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JOGMEC 独立行政法人 エネルギー・金属鉱物資源機構

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TICADで注目のアフリカ! 鉱物資源開発に関する日本の取り組みとは?

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カーボンニュートラル社会の実現に向けて、EVや再生可能エネルギーに欠かせないクリティカルミネラル(重要鉱物)の確保が世界的な課題となっています。その重要な供給地として注目されているのが、アフリカ地域です。

この記事では、日本がアフリカの鉱物資源開発にどう関わり、良好な関係を築くためにどのような取り組みを進めているのかを解説します。

アフリカはクリティカルミネラルの世界的な供給地

アフリカ地域は、電気自動車(EV)のバッテリーや電子部品などに欠かせないコバルト・白金族・マンガン・グラファイトなど、クリティカルミネラル(重要鉱物)の世界有数の産地です。特にコバルトは、世界の生産量の7割ほどがコンゴ民主共和国で生産されており、世界的に極めて重要な供給地となっています。

重要鉱物の生産量におけるアフリカのシェア

出所:IEA「Global Critical Minerals Outlook 2025」の2024年データよりJOGMECが作成

アフリカの鉱物資源開発に関する国際動向

クリティカルミネラル(重要鉱物)は市場規模が限られており、国や地域によって産出の偏りもあるため、国際的なサプライチェーンの構築が課題となっています。そこで、豊富な資源を有するアフリカ地域への関心が国際的に高まっています。

アフリカ各国においては、持続可能な資源開発の実現に向けて、探鉱技術の高度化やインフラの整備、専門人材の育成など、各国の状況に応じた取り組みが進められています。また、環境保全や労働安全といった国際的な基準の導入・定着に向けた努力も継続されており、これらの分野でのパートナーシップ強化が今後の重要なテーマとなっています。

こうした背景から、国際社会では人権や労働環境に配慮した「責任ある鉱物サプライチェーン」の構築が進められています。「鉱物安全保障パートナーシップ(MSP)」(G7などが参加する重要鉱物資源のサプライチェーンの強靭化を目指す国際的な枠組み)でも、2023年2月に実施された会合にアフリカの鉱物資源産出国を招待し、今後の協力の在り方や持続可能な開発の方向性についての議論が行われました。

日本の供給安定化に貢献するJOGMECの取り組み

日本はクリティカルミネラル(重要鉱物)のほとんどを海外からの輸入に依存しており、供給源の多角化は重要な課題となっています。そのため、資源国であるアフリカとの協力関係を築き、「責任あるサプライチェーンの構築」の一端を担うことで、供給安定化を目指しています。

日本国内の資源・エネルギーの安定供給確保を担うJOGMECは、アフリカ各国と連携を強化し、さまざまな協力活動を展開しています。

技術支援と人材育成

2008年7月、JOGMECはボツワナ共和国に「ボツワナ・地質リモートセンシングセンター」を設立しました。「リモートセンシング」とは、人工衛星や航空機を使って地形や地質を調べる技術で、広大な土地から資源を見つけるために欠かせません。JOGMECはアフリカ諸国の資源開発に関わる人材の育成に貢献するため、衛星画像を使った地形や地質の解析方法などを教える研修を実施しています。

2025年現在、南部アフリカ開発共同体(SADC)加盟国をはじめとする16カ国を対象に、毎年研修を実施。これまでに2,550人以上の専門人材を育成し、そのうち40人以上が指導者として活躍できるスキルを取得(注)しています。

(注)2025年6月時点
  • ボツワナ・地質リモートセンシングセンター

  • ジンバブエでのリモートセンシング技術に関する現場研修の様子

  • 2023年のSADC諸国からの研修生たち

リモートセンシング技術は、最近では違法採掘の検出や環境モニタリングなど、ESG(環境・社会・ガバナンス)(注)の観点からも活用が広がっています。

(注)ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス(企業統治))を考慮した投資活動や経営・事業活動を指す。

