させて頂くと共に、深くお詫び申し上げます。
索引ii タ行
誤 巽隆之 → 正 巽孝之