「リフィル処方箋」を知っていますか?1度の診察で最大3回まで薬の処方を受けられます!
[画像:リフィル処方箋を持参した女性が薬局で薬剤師から「2回目ですね」と確認を受けてスムーズに薬を受け取っているイラスト。対比として混雑した病院で薬を受け取る順番を待つ患者のイラスト。]
POINT
「リフィル処方箋」をご存じですか?令和4年度(2022年度)に導入された新しい処方箋で、1通で最大3回まで繰り返し使用することができる処方箋です。これにより、通院の回数を減らせるなど、様々な人にとってメリットがある制度です。リフィル処方箋は通常の処方箋とどう違うのか、対象となるのはどんな人か、どんなメリットがあるのか、分かりやすく解説します。
1リフィル処方箋とは?そのメリットは?
1通で、最大3回まで繰り返し使用できる処方箋
「リフィル処方箋」は、症状が安定している患者で一定の要件を満たした場合に、医師が定めた期間内に最大3回まで繰り返し使用可能な処方箋で、令和4年度(2022年度)に導入されました。通常の処方箋では、医師が決めた日数分の薬を1回だけ受け取れますが、リフィル処方箋では、診察を1回受けて1通の処方箋を発行してもらうだけで、一定の間隔で最大3回まで繰り返し薬を受け取ることができます。処方の期間は薬や症状などに応じて医師が個別に判断します。
※(注記)リフィル(refill)とは詰め替えの意味です。
医師が「リフィル可能」とした患者が対象
リフィル処方箋の発行にはいくつかの条件があります。まず、対象となるのは「症状が安定している患者」のみで、「薬剤師による服薬管理の下、一定期間内に処方箋の反復使用が可能」と医師が判断した場合です。リフィル処方箋が処方される疾病としては、高血圧や糖尿病などの生活習慣病やアレルギー性鼻炎などの慢性疾患で、定期的に通院している患者が対象となることが多くなっています※(注記)。
ただし、処方できる薬は限定されており、新薬・湿布薬・向精神薬など一部の薬は処方ができません。医師の判断によってリフィル処方箋の処方となった場合は、処方箋に設けられた「リフィル可」の欄のチェックボックスにレ点と適用回数が記入されます。
※(注記)リフィル処方箋の発行は、患者の病状等を踏まえ、医師が判断するため、これらの疾病であれば必ず発行されるものではありません
[画像:リフィル処方のチェック欄を示したリフィル処方箋の画像]
通院の負担軽減や医療費削減のメリットも!
リフィル処方箋のメリットとしては、リフィル処方箋の使用によって受診の回数や通院時間、診察の待ち時間を減らすことができ、診察費用等の負担の軽減にもつながる点です。特に現役世代の仕事をしているかたは、医療機関にかかる時間が減ることのメリットが大きいでしょう。また、受診回数が減るため、受診にかかる医療費や交通費を削減できます。個々の医療費の節約は、社会全体で使われる医療費の総額の抑制にもつながります。結果的に保険料や税金で賄われている医療保険の負担の上昇を抑え、公的医療保険制度を維持する上でも効果が期待できます。
2リフィル処方箋の受取方法は?処方箋の保管に注意!
リフィル処方箋による薬の受取方法
リフィル処方箋は、同じ処方箋を最大3回利用できます。1回目の有効期間は通常の処方箋と同様4日以内です。2回目以降は、診察なしで、薬局で薬を受け取ることができ、薬の受け取り期間は、「調剤予定日(投薬期間を経過する日)の前後7日間」となっています。それぞれ別の薬局での受取りも可能ですが、継続的に服薬状況を管理するためにも、可能な限り同じ薬局をご利用ください。
[画像:薬の受取期間について。1回目は診察・リフィル処方箋の発行から原則4日以内。2回目、3回目は調剤予定日の前後7日であることを示すイラスト]
薬剤師が患者の体調を調剤時に確認
リフィル処方箋で薬を受け取るときには、薬局の薬剤師が患者の体調や服薬状況を確認することになっています。必要に応じて、患者に医療機関への受診を促したり、医師に服薬状況の情報共有を行ったり、場合によっては投薬の中止の判断をすることもあります。また、患者自身が気になる自覚症状や体調の変化がある場合は、リフィル処方箋を受け取っている期間内でも医師の診察を受けることが重要です。
処方箋の保管には注意!電子処方箋の活用も便利です!
リフィル処方箋は同じ処方箋を複数回使用するので、1回目の調剤の後、次の調剤まで処方箋をなくさずに保管する必要がありますが、それに不安を感じるかたもいるでしょう。そんなときは電子処方箋の活用がおすすめです。電子処方箋では、処方箋の原本が紙から電子データになるため、調剤ごとに紙の処方箋を持参する必要がなく、紛失のおそれもありません。電子処方箋のリフィル処方箋機能に対応している医療機関・薬局は厚生労働省「電子処方せん対応の医療機関・薬局についてのお知らせ」をご確認ください。
コラム:リフィル処方箋と長期処方の違い
処方箋には、長期間分の薬を処方する「長期処方」もあります。リフィル処方箋と長期処方、どちらも基本的には症状の安定している患者が対象となりますが、その違いは次のとおりです。
リフィル処方箋 | 長期処方 | |
---|---|---|
処方の仕方 | 最大3回まで繰り返し使用可能な処方箋を処方する。 | 一度に長期間分の薬を処方する。 |
受診頻度 | 期間中、医師の診察は1回だけ。薬局へは毎回(最大3回)行く必要がある。 | 期間中、医師の診察も薬局に行くのも1回だけ。 |
特徴 | 一度の診察で長期間分の薬を複数回に分けて受け取ることができる。医療機関の受診間隔は空くが、薬局へは毎回行くため、健康状態の管理が期待できる。最後の薬を受け取るまで、自身での処方箋の保管が必要。 | 一度の診察で長期間分の薬を受け取ることができる。通常の処方箋よりも医療機関への受診、薬局への訪問頻度が少なくなるので、体調悪化の予兆に気づきにくくなる可能性がある点に注意が必要。 |
3処方については医師に相談を
継続的に同じ薬を服用しているようなかたで、リフィル処方箋を利用したい場合は、まずは、かかりつけの医師に相談してみることをおすすめします。ただし、患者にリフィル処方箋が適しているかどうかは、あくまで医師が判断することなので、毎回医師の診察が必要となる場合もあります。
リフィル処方箋の対象は「症状が安定している患者」とされていますが、自分では症状が安定していると感じていても、長期的な見通しが必要になり、その状況は一人ひとり異なります。また、処方箋の保管、調剤可能な期間に決まりなどがあり、自己管理が可能かどうかも大切な条件になります。ご自身の希望を伝えた上で、医師の説明を受け、診断に従ってください。また、医師の診察回数が減る分、薬剤師と密なコミュニケーションを取ったり、患者自身が体調の変化をより気遣ったりする必要があるでしょう。
まとめ
リフィル処方箋は、通院の手間や医療費の負担の軽減になるメリットがあります。一方で、医師の診察回数が減る分、薬剤師と密にコミュニケーションを取ったり、患者自身が体調の変化をより気遣ったりする必要があることを忘れてはいけません。まずはリフィル処方箋の特長と留意点をしっかりと理解し、活用していきましょう。
(取材協力:厚生労働省 文責:内閣府政府広報室)