FSA リサーチ・レビュー 第9号
FSAリサーチ・レビューとは
FSAリサーチ・レビューは、金融研究センターに所属する研究官・特別研究員等の研究成果として公表したディスカッション・ペーパー(DP)のうち研究論文として所収するにふさわしいものを、必要に応じて外部のそれぞれの分野の専門家の方々による査読手続きを経て、金融研究センター長の責任編集のもと所収しています。(注)
なお研究論文の内容はすべて執筆者の個人的見解であり、金融庁あるいは金融研究センターの公式見解を示すものではありません。
(注)FSAリサーチ・レビューは、平成21年度(第6号)までは、年度中に1回、研究論文の他に、当センターにて開催した国際コンファレンス概要や研究会の報告書を年間活動報告としてとりまとめておりましたが、平成24年度(第7号)から、研究論文のみを年1回程度不定期で掲載するウェブ・ジャーナルとして再刊することとなりました。
FSAリサーチ・レビュー第9号(平成27年(2015年)10月発行)
-吉野直行金融研究センター顧問(アジア開発銀行研究所所長) 責任編集-
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【Article 1】 (PDF:12,530KB) |
「銀行勘定の金利リスク管理モデル -修正期間収益アプローチと経済価値アプローチの比較-」
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FSAリサーチ・レビュー第9号 掲載論文要旨
【Article 1】
「銀行勘定の金利リスク管理モデル
-修正期間収益アプローチと経済価値アプローチの比較-」
(慶應義塾大学理工学部教授)
(慶応義塾大学大学院理工学研究科)
預金を原資として貸出や有価証券で資金運用を行い収益を獲得している銀行にとって、銀行勘定の金利リスク管理は非常に重要な問題である。実務において、銀行勘定の金利リスク管理は大きく経済価値と期間収益の両面から捉えられ、議論がされてきた。しかし、経済価値と期間収益のどちらで捉えるべきかという点については未だ明確なコンセンサスが得られていない状況である。そこで、銀行勘定の金利リスクを管理するために、複雑な銀行勘定の特性や信用リスクなどとの依存関係も考慮した銀行勘定全体のモデルを構築する。そして、モンテカルロ・シミュレーションを用いた様々な感度分析を通して、期間収益アプローチと経済価値アプローチの関係について分析する。著者たちの知る限り、包括的な分析結果をもとに検討が行われた研究は存在しない。
分析の結果、銀行勘定のリスク管理において銀行勘定の特性を十分に反映させるためには、経済価値だけでなく期間収益も合わせて管理する必要があることを示す。
キーワード:銀行勘定、金利リスク、修正期間収益アプローチ、経済価値アプローチ、コア預金