センターによる技術協力対象国

センターによる技術協力対象国の地図

JV調査、金融支援

JOGMECは、日本企業がアフリカの鉱物資源開発に参入しやすくなるよう、外国企業と共同で鉱物資源を探すジョイントベンチャー(JV)調査や、日本企業が参画するプロジェクトへの出資や債務保証といった金融支援を行っています。

例えば、ナミビアではレアアース鉱床、ザンビアではコバルトや銅の鉱床を対象にJV調査を行っています。南アフリカにおける白金族やニッケル、クロムの開発プロジェクトに対しては、出資を実施しています。

中でも成果が出ているのが、南アフリカのウォーターバーグ白金族探鉱事業です。JOGMECは2009年にカナダの鉱山会社と共同で探鉱契約を締結し、JV調査を実施。2018年にはその権益の一部を日本企業に引き継ぎ、本格的な事業化が進められています。

JOGMECがアフリカで現在実施中のプロジェクト

JOGMECがアフリカで現在実施中のプロジェクトの地図
(注)2025年8月現在。MOU(覚書)とは今後の協力方針や合意内容を文書で確認するための合意書のこと。

国際会議と官民合同ミッション

JOGMECは国際会議への参加や、日本政府・日本企業・JOGMECが一体となってアフリカの政府や企業と直接意見交換する「官民合同ミッション」の積極的な実施など、アフリカ各国との連携強化に繋がる取り組みにも力を入れています。

アフリカン・マイニング・インダバへの参加

毎年、南アフリカ・ケープタウンで開催されるアフリカ最大規模の国際鉱業会議「アフリカン・マイニング・インダバ」に、JOGMECは長年参加しています。

この会議で、JOGMECは経済産業省や日本企業と連携し、セッションや展示ブースを通じて日本の取り組みや協力事例を発信しています。さらに、各国の政府高官や企業幹部とのネットワークづくりの場としても活用し、今後の協力の可能性を探っています。

2025年のアフリカン・マイニング・インダバでの、JOGMECセッションの様子

ザンビア共和国との官民合同ミッション

2023年8月、西村経済産業大臣(当時)の訪問にあわせて、ザンビア共和国政府との間で探査分野の協力強化に関するMOU(合意文書)を締結。JOGMECと日本企業11社は、現地鉱山の視察を実施しました。さらに、投資政策や優遇制度についての活発な意見交換も行われました。
  • ザンビア政府とのMOU締結の様子

  • センチネル銅鉱山の視察

コンゴ民主共和国との官民合同ミッション

2024年2月、アフリカン・マイニング・インダバにあわせて石井経済産業大臣政務官(当時)が団長となり、JOGMECと日本企業7社がコンゴ民主共和国を訪問し、官民合同ミッションを実施しました。

ミッションでは、現地政府との意見交換や、国営鉱山会社GECAMINESとの協力内容の進展について協議されました。さらに、現地の鉱山や精錬所の視察も実施され、日本側が今後の鉱物資源開発に対する理解を深める貴重な機会となりました。
  • STL社が運営する精錬所の視察

  • カモア・カクラ鉱山の視察

鉱物資源にまつわる今後の日本とアフリカの関係に注目!

カーボンニュートラル社会の実現や世界の産業成長にとって欠かせない鉱物資源を豊富に有するアフリカは、日本にとっても欠かせないパートナーです。日本が鉱物資源を安定的に確保するためにも、相互に尊重し合いながら協力関係を強化していくことが、今後ますます重要になっていきます。

JOGMECをはじめ、日本ではアフリカとの関係構築や開発支援に寄与する取り組みが進められており、資源の安定供給とアフリカの持続可能な発展の両立を目指しています。2025年8月には第9回アフリカ開発会議(TICAD 9)が横浜で開催され、日本とアフリカのさらなる協力の深化が期待されています。両国の関係がどのように発展していくのか、関連するニュースをチェックしてみてください。

記事掲載日:2025年9月11日

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